アドビは2024年10月14日、Adobe MAXで「Adobe Firefly Video Model」(ベータ)を搭載したAdobe Premiere Proの最新機能を発表した。この生成AI技術により、プロフェッショナルな動画編集作業が大幅に効率化され、クリップの延長やトランジションの改善、オーディオの空白補完が可能になる。新機能「生成拡張」は、映像制作の現場で課題とされていた微調整作業を簡素化し、作業スピードを飛躍的に向上させる。

さらに、Adobe Premiere Pro、After Effects、Frame.ioの各アプリケーションでも大幅な機能強化が発表され、動画制作のワークフロー全体を一層効率化する。

Adobe Premiere Proの新機能

生成拡張(ベータ)

Fireflyを活用した生成AIが、クリップの端に新たなフレームを生成し、カットを延長。トランジションをスムーズにし、オーディオ空白の補完も可能にすることで、プロフェッショナルな編集作業を支援。

カラーマネジメントシステム(ベータ)

全く新しいカラーシステムにより、ほぼすべてのカメラのログ映像をHDRおよびSDRに自動変換。美しい映像を素早く作成し、特に肌の色合いや鮮やかな色、ダイナミックレンジを強化。

プロパティパネルの改善

コンテキストに応じて最適なツールが表示されるプロパティパネルが新たに追加。これにより、経験豊富な編集者は操作負担を軽減し、初心者も使いやすい環境を提供。

パフォーマンスの高速化

ProResの書き出し速度が最大3倍に向上し、ハードウェアアクセラレーションにより再生速度も改善。これにより、編集作業の効率が大幅に上がる。

カメラ対応の拡大

Canon、Sony、ARRI、REDといった主要カメラのファイルをネイティブでサポートし、すぐに編集作業に取り掛かることが可能。

Adobe After Effectsの新機能

強化された3Dワークスペース

3Dモデルのインポートからアニメーションを操作するツールが強化され、より直感的で効率的な3Dワークフローが実現。これにより、3DアニメーションやVFXの作業が大幅に簡略化される。

Adobe Substance 3Dとの統合

Substance 3D Painterで作成したテクスチャをワンクリックでAfter Effectsに転送可能に。これにより、デザイナーはフォトリアリスティックな3D要素を効率的にモーションデザインに組み込むことができる。

Frame.ioの新機能

全く新しいFrame.io

制作チーム間のコラボレーションを強化し、フィードバックのやり取りやレビューサイクルを簡素化。これにより、コンテンツ制作のライフサイクル全体が一層効率化される。

カスタムメタデータの対応

アセットに対して、定義済みまたはカスタムのメタデータでタグ付けが可能に。これにより、必要なコンテンツをより効率的に管理・検索できるようになる。

Camera to Cloudの拡大

Canon、Nikon、LeicaがCamera to Cloudエコシステムに参加。これにより、現場で撮影されたメディアを素早く安全にクラウドへアップロードし、編集チームに共有できる環境が整う。

業界への影響

Adobe Premiere ProやAfter Effectsは、すでに数々の著名な作品で使用されている。2024年エミー賞受賞作品をはじめ、多くの映画やテレビ番組で採用され、今回の新機能追加により、さらに多くのプロフェッショナルがそのメリットを享受するだろう。アドビは引き続き、映像制作におけるイノベーションを推進し、クリエイティブな表現を支援し続ける。