データ活用の人材需要が高まる中で、求職者の皆さんとっては、「どんな企業で、どんな形で、分析業務に携わるべきなのか」という点を深く知りたい方も多いのではないでしょうか。外資系企業で長年データ分析に携わり、現在はクリーク・アンド・リバー社(以下C&R社)で、多業種の顧客を担当する BIエンジニアの森田に、C&R社での仕事やデータ分析の面白さを聞きました。
- デジマ業界で活躍したい人におすすめの記事です。
- 弊社でBIエンジニアとして活躍する森田が登場します。
- データ分析の面白さについて聞きました。
デジタルマーケティンググループ BIエンジニア
森田 浩彰 東京生まれ。 大学卒業後、外資系スポーツ用品メーカーで物流や営業関連のデータ分析に携わる。その後、外資系日用品メーカーで営業部門に所属し、Tableauによる売上レポーティング、分析、予測分析、売上情報システム開発のプロジェクトリーダーを担当。2018年、株式会社クリーク・アンド・リバー社に入社。デジタルマーケティンググループでBIエンジニアとして活躍。 「データ活用で世の中を良くする」ことを信条としている。Japan Tableau User Group (JTUG) 幹事メンバーとしてデータ人材育成にも注力中。
ベテランBIエンジニアが見るデータ分析の今
──森田さんは、BIエンジニアとして活躍されていますね。どんなお仕事なのでしょうか。
企業や組織が意志決定する際に根拠として、データを収集、分析、報告をする手法をBI(Business Intelligence)と言い、BIエンジニアは、BIのプロセス支援を担っています。具体的には、データを分析し、わかりやすくレポートすることが役割ですね。BIツールは数多くありますが、私は、その中でも「Tableau」を専門的に活用するエンジニアです。
──最近は、データ活用の重要性が注目されていますが、森田さんはいつ頃からこのお仕事に関わっているのでしょうか。
35年以上も前になります。大学卒業後、外資系のスポーツ用品メーカーで流通部門を担当していたのですが、在庫、仕入れ、受注、売上など、商品の流れを管理するにあたって、データに基づいてコスト削減や業務効率などの分析をしていました。
──そんなに昔からデータ分析に携わっていらっしゃったのですね。データ分析の発展を見てきた立場から、現在の状況をどうご覧になっていますか。
現在はSNS、ECサイトの購入履歴、IoT機器のデータや、テキスト以外の画像や音声を含めた、「ビッグデータ」を収集して蓄積する技術と環境が整った時代になりました。データ活用への期待はどんどん膨らんでいますが、活用という意味ではまだまだ初期段階というのが現実だと考えています。多くの企業が、どのようにデータ活用をしたらよいのか迷っているところで、それを支援する専門人材のニーズが高まっています。
Tableauとの出会いが、分析の質を上げる
──ビッグデータの時代になって、森田さんのお仕事も変わりましたか。
私の転機となったのは、2013年ごろ、TableauというBIツールに出会ったことです。この時は、外資系の日用品メーカーに転職し、営業部門で売上分析や需要予測などを担当していたのですが、本社からの指示でTableauを使うことになりました。当時、日本でTableauを使っている人は少なく、試行錯誤しながらの取り組みでしたが、使ってみると人間の思考回路にとてもよく合っていて、直感的に操作できる優れたツールでした。この技術を深く修得できれば自分自身の価値も高められると考え、かなり勉強をしました。
──Tableauは他のBIツールよりも直感的操作できるのでしょうか?
Tableauの良さを語り始めたら、3時間くらいは話してしまいますよ(笑)。データの理解にはビジュアル化がとても大切ですが、Tableauはデータの可視化、ビジュアライゼーションに優れていて、面倒な設定をしなくてもさまざまな視点からのグラフをすぐにつくることができます。
──ビジュアル化が素早くできることで、データ分析の質も上がると。
そうですね。データの分析では、大きな流れを見ることとデータをドリルダウンしてより詳細に見ることを交互に繰り返していくことが必須です。Tableauはそのサイクルをスピーディに、より自由に行うことができるので、分析対象も内容も幅が広がり、質のよい分析ができます。
専門性を発揮できる職場で、ビッグデータ活用に携わる
──森田さんは、2018年にC&R社に入社されました。そのきっかけは?
