群馬県館林市と株式会社クリーク・アンド・リバー社(以下C&R社)は、2024年11月28日、メタバースを活用した観光活性化事業に関する覚書を締結した。この取り組みは、館林市の観光魅力をデジタル空間で発信し、特に若年層を中心とした新たな観光客の誘致を目指すものだ。

C&R社は、1990年創業のクリエイター支援の専門企業であり、映像やゲーム、Webなど幅広い分野でのプロジェクト実績を持つ。同社は近年、クリエイター特化型メタバース「C&R Creative Studios Metaverse」を独自開発するなど、デジタル技術を駆使した新たなサービスに注力している。一方の館林市は、水と緑に恵まれた自然環境や四季折々の花々が観光資源として知られるが、さらなる認知度向上と観光客誘致が課題とされてきた。

今回のプロジェクトでは、以下の取り組みが計画されている。

ROBLOXでのオリジナル空間制作
世界的に人気の3Dゲームプラットフォーム「ROBLOX」上で、館林市の観光スポットをテーマにしたバーチャル空間を制作。この空間では、訪問者が障害物コースを攻略しながら館林市マスコットキャラクター「ぽんちゃん」を救出するゲームを楽しめる。さらに、空間訪問者には市内公共施設の入館料割引となるキーワードが提供される。公開期間は2024年12月9日から2025年2月28日まで。

メタバース体験施設の設置
館林市の「つつじが岡ふれあいセンター」内に、C&R社のメタバースを体験できるPCを設置。来訪者は館林市のプロモーション動画の視聴や、過去のインスタグラムフォトコンテスト応募作品の鑑賞が可能となる。体験施設は2024年12月10日から2025年2月28日まで開設される予定だ。

館林市の担当者は、「次世代型観光モデルを目指し、メタバースを活用したプロジェクトを通じて、市内外の多くの方々に館林の魅力を知っていただきたい」とコメント。一方、C&R社の代表は、「クリエイターが持つ技術力とメタバースの可能性を活かし、観光産業の新しい形を創出していきたい」と抱負を述べた。

近年、メタバースは教育やビジネスに加え、観光分野でも地域資源をバーチャル空間で体験する新手法として注目されている。館林市とC&R社の協業が、地域の魅力を発信する新たな事例として成功を収めるか、期待が高まっている。