障害のある人々の自立支援や社会参加を目的としたアートイベント「ユニバーサルアートフェスタ」が、今月大阪市内2か所で開催される。主催は障害者福祉事業を手がける株式会社絆ホールディングス(大阪市中央区、代表取締役:下川弘美)。障害者アーティストの表現の場を広げ、その社会的価値を伝える取り組みとして注目を集めている。

同社が運営する「アトリエ中大江公園前」では、発達障害や精神障害のある約100名のアーティストを支援しており、昨年10月に開催された展示会には500人以上が来場した。なかでも人気を集めたのが、幻想的な風景画で知られる1997年生まれの作家・MoRoさんの作品「融和」で、展示初日に即完売となった。

MoRoさんは「現実と非現実の交差点を描くことが好き」と語り、絵を描くことを「誰かに何かを伝える手段」としている。作品の販売価格も以前の1万円から現在では5万円にまで上昇し、障害者アートの評価が高まっていることを物語っている。

厚生労働省によると、日本には約963.5万人の障害者が暮らしており、その多くが経済的自立に課題を抱えている。障害者アートは、自由な発想と独自の表現力が評価され、企業との協業も進むなど市場の拡大が期待されている。しかしながら、適正な評価を受け、収入につながる事例はまだ限られている。

絆ホールディングスでは「アートが社会との接点になり、障害者の自信ややる気にもつながってほしい」と話し、今後も継続的な支援活動を行う方針だ。