日本の職場や教育現場で人工知能(AI)の導入が静かに進む中、労働者の間では期待と懸念の声が交錯している。PDF Guruが2025年3月に実施した全国1,000人へのアンケート調査と、AIを日常的に使用している53人へのフォローアップ調査により、その実態が明らかとなった。
ChatGPTに高い支持、利用は文章作成が中心
調査では、AIツールの中で「ChatGPT」が最も広く利用されており、全体の72%が使用経験を持つと回答。これは「Gemini」(35%)や「Grok」(16%)を大きく引き離す結果となった。その理由には、操作性の高さや日本語対応の充実などが背景にあるとみられる。
AIの主な利用目的としては、「文章の作成や編集」が最も多く、一般回答者の半数以上(50.5%)、AI常用者の72%がこの用途でAIを活用している。メール、企画書、レポートなどの実務から、シナリオ作成や創作分野に至るまで、文章に強みを持つAIの利便性が際立っている。
生産性の実感と、未来への不安
AIの導入による影響について、日常的にAIを使う回答者の92%が「生産性が向上した」と実感している。その中でも「大幅に向上」と答えた割合は女性が47%で、男性の32%を上回っており、特に女性の間でAI活用の効果が高く評価されている。
一方で、AIが仕事や雇用に及ぼす影響への懸念も根強い。全体の42.2%が「心配」と答え、特に「とても心配」と回答した割合は女性が10.8%、男性が7.8%だった。また、AIによる新たな機会の創出を期待する回答者は男性のほうが多く(男性15.6%、女性10.6%)、性別による受け止め方の違いが浮き彫りとなっている。
日本のAI観、変化への期待と戸惑い
「AIが今後5年間で仕事や学びのあり方を変える」と考える人は全体の約52%に達し、「大きく変わる」(19.3%)と「少し変わる」(32.4%)がこれに含まれる。一方で、「あまり変わらない」「全く変わらない」とする回答も21.4%あり、「よくわからない」とする声も26.9%と多かった。
このように、日本の労働者はAIの導入による恩恵を実感しつつも、変化のスピードやその本質については慎重な姿勢を崩していない。AIの活用が進む中で、期待と不安、そして理解度の差が混在する複雑な構図が見えてきた。
調査概要と今後の課題
本調査は、20〜59歳の就業者1,000人(男女各500人)を対象とし、AIツールの認知度、利用状況、影響について把握するために実施された。フォローアップ調査では、AIを日常的に使用している53人に具体的な活用法や効果を深掘りしている。
結果からは、AIの効果を最大限に享受するには、利用者の理解を深める教育や、ジェンダーギャップを考慮した環境整備が不可欠であることが示唆された。今後の日本社会では、AIを単なる業務支援ツールにとどめず、誰もが恩恵を受けられる形で活用するための制度設計とリテラシー向上が求められるだろう。
https://pdfguru.com/ja/blog/ai-revolution-in-japan-workplaces