ラクスルは、テレビCM効果の分析サービス「ノバセル トレンド」を活用し、2023年11月に放映されたテレビCMの指名検索スコアランキングを発表した。

2023年11月 指名検索スコアの高いテレビCMランキング

1位:BYD Auto Japan「BYD DOLPHIN」

(出所 BYD JAPAN「BYD DOLPHIN | BYDコンパクトEVの決定版 篇 テレビCM」2023/10/20 )

電気自動車のグローバルリーダー「BYD」が日本で発売する第二弾モデルのコンパクト電気自動車「BYD DOLPHIN」のテレビCM。小回りしやすいコンパクトさながら、車内の広さ、幼児置き去り検知システム、充電走行距離などの特徴を分かりやすく伝えたCM。

2位:物語コーポレーション「ゆず庵」

中とろから始まる様々なお寿司、熟成牛・三元豚のしゃぶしゃぶが食べ放題100分2,980円~を案内するCM。厳選された食材がアップで映され、食欲を誘うCMに多くの視聴者がくぎ付けになったのではないだろうか。

3位:セブン-イレブン・ジャパン「セブン-イレブン」

ショートケーキなどの定番クリスマスケーキとは一線を画した、有名店監修のモンブランやチョコレートケーキなどお洒落でひと味違ったクリスマスケーキを数量限定予約販売していることを伝えたCM。有名店や食材へのこだわり、デザイン性など、いつもと違うクリスマスを演出できるケーキのリサーチとして検索が増えたのではないだろうか。

4位:ライテック「NICOLESS」

タバコの代わりとなるニコチンゼロのリフレッシュアイテム「NICOLESS」のCM。スーツの男性が整列する中で、一人の女性が「NICOLESS」を手にアップで映るCM。耳にすることも多い壮大な楽曲である、リヒャルト・シュトラウス作曲「ツァラトゥストラはかく語りき」に合わせて「なにこれニコレス」と歌う訴求は、ながら視聴をしている中でテレビに目を向けた方が多くなったのではないだろうか。

5位:アマゾンジャパン「Amazon」

12月1日23:59まで開催していた「ブラックフライデー」を案内するCM。AmazonのCMでお馴染みのベルトコンベアに商品が流れ、ダンボールに梱包されていくアニメーションのクリエイティブ。BGMも含め一貫したクリエイティブをキャンペーン期間中に放映することで、視聴者が「Amazonが何かキャンペーンをしているのでは?」と気づくきっかけを与えている印象。

今月のランキングでは、数あるブランドの新車種CMが放映されている中で、なぜBYD Auto Japan「BYD DOLPHIN」が1位を獲れたのか分析。

「BYD DOLPHIN」の分析

まずは月別の指名検索数をみてみましょう。BYDに関連するキーワードは、2023年の8-9月ごろから伸びていることがわかります。2023年9月は「BYD DOLPHIN」が販売開始された月。
(参照:https://byd.co.jp/news/2023_0920_146.htmll)

テレビCMを放映開始したのは10月ですがその前から、市場の注目を集めているのが検索からもみてとれます。そして、テレビCMを放映した10月にさらに検索数の伸びが確認できた。
※出所:ヤフー・データソリューション DS.INSIGHT
※エリア:全国
※期間は2023/4/1~2023/11/30
※指名検索数は推計値であり、Yahoo!検索での検索実数ではない

「BYD DOLPHIN」がどのようなユーザーから選ばれるブランドなのか、検索行動から読み解いてみる。
「BYD DOLPHIN」を検索したユーザーが以前にどのような検索をしていたのか時系列で確認。

・「BYD DOLPHIN」を検索した15日程前に「BYD 電気自動車」
・1か月程前に「日産サクラ」「ev 自動車」
・2か月程前に「テスラ」などのキーワードを検索しているのがわかる。
「EV自動車」を検討している層が、テスラ・日産サクラなどを経て、BYDにたどり着いていることがわかる。

では、数ある電気自動車のCMのなかで、なぜ「BYD DOLPHIN」のCMがこれほどまで高い効果を出しているのか。
その他の電気自動車のCMと比較しながら考察してみる。
今回は、「日産サクラ」、「日産リーフ」、「Audi Q4 e-tron」の3ブランドをピックアップ。
それぞれどのようなコミュニケーションを展開しているのだろうか。

電気自動車クリエイティブ比較

※2022/11/1-2023/11/30に関東で放映された各社のCMなかで、最も放映が多かったクリエイティブで比較

日産サクラと日産リーフは電気自動車ならではの要素を1点推し(自宅で充電ができる、加速力・パワーがある)を訴求しているのがわかる。
Audi Q4 e-tronについてもAR技術や走行距離、充電ネットワークなど、電気自動車ならではの要素の訴求。
BYD DOLPHINのみ、電気自動車の特徴ではなく、通常の車で訴求しているような情報を打ち出し、電気自動車への関心が高くない層にも向けた興味を喚起していたのではないかと考えられる。

テレビCM放映前8月と放映終了後11月の「BYD DOLPHIN」の検索をユーザーの性別別に分解すると下記の通り。
男性の検索数が約3.5倍伸びているのに対して、女性の検索数は約4.4倍伸びている。
小回りすいすい・室内ひろびろ・もしもに備える幼児置き去り検知システムなどの訴求が、女性のニーズをより捉えていた可能性も考えられる。

性別による検索ボリューム比較

※出所:ヤフー・データソリューション DS.INSIGHT
※エリア:全国
※期間は2023/8/1~8/31、2023/11/1~11/30
※指名検索数は推計値であり、Yahoo!検索での検索実数ではない

年代による検索ボリューム比較

※出所:ヤフー・データソリューション DS.INSIGHT
※エリア:全国
※期間は2023/8/1~8/31、2023/11/1~11/30
※指名検索数は推計値であり、Yahoo!検索での検索実数ではない

8月と11月の検索数を比較すると、全年代合算での検索数は、約3.5倍伸びている。
なかでも高い伸び率を記録しているのは20代の約4.3倍、50代の約4.8倍。
元々のボリュームゾーンであった、40代~60代の検索が伸びることは、自然であるものの20代が伸びていることは上記のプロモーションと関係があると読み取れる。

「BYD DOLPHIN」は、テレビCM放映前から注目を浴びていた中で、テレビCM放映時期には既存のターゲット層の検索に寄与したことはもちろん、訴求内容を電気自動車の特徴や技術面に振り切らなかったことで、電気自動車に関心のない層の検索も獲得できたことが、高スコアにつながったのではと考える。

2023年11月放映のテレビCMは、「BYD DOLPHIN」を取り上げて解説。
テレビを”ながら視聴”するユーザーが増えている近年では、CM放映前後に商品やサービスが検索された数・割合を知ることで、世の中のトレンドや関心度が伺える。

引用元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000377.000010550.html