200万件の転職統計データを活用した求人票支援サービス「HR forecaster」は、職種×求人の平均年収がわかるデータ「保存版ハンドブック スキル年収マップ」の「ITエンジニア編(2024年度)」を公開した。

「スキル年収マップ」「IT・エンジニア職編(2024年度)」から見える傾向

「IT・エンジニア職編(2024年度)」では、AI・機械学習やデータをによる経営課題の解決・DX推進など、近年のビジネストレンドが年収ランキングに大きく反映される結果となった。また、ITエンジニア職においては、社会人経験の長さが年収に大きな影響を与えることはほとんどないことも明らかに。こうした結果から、年収を向上させるためには、ビジネストレンドに沿った職種・スキルを身につけることが重要になってくるだろう。

「スキル年収マップ」「IT・エンジニア職編(2024年度)」主な結果

ITエンジニア職の平均年収ランキングトップは「ITコンサルタント」で752万円【図①】
1位:ITコンサルタント(723万円)
2位:プリセールス(680万円)
3位:データサイエンティスト(617万円)

ITエンジニア職の平均年収ランキング1位は、IT戦略の策定やDX化を担う「ITコンサルタント」。また、IT企業の売上に大きく影響する「プリセールス」が2位にランクインし、平均年収は前回(2022年版)から約10万円増加。この結果から、IT技術が高度化する中で提案から導入まで携わる「プリセールス」の価値が向上していることが伺える。3位は、近年急速に発達しているAI開発やデータからの課題分析、DXなどの解決策の提案まで行う「データサイエンティスト」。「データサイエンティスト」は前回の4位からランクアップしており、AIやデータ活用による経営課題解決ニーズが増加していることも要因の1つと考えられる。

開発言語の平均年収ランキングのトップは、機械学習やデータアナリスティクスで利用される「R」で656万円【図①】
1位:R(656万円)
2位:Delphi(652万円)
3位:ABAP(642万円)

開発言語の1位は、近年企業での活用が進んでいる機械学習やテキストマイニング、データアナリスティクスに多く利用される「R」。また複数のOSに対応した「クロスプラットフォーム」の開発が可能な「Delphi」が2位にランクイン。昨今話題になっている製造業に強みを持つSAP製品の開発言語である「ABAP」が3位となった。

ミドルウェアの平均年収ランキングのトップは、分散処理・管理の「Apache Hadoop」で709万円【図①】
1位:Apache Hadoop(709万円)
2位:Oracle RAC(700万円)
3位:MSCS(670万円)

ミドルウェアでは、大規模システムにおいて大量のデータを効率的に分散処理・管理する技術が上位にランクインする結果に。次に、ITエンジニア職のボリュームゾーンが35歳未満であることから、社会人経験年数13年未満に限定してデータを算出してみたところ、2つのポイントが明らかになった。

社会人経験年数13年未満×ITエンジニア職の平均年収ランキングは「ITコンサルタント」587万円 がトップ【図②】
1位:ITコンサルタント(587万円)
2位:データサイエンティスト(586万円)
3位:プリセールス(539万円)

ITエンジニア職においては、「社会人経験13年未満」と「全体(社会人経験年数不問)」の年収に大きな差はなく、特に今回ランクインした3職種については、ITエンジニア職の中でも高年収の職種であることがわかった。特に「データサイエンティスト」は、年収差異が最も小さい結果となっています。その要因として、近年できた職種の1つであることから、社会人経験が業務経験やスキルの有無とは比例していないこと、またニーズの高まりから社会人経験ではなくその人が持つ技術やスキルを評価して年収を提示していることが挙げられる。

IT職種の中で保有スキルによる年収差異が最も大きいのは「インフラエンジニア」の「データマイニング」で+273万円【図③】
1位:インフラエンジニア/データマイニング 693万円 (+273万円)
2位:Webサービス系エンジニア・プログラマ/冗長化※ 710万円(+264万円)
3位:ITコンサルタント/内部統制・監査 831万円(+244万円)
※システム障害に備えて、平常時から予備装置を配置し運用しておくこと

経験年数13年未満のITエンジニアに限定し、各職種において保有スキルや経験によって年収の差があるかを調べてみたところ、一番差が見られたのは、「インフラエンジニア」の中でも「データマイニング」の経験者(平均年収693万円)だった。これは、社会人経験13年未満の「インフラエンジニア」の平均年収420万円に対して、273万円多くなっている。

また、「Webサービス系エンジニア・プログラマ」では「冗長化」の経験有無、「ITエンジニア」においては「内部統制・監査」の経験や知識があるかによって、各職種の平均年収と250万円ほどの差が生まれている。この結果から、大規模データから統計学やAIなどを駆使した分析を行うための「データマイニング」や大規模システムでは必要性が高まる「冗長化」、大手企業の内部統制・監査のニーズは引き続き需要が高いことが読み取れる。これらの職種は、社会人経験が13年未満のいわゆる若年層であっても、「ITエンジニア」の全体平均年収450万円、さらには各職種の平均年収をを大きく超えており、市場において需要が高い経験やスキル、知識を保有することで、社会人経験の年数問わず、高い年収を提示されることを裏付ける結果にもなっている。

引用元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000456.000016455.html