株式会社TimeTreeの『TimeTree未来総合研究所』が2024年10月18日に公開した「未来データレポート 2024年10月版」によると、ハロウィンの楽しみ方に世代別で顕著な変化が見られることが明らかになった。2019年から2024年の期間で、特に30代のハロウィン参加率が急増する一方、10代の参加率は減少しているという。このトレンドは、ハロウィンがかつて若者中心のイベントから、親子で楽しむイベントへとシフトしている兆しを示している。

この調査は、2019年1月1日から2024年9月30日までにTimeTreeユーザーが登録した予定データを基に行われた。TimeTreeは、家族や職場などで予定を共有できるカレンダーアプリで、2019年にはユーザー数が1200万人を超え、2024年9月には5500万人を突破。総計100億以上の予定データが登録されており、レポートではこれらのデータが匿名化処理された上で統計的に分析されている。

この膨大なデータを用い、特に「ハロウィン」を含む予定に注目し、世代別にその出現率を分析したところ、コロナ禍を境に大きな変化が見られた。2019年のハロウィン関連予定は10代が多くを占めていたが、2021年以降、10代の参加率は激減し、2024年には2019年比で約0.6倍にまで減少。一方、30代の予定は大幅に増加し、約1.7倍に達している。これにより、ハロウィンが若者主体から、親子で楽しむイベントに変化していることが浮き彫りとなった。

世代別のデータをさらに詳しく見ると、10月31日の予定ランキングに「英語」「保育園」「学童」など、子供関連の予定が上位に入っており、親子でのハロウィンイベントが増加していることが確認できる。これにより、ハロウィンはもはや若者が仮装パーティーや友人同士の集まりを楽しむイベントではなく、家族で過ごすイベントへと移り変わっていることが示唆される。

TimeTreeの調査では、日本と欧米諸国(アメリカ、イギリス、ドイツ)とのハロウィン予定数の比較も行われた。日本のハロウィン予定は、アジア圏(韓国や台湾)では比較的多いものの、欧米諸国と比較すると大きな開きがあることが判明。特にアメリカやイギリスでは、日本の3倍以上のハロウィン予定が登録されており、ハロウィンが根強い伝統として定着していることがうかがえる。

この違いは、ハロウィンが欧米においては古代ケルトの「サウィン祭」に起源を持つ歴史的な行事であり、キリスト教文化の中で発展してきたことが背景にある。アメリカやイギリスでは長年にわたってハロウィンが祝われており、家族や地域全体で盛大に楽しむ文化が浸透しているのに対し、日本では1970年代以降に徐々に広まった比較的新しい文化であるため、根付き方に違いが出ていると考えられる。

TimeTree未来総合研究所の所長である深川泰斗氏は、今回の調査結果について次のように詳しくコメントしている。

「ハロウィンの起源は、2000年以上前の古代ケルトにさかのぼります。当時、ケルト人は10月31日を1年の終わりとし、その日には死者の霊がこの世に戻ってくると信じ、収穫祭と霊を迎えるための祭りである『サウィン祭』を行っていました。この文化は後にキリスト教と融合し、11月1日の『諸聖人の日』の前夜、つまり『All Hallows’ Evening』としてハロウィンという行事が形作られました。これが欧米で定着し、現在の形で祝われているのです。

一方、日本では1970年代に原宿の雑貨店がハロウィン商品を扱い始めたことをきっかけに、徐々にこの文化が広まりました。1990年代後半には、大手テーマパークがハロウィンをテーマにしたイベントを開始し、これが決定的な普及のきっかけとなりました。しかし、日本でのハロウィン文化の歴史はまだ浅く、欧米と比較すると予定数に差が出るのも当然の結果です。

今回の調査で注目すべきは、ハロウィンが若者だけでなく、親子で楽しむイベントに変わりつつあるという点です。2024年の予定データには、保育園や学童、英語レッスンなど子供に関連する予定が多く見られました。これは、ハロウィンが子供たちの成長や学びの一環としても楽しめるイベントになっていることを示しています。今後、このトレンドがさらに広がることで、ハロウィンは日本でも、世代を超えて家族や地域が一体となって楽しむ行事として定着する可能性があります。将来、現在の子供たちが大人になったとき、日本のハロウィン文化はさらに豊かになっているかもしれません。」

深川氏のコメントからは、ハロウィンの歴史的背景と現在の日本における変化が読み取れる。今後、ハロウィンがさらにどのように進化し、日本文化に根付いていくのか、興味深い展開が期待される。

今年のハロウィンは、親子で一緒に楽しむ新しいトレンドがさらに広がりを見せそうだ。