ビジュアルコミュニケーションのリーディングカンパニーであるCanvaは、2025年4月11日、同社史上最大規模となる新製品群「ビジュアルツールキット2.0」を発表した。ロサンゼルスのSoFiスタジアムで開催された第4回「Canvaクリエイト」において明らかにされた今回のリリースは、クリエイティビティと生産性の融合を目指す次世代のツール群であり、世界中の2億3,000万人を超える月間アクティブユーザーに新たな創造体験を提供する。

今回発表された「ビジュアルツールキット2.0」は、ドキュメントからプレゼンテーション、ウェブサイトまであらゆるデザインを統一フォーマットで実現できる「オールインワンデザイン」機能を中核とする。これにより、従来分断されていたツールやワークフロー、ファイルを一つのコラボレーションスペースに統合し、企画から納品までのプロセスをシームレスに連携させることが可能になった。

さらに、再設計された「Canvaスプレッドシート」は、見やすく直感的でありながら強力なデータ処理能力を備えている。AIによる自動分析機能や、HubSpot、Statista、Google Analyticsといった外部データソースとの連携により、専門知識がなくてもデータを視覚的に整理・理解することができる。

「マジックスタジオ一括編集」は、チームが数秒で大量のコンテンツを作成できる機能で、動的なデータをテンプレートに自動反映させることで、マーケティングや営業資料の作成を効率化。一貫性のあるブランド表現を維持しながら、作業時間の大幅短縮を実現する。

また、「マジックグラフ」は、複雑なデータを数秒で魅力的なビジュアルストーリーに変換するツールであり、スクロール可能なレポートやアニメーションを用いたインフォグラフィックなどを簡単に作成できる。誰でもインサイトをわかりやすく伝えられるようにするという点で、データ活用の民主化を後押ししている。

音声やプロンプトを用いた対話型の「Canva AI」は、文章やスライド、画像を自然な会話のスピードで生成し、デザインのハードルを一気に引き下げる。また、「Canvaコーディング」は、シンプルなテキスト入力だけで電卓やフォーム、単語帳などのインタラクティブコンテンツを作成可能にする新機能で、教育資料やプレゼンテーションなどに応用が利く。

さらに、写真編集機能も強化された。プロフェッショナルレベルの画像編集が可能となった「Canva写真エディター」は、AIによる選択的な修正、背景生成、オブジェクトの削除や置き換えなどに対応し、デザインワークをより柔軟かつ迅速にサポートする。

Canvaの共同創業者兼CEOのメラニー・パーキンス氏は、「今回の発表は、設立以来最大の製品リリースであり、ユーザーから求められていた“クリエイティビティと生産性の融合”を具現化するものだ」と語る。Canvaは、単なるデザインツールにとどまらず、チームの共同作業やワークプレイスの再構築にまで踏み込む進化を遂げている。

2022年に初めてビジュアルツールキットを導入して以来、1億4,500万人以上のユーザーが同機能を利用し、これまでに作成されたデザインは350億点以上。現在では毎秒376件以上のデザインが世界中で生成されている。T-モバイル、Salesforce、フェデックスなど、フォーチュン500企業の95%以上がCanvaを導入しており、年商は30億ドルを突破、前年比で30%以上の成長を記録している。

企業活用の具体例としては、電子契約大手のDocusignがCanvaを使ったグローバルリブランディングに成功し、数千点のアセットを一新。これにより、クリエイティブチームの工数を500時間以上削減したという。

Canvaはまた、日本市場への注力も強化している。「かいじゅうステップ」とのコラボレーションや、アフロとの提携による20万点以上の素材追加、ふりがな自動付与機能の提供など、日本独自のニーズに応えるローカライズ施策を次々に展開。国内ではこれまでに1億7,000万点以上のデザインが作成されており、ユーザー数は前年比で倍増した。

同社は、AI機能の責任ある運用にも注力している。出力のモデレーションやバイアス低減、安全フィルターなどを含む「Canva AIセキュリティ」を整備し、AIを人間の創造性を補完するものとして捉えている。さらに、2億ドル規模の「Creator Fund」を通じて、AIがクリエイターの資産を活用するたびに適正な報酬が支払われる仕組みも導入している。

クリエイティビティと生産性のあいだにあった境界を打ち壊す今回の発表は、あらゆるユーザーにとってデザインの未来を再定義する転換点となりそうだ。