シーズン真っ盛りの2017年プロ野球リーグ。今年の優勝チームはどこなのか、自分の応援チームの成績はどうなんだろう…など、動向が気になる方も多いのでは?
Dentsu Lab Tokyoでは、人工知能によるスポーツ解説プロジェクトをスタート。
囲碁やチェスなどの分野における人間と人工知能の対決で話題となった“ディープラーニング”の技術を活用したスポーツ解説システム「ZUNOさん」を開発しました。
「プロ野球」をデータテクノロジーでひもとくことに挑戦
ZUNOさんは、データスタジアム社提供による、2004年から記録されている300万球を超える打席データを学習することで、配球や勝敗、順位などを予測。データマイニングを応用することで、これまで人間の解説者では見つけることのできなかった選手の傾向や試合状況に応じた投球の解析を行います。
プロジェクトメンバーでZUNOさんの開発に携わった株式会社Qosmo(コズモ)の徳井直生氏に、ZUNOさんの開発のきっかけや特徴について解説いただきました。
「もともとZUNOさんのプロジェクトは、AIと人間の関係性とその未来をさまざまなプロトタイプを通して考えていく、という大きな目標のもとにはじまったものです。そのなかでまずは人間の遊び、特にスポーツを解析してみようということでプロ野球を題材に選びました。数あるスポーツの中で野球を選んだのは、ワンプレイごとの結果や試合の状況を数字で定量的に表しやすいということで、データとの相性が非常に良かったためです。スポーツの試合にはどうしても偶然性という要素が入ってくるのですが、配球に限定すればバッテリーとバッターの駆け引き・戦略として、比較的予測が立てやすいのではないかという仮説のもとに実装を行っています。
学習の結果、ピッチャーの持ち玉、ストライクカウント、アウトカウントなどはもちろん、バッターのタイプ(早いカウントから振ってくるかなど)、点差、ランナーの走力(盗塁数)などの情報と、事前の数球の実際のピッチングの情報をもとに、次の一球のコースと球種をそれなりに高い精度で予想できるようになりました。時系列データの学習には、RNN(再帰的ニューラルネットワーク)の技術を用いました。
開発チームの中では、ゆくゆくはZUNOさんに監督をやらせてみたいねなどと話しています。ZUNOさん率いる大学生チームが、プロ野球のチームに勝つなんてことがあると面白いですね。」(徳井氏)
Dentsu Lab Tokyoによると、NHKの皆さんにはZUNOさんが野球番組に活用できる可能性を感じていただけており、今後、どう番組の中で活用していけるかを相談中。そしてさらにZUNOさんの精度を上げ、NHKの野球中継で解説もチャレンジさせることを目標にしたいと考えているとのことです。
番組出演情報
6月9日(金)18:20よりNHK BS1のスポーツ番組「ゆる~く深く!プロ野球」の中でZUNOさんが出演する予定です。
NHK 「AI解説プロジェクト ZUNO」WEBサイトより
■開発スタッフ
企画・ディレクション:Dentsu Lab Tokyo
システム開発(ディープラーニング/ビジュアライゼーション):株式会社Qosmo(コズモ)
データマイニング:山田興生
UI設計・デザイン:株式会社TWOTONE(ツートン)
プロデュース:株式会社パズル
(CREATIVE VILLAGE編集部)