株式会社博報堂(東京都港区、代表取締役社長 水島正幸)は2024年11月15日、株式会社SHIBUYA109エンタテイメント(東京都渋谷区、代表取締役社長 石川あゆみ)が運営する若者マーケティング機関「SHIBUYA109 lab.」と共同で、「界隈消費」をテーマとしたマーケティングレポート「Future Evangelist Report vol.3 界隈消費」を公開した。レポートは、SNSの普及により形成される「界隈」というコミュニティを起点とする新しい消費行動の構造や、企業のマーケティング活動における応用方法を解説している。

「界隈消費」とは、SNSのアルゴリズムによって個々のユーザーが自分の興味に合った情報を優先的に得られるようになった結果、共通の「好き」や価値観を持つ人々がSNS上で「界隈」と呼ばれるゆるやかな集団を形成し、そこで共有された情報が消費行動に影響を与える現象である。たとえば、特定のアイドルや趣味、ファッションといったテーマに基づいて同好の士が集まり、そこで生まれた「界隈」内での推奨や評価が消費を促す一方で、時には別の界隈に情報が伝播することで新たな消費が生まれる。このような「界隈消費」は近年、SNS利用の拡大とともに増加しており、特に若年層に顕著な動きとして注目されている。

今回のレポートは、SHIBUYA109エンタテイメントが運営するSHIBUYA109 lab.との共同研究のもとに作成された。SHIBUYA109 lab.は、SHIBUYA109のターゲット層である15~24歳の「around20」世代に特化した調査・分析を行う専門機関であり、Z世代の消費動向を中心に実態を把握し、彼らの価値観や行動特性を明らかにしている。博報堂は同ラボの協力を得て、「Z世代」へのインタビューや生活者調査を行い、「界隈消費」のメカニズムを解明した。

このレポートでは、まず「界隈」や「界隈消費」の基本的な概念を解説し、次にSHIBUYA109 lab.の視点を交えながら消費行動が拡がる兆しを分析している。また、「界隈」を活用したマーケティング手法についても提言しており、企業がどのようにしてこの「界隈消費」をマーケティング戦略に取り入れるかが示されている。

「Future Evangelist Report」シリーズは、博報堂が掲げる「生活者発想」に基づき、「未来は、私たち一人ひとりがつくるもの」をコンセプトに発信しているものである。博報堂の多様なプランナーが「Future Evangelist」(未来の生活像の伝道師)として生活者行動から未来の兆しを読み解き、社会に有益なマーケティング戦略を提案するシリーズで、今回はその第三弾にあたる。これまでには、ウェルネスの主体変化やブランド・アクセシビリティに関するテーマでの報告が行われてきた。

また、SHIBUYA109 lab.は、株式会社SHIBUYA109エンタテイメントが2018年に設立した若者マーケティング機関であり、渋谷文化を象徴するSHIBUYA109の独自視点からaround20世代の実態調査や分析を行っている。