◆半期に一回の独自調査「トレンドマップ2023上半期」を作成、全88キーワードを調査
◆コロナ禍後を見据え、「ジオターゲティング」「ナイトタイムエコノミー」の将来性スコアが急上昇
◆初登場「生成AI(ChatGPTなど)」がジャンル別将来性スコアで2位にランクイン
株式会社日経BPは2023年5月23日、マーケティング&イノベーション専門メディア「日経クロストレンド」が作成した「マーケティング」「テクノロジー」「消費トレンド」の潮流を見極める「トレンドマップ 2023上半期」を発表、注目キーワードをランキング化。
マーケティング、テクノロジー、消費の3分野は変化が激しく、様々なバズワードが飛び交います。この中から、中長期的に注目すべきトレンド(潮流)の見極めを目的とし、日経クロストレンドの活動に助言する外部アドバイザリーボード約50人と、編集部の記者など各分野の専門家の知見を集約しました。その分析結果は、「現時点での経済インパクト」と「将来性」の2つのスコアでマッピングしている。22年10月に実施した前回調査と比較し、今回、将来性スコアが伸びたトップ3は、マーケティング分野では「音声SNS」「チャットbot(対話型AI含む)」「ジオターゲティング(位置情報・人流マーケティング)」でした。また、テクノロジー分野では「VUI(音声ユーザーインターフェース)」「人間拡張」「スマートフォン」、消費トレンド分野では「越境EC」「インスタ映え」「ナイトタイムエコノミー」だった。
一方、経済インパクトは、全体でスコア上昇率がトップだったのは消費トレンド分野の「Z世代」でした。そのほか、マーケティング分野では「クッキー代替技術」、テクノロジー分野では「バーチャル・ヒューマン・エージェント(VHA)」、がそれぞれジャンル別で高い伸びを示した。
各分野でスコアを伸ばしたキーワードランキング(2022年下半期調査との比較)
今回の調査で新たに追加したキーワードは、マーケティング分野の「CX(顧客体験)」と、テクノロジー分野の「生成AI(ChatGPTなど)」、消費トレンド分野の「リベンジ消費」「リスキリング」の4つ。
◆新たに追加したキーワードの将来性スコア
今回のトレンドマップ2023上半期調査は、23年4月に実施しました。主なトピックスは以下の通り。
なお、最新トレンドマップの全キーワードのスコア、詳細解説記事は、23年5月23日に日経クロストレンドのWebサイトで公開。
トレンドマップ2023上半期のポイント
将来性のスコアはChatGPT特需で「チャットbot」が上昇、アフターコロナ関連への期待も大
前回の調査から、マーケティング分野で将来性スコアをもっと大きく伸ばしたキーワードが「音声SNS」です。0.46ポイント増の3.24となりました。国内のポッドキャスト利用者数は1680万人に達しているとされ、特に若年層を中心に音声メディアが復権の兆しを見せていることが、将来スコアの上昇という形で表れた。
次に、将来性スコアの上昇率がマーケティング分野で高かったのが、0.39ポイント増の4.00となった「チャットbot」です。人間の指示に従って文章や画像などを自動生成する生成AI「ChatGPT」特需とも言える現象が、世界各国で起こっています。その流れを受けてチャットbotが改めて脚光を浴びていることが、本調査の結果でも裏付けられている。
政府が23年5月8日から、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけを季節性インフルエンザと同様の5類に引き下げるなど、いよいよ「アフターコロナ」が現実のものとなっています。マーケティング分野で3番目に将来性スコアを伸ばしたのは「ジオターゲティング」で、前回から0.26ポイント増の3.88となりました。消費トレンド分野でも「ナイトタイムエコノミー」が伸び率3位(0.11ポイント増の3.24)となっており、人の移動のさらなる活発化が予想される中、新たな商機が生まれると多くの専門家は見ている。
経済インパクトのスコアで「Z世代」が伸び率全体トップ、「空飛ぶクルマ」も急伸
経済インパクトで前回調査より最も高い伸び率を示したのが、消費トレンド分野の「Z世代」(スコアは0.52ポイント増の3.64)。1990年代半ば以降に生まれた若者たちが、ファッションやコスメ、外食といった分野で消費のけん引役を担うケースが増えている。SNSの利用時間もミレニアル世代(1980年〜90年代前半生まれ)に比べて2倍近く長いとされ、オフラインのみならずオンラインでも影響力が拡大していることが数字の上で裏付けられた格好となっている。
テクノロジー分野では、「空飛ぶクルマ」(スコアは0.37ポイント増の1.88)が、伸び率で2位となったのが注目です。25年に開かれる国際博覧会(大阪・関西万博)では空飛ぶクルマの商用運航が予定され、23年2月に運航事業者5社が内定。そのうちの1社であるスカイドライブ(愛知県豊田市)が約150万ドル(約2億円)で個人向けの販売をスタートさせたことも話題に。ヘリコプターのように垂直に上昇・下降が可能なことから都市部のビルの屋上でも離着陸しやすく、人流や物流を一変させる可能性があります。そこで生まれる経済インパクトに対する期待の高さが調査結果から浮かび上がった。
新キーワード「生成AI(ChatGPTなど)」は将来性スコアでジャンル別2位に
追加した新キーワードについては、AI(人工知能)の一種である「生成AI(ChatGPTなど)」が、テクノロジー分野でジャンル別スコアランキングで2位となりました。質問に対して巧みな回答が得られる点から検索エンジンの代替としてネットを席巻すると期待される技術。米OpenAI開発の「ChatGPT」の登場をきっかけに、様々な産業で積極活用する動きが生まれています。新キーワードながら3位のクラウド(スコアは4.58)を上回るスコアとなり、一時的なブームではなく高い成長性が今後期待できることが分かった。
マーケティング分野「CX(顧客体験)」も、初登場ながらジャンル別スコアランキングで2位に。CXとは、企業やブランドが企業と継続的な接点を持ち続けるために、各種デジタル技術を活用することで心地よいサービスを演出する施策のこと。例えばスターバックスは23年1月、会員プログラム「スターバックス リワード」を刷新し、購入金額に応じてためられる「Star」をコーヒー豆やオリジナルグッズと交換しやすくした。結果、従来支持を得ていたヘビーユーザーに加えて、ライトユーザーもファンとして取り込むことに成功しています。4.44と高いスコアを記録しており、さらに活用が進むと見られる。
「トレンドマップ2023上半期」の分析手法
調査は2023年4月に実施。編集部がマーケティング分野の29キーワード、テクノロジー分野の28キーワード、消費トレンド分野の31キーワード、計88キーワードを選定。それぞれを認知する人に、そのキーワードの現時点での「経済インパクト」と「将来性」を5段階で尋ねてスコアリングしました。質問の選択肢は下記の通り。
[経済インパクト]
1.どの企業も収益を得られていない/2.一握りの企業(1~2割程度)の収益に影響している/3.一部の企業(3~5割程度)の収益に影響している/4.大半の企業(6~8割程度)の収益に影響している/5.社会全体になくてはならない存在
[将来性(=企業の収益貢献や社会変革へのインパクト)]
1.将来性は低い/2.将来性はやや低い/3.どちらとも言えない/4.将来性はやや高い/5.将来性は高い
引用元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000107.000041279.html