東京ゲームショウ2016開催の1週間前の9月7日。東京・渋谷のTECH LAB PAAKで、VR専門メディアの編集長が一堂に会したイベント「VRメディアサミット」が開催されました。
VRの本質を知り尽くした編集長たちと、VRの可能性にいち早く目を付けた参加者が集結し、会場は夜遅くまでVRビジネスについて語り合う人たちで賑わいました。
■VRは、まだ「ごちゃごちゃ感」がいい
主催者のTECH LAB PAAK事務局の宇都宮竜司氏が、「今回のVRメディアサミットのコンセプトは、ごちゃごちゃとした会にしたかった」、との挨拶で始まりました。昨年から、ハードの普及とコンテンツが整い始めたことで、急速に盛り上がりを見せ始めたVR業界。まさに「ごちゃごちゃ感」とはVR時代の幕開けを表現するに、ぴったりなキーワードです。会場に入りきれないほどのVR界隈の人達100名ほどが集まり、熱気もギラギラ感もMAXでサミットはスタートです。
基調講演に立ったのは、最新のガジェットをいち早く紹介する「Engadget日本版」編集長の鷹木 創氏。
「メディアの歴史は近年、紙媒体からPC、そしてスマホ中心に変遷を遂げてきた。次がVRメディアになって、その時にはメディアの役割は『モノ』を伝えることから、『コト』を伝えることになっている時代になっているだろう」、とVRが体験するメディアだということが定義されました。
■編集長が語る、VRの海外事情や近未来に釘づけ
次にVR専門メディアの編集長が登場してのピッチ&パネルトーク。「Mogra VR」の久保田 瞬編集長、「PANORA VIRTUAL REALITY JAPAN」の広田 稔編集長、「あおぞらVR」の早坂亮輔編集長が参加。モデレーターを宇都宮氏が務めました。各編集長が自社メディアの説明を終えた後、質問が飛び交いました。
「VR/AR/MRの隠された真実とは?」と言う質問では、VR業界の進捗や技術革新が非常に速く、この1~2年で世界は大きく変わるというコメントが。さらに、今アメリカでは子供がVRを使って斜視になることが指摘されているので、VRで斜視を矯正するプログラムまで開発され、VRが普及し始めていると早坂氏から話されました。今後は、TVを観ながら、注目したいシーンはVRのヘッドマウントディスプレイ(HMD)で観るような、HMDが今のスマホにとって代わる存在位になるかもしれないと、近い将来の技術革新が話されました。
そして10月13日にソニー・インタラクティブエンタテインメントから発売される「PlayStation®VR」に「バイオハザード」や「サマーレッスン」が載ることを起爆剤にして、一気にVRが盛り上がるだろうと、やはり個人ユースのゲームから火が付くという話で第一部は終了しました。
■Webの人達も積極的にVRに参加を
編集長が入れ替わり、トークの第2部がスタート。今度はWeb業界でのVR活用という視点で「WebGL総本山」の杉本雅広編集長、本日メディアが立ち上がったばかりの「VRbeat」の高橋ピョン太編集長、スマホゲーム分野から転身の「Social VR info」の原孝則編集長、そして唯一のVR専門誌「VRFREEK」の上林将司編集長が登場。モデレーターはクリーク・アンド・リバー社(C&R社)に新設されたVR事業部の渡辺愛美氏が務められました。
※「VR Inside」の村山 章編集長は当日参加出来ずビデオレターを寄せられました。
ここでは各分野の視点から、まずVRが日常に当たり前に普及していてもらいたいという願いにも似たコメントが発せられ、渋谷の街中でも家でもVRショッピングを若者が楽しんでほしい、Web業界の人にもVR技術にもっと関心を向けて参加して欲しいことなどが、語られました。また、VRに投資をしたいと考えている産業界の方にも、どんどんVRの世界に入ってもらい、みんなで日本のVRを発展させていきましょう、と力強く宣言して終了しました。
■IDEALENS K2の体験会も開催
編集長たちのトークの後の懇親会では、食事をしながらVRをビジネスにどのように活用していくべきかや、ヒットするコンテンツは何なのかなど、熱のこもった会話があちこちで行われました。また、会場の別フロアでは、C&R社とVR Japanから提供を受けて、「IDEALENS K2」の体験コーナーも設置され、体験者は一体型で軽いHMDを実際に試して、その装着感の良さや画像の綺麗さを確認していました。
また、この会場の模様はIdogaVRで360°動画配信され、会場外でも盛り上がっていたようです。
■今がVR参加のチャンス
VR元年という枕詞が当たり前にメディアに登場する昨今。VRで成功している企業は正直まだありません。だからこそ、今は参入のチャンス。東京ゲームショウ2016の報道でVRのことが大きく取り上げられ、時代の過渡期にいる私たちは、ゲーム以外にも新しいVR分野を開拓するフロンティアとして、名を残せる大きなチャンスを手にしています。「なんてラッキーなんだ!」と叫びたいくらいです。そんな中、サミットは閉幕しました。
1~2年後に必ず来る、VR盛隆期に向けて新たな一歩が刻まれた夜でした。
(2016年9月23日 CREATIVE VILLAGE編集部【取材:Progre_t】)