有限会社ニシダ印刷製本(本社:大阪府堺市)が、自主制作経験のある300名を対象に、オンデマンド印刷に関するアンケートを実施した結果を発表した。調査期間は2024年10月8日から22日まで。調査結果から、即売会への出店を目的に本を自主制作する人の多くが、販売利益よりも「自分のこだわりを反映させること」に重きを置いている実態が浮き彫りとなった。

「本を自主制作したきっかけ」に関する質問では、「コミックマーケットや文学フリマなどへの出店」が最多で99票、「個人活動の思い出としての制作」が94票、「出版社への売り込み」も91票と、さまざまな目的が挙げられた。特に、作品を世に広めたいという理由で自主制作する人が全体の約3分の2に上ったが、販売部数については現実的な見込みを重視して少部数に留める人が多い。

実際に「即売会での販売」を目的とした回答者の半数が、50冊以下の部数で制作していることがわかった。自主制作を少部数で行う背景には、利益よりも「届けたい人にきちんと届くこと」を優先し、在庫を持つリスクを避ける意識がうかがえる。たとえば300部の印刷のほうが一冊あたりのコストは下げられるが、売れ残るリスクを考慮し、敢えて小ロットでの印刷にこだわる傾向が見られた。

印刷業者についての質問では「しまうま出版」がトップを占め、「冊子製本キング」や「グラフィック」といった業者が続いた。選定基準としては、「コスト」を重視する声が最多ながらも「要望に応じた印刷」を求める意見も多く、制作に対するこだわりが垣間見える結果となった。

デジタル化が進む時代に、あえて本として形に残したいと考えるクリエイターが増える中で、印刷製本のサービスはそのこだわりを叶えるパートナーとしての成長が期待されている。