山梨県は12月13日、「山梨デザインセンター」(甲府市)において、デザインやアート、地場産業を担う専門家たちの交流と協業を目指す「デザイナー&クリエイターズネットワーク」のキックオフイベントを開催した。同センターは、11月に県庁舎防災新館内にオープンしたばかりの施設で、デザインの力を活用して地域活性化や社会課題の解決を図る全国的にも先進的な取り組みの拠点だ。
このネットワークは、異なるバックグラウンドを持つデザイナーやクリエイターが集まり、新たなプロジェクトや協業を通じて地域社会に貢献することを目的としている。キックオフイベントには、県内のデザイナーや建築家、地場産業事業者など約50名が参加。予定を大きく上回る参加者数となり、地域の創造的基盤づくりへの関心の高さがうかがえた。
イベントでは、山梨デザインセンター長の永井一史氏が、センターの基本理念「デザインの力で山梨をしなやかに美しく」を紹介。「政策デザイン」「地域デザイン」「産業デザイン」を3本柱に、地域文化や産業を支援し、住民の生活を豊かにする新たな価値創造を目指すと述べた。また、ネットワークを「地域の価値と魅力を向上させるためのオープンなコミュニティ」と位置づけ、参加者に期待を寄せた。
ワークショップでは、参加者が5つのテーマに分かれてディスカッションを実施。「異業種コラボで商品を製作したい」「職人技を掛け合わせたプロジェクトを進めたい」など、多様なアイデアや意見が交わされた。また、「デザインを通じて山梨県を日本人の憧れの地にしたい」「山梨の素晴らしさを世界に発信したい」といった地域活性化への意欲的な声も多く聞かれた。
ファシリテーターを務めたデザインディレクターの林千晶氏は、「これほど多くのクリエイティブな人々が集まる場は珍しい」と述べ、ネットワークへの期待を強調。永井氏も「こうした場を月1回程度の頻度で継続していきたい」と意欲を示した。
山梨デザインセンターは、125平方メートルのフロアに、交流やセミナーを行うコミュニティスペースや作品展示スペースを備え、デザイナー同士の連携を支援する環境を提供する。県では、このセンターを拠点に地域全体を巻き込む新たな価値創造の場を目指し、デザインの力を活用した取り組みを一層推進していく考えだ。