2024年日本建築学会作品賞において、洞窟レストラン「house & restaurant maison owl(メゾン・アウル)」が、受賞したことがわかった。

house & restaurant maison owlとは?

石上純也建築設計事務所による設計の、2021年に開業した住宅兼レストランのhouse & restaurant。まるで洞窟のような構造と造形を体現している同建築は、“時間と共に重みを増していくような建物がほしい。ツルツルのものではなく、自然の粗々しさを含むような建物。”というオーナーシェフ平田の強い思いを、建築家・石上氏が9年という歳月をかけ、完成させたもの。季節の素材をふんだんに使ったフレンチは、空間全体を彩り、他のどのような場所とも異なる、感性が研ぎ澄まされるような、至極の時間と空間の中で味わうことができる。カトラリーや器はこの空間の一部になるようオリジナルで製作された他、厳選された貴重なワインコレクションもこだわりの一つ。音の反響、香りの循環、そのすべてをとってもまさに唯一無二のレストランとなっている。

建築学会からの評価

本建造物における革新的な技術面、空間の使い方、影響力など多角的な面からの評価となった。

芸術性と感情への訴求:
この作品は、建築が社会の課題を反映するのではなく、芸術として鑑賞者に自由や喜びなどの感情の根源に触れる空間を提供している。

大地と建築の革新的な関係:
建物が大地に潜ることで、従来の地面に載るという概念を覆し、コンクリート躯体を掘り出す独自の施工法により新しい関係を創出している。

具体的な空間体験:
複数のコンクリート躯体が生む空隙が豊かなシークエンスを生み出し、もともとの地盤面から階段を下りるアプローチが心を揺さぶる空間体験を提供している。

精密な設計と多様な形態:
3Dスキャン技術を用いた設計と、コンクリートと土との接合面が生む多様な形態により、表情豊かな表面と巧みに嵌め込まれたガラス窓や扉が実現されている。プランニングと視線の広がり: 3つの庭を中心に住居とレストランを配置し、全体として一体感を持たせる回廊設計により、視線の抜け感と広がりを生んでいるため、空間が窮屈に感じられない。

受賞を通して

石上氏にとっては、2009年に受賞した「神奈川工科大学KAIT工房」に続く、2度目の受賞となる日本建築学会作品賞。15年という時を経て、ほぼ満場一致で決まった本作品は、元々は平田シェフの強い思いから始まったものだが、過去に石上氏が手がけた作品が発想の起点となったようで、一つ一つの作品が常にアップデートを続けていることが感じ取れる。建築の一般概念の枠を超えて、新しい感覚と時間の経過を感じられる石上氏の作品、house & restaurant maison owl(メゾン・アウル)は、今後も感動を生み出すレストランとして発展をしていく。

引用元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000046.000118716.html