9月26日に行われた東京ゲームショー2024の基調講演で、初代PlayStationの生みの親である久夛良木健氏が登壇。初代PlayStation開発秘話とゲームの未来について語った。

初代PlayStation誕生秘話と業界の反応

初代PlayStationの開発は、決して順風満帆ではなかったと振り返る久夛良木氏。まだ世に出る前のPlayStationを携えて、日本のゲームメーカーを数多く訪ね歩いた際には「そんなものは売れない」と一蹴されたことを明かしつつ、当時のゲーム業界において、「2Dグラフィックスが主流で、3Dグラフィックスはアーケードゲームでさえ実現が難しいとされていたから」と振り返った。

しかし、ここでは諦めなかった久夛良木氏。3Dグラフィックスのリアルタイム処理を実現するために、ソニーのエンジニアたちと日夜研究を重ね、デモ機で滑らかな3Dグラフィックスを動作させることに成功。このデモを携えて、再び反応をみたところ、事態は以前の冷ややかな態度から一転。一斉に開発に参画したいと申し出てきたという。

AIと融合し、現実世界をも超える体験へ

今後のゲーム業界の展望を語るパートでは、コンピュータエンターテイメントである現在からリアルタイムコンピューティングの時代が来る可能性を示唆。AIの急速な発展によって現実世界のあらゆるものがシミュレーション可能となり、よりファンタジーな世界を体験できるようなエンターテイメントが生まれると語った。

若きクリエイターへ、熱いメッセージ

最後には、若い世代のクリエイターに向けて「皆さんの今のチャレンジは、すごすぎる」とエールを。「知識やノウハウを共有できる現代は創造性を育む絶好の環境」だとし、未来を担うクリエイターたちへの期待を込めて講演を締めくくった。