Tableauを使って、質の高いBI支援ができるようになり、この専門性をもっと活かしたいと考えたことです。会社組織では、年次が上がっていくと、マネジメントなどジェネラルなスキルを求められるものです。しかし、データ活用がどんどん重要性を増している時期でもあり、ジェネラリストよりもデータ活用のスペシャリストとして働きたいと考えました。それで転職先を探して当社に出会い、面接でデータ活用の考え方に共鳴し、ここなら面白いことができると思いました。
──主に、クライアントメインのお仕事だと思いますが、入社後に携わったプロジェクトについて教えてください。
最初に携わったのは、『大手鉄道関連会社様』の位置情報活用案件です。個人を特定しない形でスマホアプリから取得できる位置情報を使って、「人は何によって移動するか」分析したプロジェクトです。具体的には、クーポンをプッシュ配信した人がどのように反応するのか、どこでクーポンをもらった人がお店まで移動して使ったのか、データ分析で行動変容の様子を捉えました。
また、観光地への集客のため、地方の観光施設、観光スポットでの人の移動する様子を分析し、旅行者への効果的なアプローチ方法の解明につなげるプロジェクトにも参加しました。普通は見えない「人の移動」を、データを使って可視化できたことはとても面白い経験になりました。これは、クライアントさまが、データ活用専門の新会社を立ち上げるきっかけになったという点でも印象深いプロジェクトです。
──スマホデータを使った、ビッグデータの時代にふさわしいプロジェクトですね。新しく立ち上がった会社のプロジェクトにも参加されたのですか。
はい。先程の移動者情報の案件がきっかけに立ち上がった、スタートアップ企業の案件にも参加しています。外部顧客のサイトでのユーザー行動を可視化するなどしています。ほかにも、EC専門の化粧品メーカーサイトでのユーザー行動、購買傾向、広告効果などの分析とレポーティング、飲料のECサイトでの顧客行動分析などにも携わっています。人の移動と同じく、サイトでの顧客の行動・移動を可視化することは、顧客の考えや嗜好に具体的にアプローチすることにつながり、各種の施策に役立っています。
データ分析は、どんな業種でも適用可能
──以前は自社の分析を担当、今は顧客企業の分析を担当されていますが、業種もさまざまになり、難しい点もあるのではないでしょうか。
業種がさまざまであることは、データ分析では大きな問題にはなりません。なぜかというと、ビジネスは実はとてもシンプルだからです。利益を伸ばす方法は、売上を伸ばすか費用を削減するか、しかなく、売上を伸ばすには、新規顧客を増やし流出する顧客を減らして、客単価を上げ購入頻度を上げる。どんな業種でも同じです。その視点を基本に、細かく要素を分解してデータを見て、具体的な解決策を探ります。抽出されたデータを分析し施策を打ち、その結果を分析して検証、この繰り返しがデータ分析であり、そこに業種の差異はありません。どんな業種にも適用できるのです。
──では、転職後に戸惑いはまったくなかったのでしょうか。
難しかったのは、顧客とのコミュニケーションの部分です。自社内での分析は、企業の目指すところや課題をよく理解した上で行うことが出来ます。顧客企業の分析では、課題を尋ねれば答えていただけますが、それが本当の課題かどうかはわかりません。分析レポートでもそうです。たとえば「売上の進捗状況をグラフで見たい」と言われても実際に知りたいのは、売上の変化やその要因だったり、予測だったりする場合もありますので、顧客が求めている本当の課題を探るためコミュニケーションに工夫が必要です。その点は少し勝手が違いました。ただ、データ分析は、先ほども言ったように、大きな流れと詳細を交互に見ることを繰り返していくものですから、それを行いながら細かくコミュニケーションを重ねていけば、真の課題に向かって軌道修正していくことができます。トライ&エラーを繰り返せば解決できることです。このトライ&エラーを速く回すことが必要だと感じています。
C&R社での多くの専門人材との協業が刺激に
──豊富な経験を持つ森田さんですが、C&R社に転職されて成功でしたか。
専門技術を持つ人材を評価する当社では、自分の力を余すところなく発揮できています。専門性を活かしたくての転職でしたから、成功です。また、各分野に高い知識や専門性を持っている人材が揃っていることには驚きました。本日お伝えした案件でも、AIの専門家、位置情報技術に長けた方など、プロフェッショナルな人々と協業できたことは刺激になり、知見も広がりました。ひとつの企業で社内の分析をしているときにはできない経験です。
──それはよかったです! それでは最後に、データ系職種の方にメッセージをお願いします。
データ系人材の市場価値は高まっています。しかし、ツールが扱えるだけでは、よい仕事はできません。ビジネスのこともわかっている必要がありますし、BIのシステムやデータベースシステムの理解も重要です。総合力を高められるように学んでほしいと思います。そしてもうひとつ、データは過去の事実であり、データからわかることは、いってみれば誰でもわかることでもあるのです。これから成長する、ほかの人がやっていない将来のビジネスのヒントは、外れ値として処理するようなところにあるかもしれません。柔軟な考え方でデータを見る眼も大切です。
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