リモートワークがなかなか普及しない日本において、比較的リモートワークがしやすそうなWebディレクターという職業。

今回は、1年間がっつりとリモートワークをしてきた現役Webディレクター4名に「ぶっちゃけリモートワークはどうだったのか?」本音をぶつけ合ってもらいました。

  • 弊社では2020年4月からリモートワークを本格導入!
  • 仕事時間の過ごし方やコミュニケーションについて、弊社のWebディレクター陣が語ります!

【ダイジェスト版】1分動画でお届けします!

話すひと

寺地さん寺地さん
20代/Webディレクター、Webマーケター
杉本さん杉本さん
30代/コンテンツディレクター
松尾さん松尾さん
20代/Webディレクター
小川さん小川さん
30代/Webディレクター 兼 インタビュアー

※以下、敬称略

リモートワーク最大の課題は“ランチタイム“の確保?

――Web系って、リモート余裕なんじゃないの?って思われがちですが、実際どうですか?

寺地 良い面、悪い面が分かれると思っていて、良い面としては通勤に工数がかからない。業務効率としては良いなと思います。ただ仕事を振っていて、その人の進捗がわからないのが嫌だなと感じていますね。

依頼しても口では「わかりました!」って言われても心の中では「(ちょっと嫌だな)」とか、そういう塩梅がわかりづらいのがありますね。
寺地さんのコメント
杉本 私も最初は電話するタイミングとか迷いましたもん。お昼はいないんだなとか。
12時ぐらいに電話かけるの気が引けるなーとか。「お昼食べてるところだと思うんだけど、ゴメンね!」みたいな。今はまったく気にならなくなりましたけど(笑)

松尾 私も気をつかっちゃって、(電話かかってきたら困るから)お昼ごはんを家でとるようになっちゃって。

1週間ずっと外でなかったら、たまに外でお昼ご飯を食べようと思うけど、でも電話かかってきたらどうしよう…って。
座談会1
寺地 出社していたころは「12時から13時まではみんなランチだよね」っていう認識があるけど、リモートだと普通に12時から会議あったりするし(笑)

杉本 あるある!

寺地 だから、たまにスケジュールに「お昼ご飯」っていう予定入れたりしますもん。

杉本 予定ブロック、みたいなね。

寺地 そこが難しいかなーと思いますが、一方、うまく立ち回れる人にとっては(リモートワークの方が)楽なのかなと。気配りをされる方ほど、大変そうだなぁと。僕、外出中でも仕事の電話とっちゃうタイプなんですよ。

――この1年間で、リモートワークに向いている人と向いていない人の違いって何となくわかってきましたか?

松尾 わたし向いてないかも(笑)
松尾さんのコメント
杉本&寺地 (笑)

松尾 やっぱ、他人の目が無いから暇になったとき「どうしよう!」ってなっちゃったり。出社と在宅では、めちゃくちゃ効率に差を感じていて…2020年3月からずっと出社が無かったんですけど、自分でも効率が落ちたのを感じて、「何とかしなくちゃ!」って思っていました。いまは週1日出社になってだいぶ効率的になりました。

そのとき「あ!私って在宅が向いてなかったんだー」って思いました。

――それは現在のような“週1日出社”が効率面ではベストということですか?

松尾 いえ。正直、全出社がいいなーと。

杉本 でもたしかに(出社した方が)メリハリはつきそうですよね。

松尾 はい!リズムを作って仕事に臨めるので。

どうやって仕事のオンオフを切り替えてる?

――実は毎日の出勤時間が重要だったようで、1時間の電車通勤の間で気持ちをプライベートモードから仕事モードに切り替える方も多いようです。今はその切り替え時間が無くなって「家のベッドから机に移動したところで、仕事モードに切り替わらねえよ!」ってみたいな声も耳にします

寺地 その気持ちわかります。僕もいま仕事のオンオフ(の切り替え)無いですもん。

思わず吹き出す松尾さん
杉本&松尾 (笑)

寺地 リモートに向く&向かないに関しては、普段からチャットで依頼を残したり、自分から他の人に仕事を発信するポジションの人は向いていると思うんですよ。周りから仕事が見えやすいというか。

逆に(仕事を振ってもらう立場で)周囲から「大丈夫かな?」って可愛がられるタイプの人は、周りから声がかけられやすいから、出社の方が向いているのかなって思いますね。
なんかリモートだと、チャットで突然「(仕事)大丈夫?」って来たらなんか怖いじゃないですか?(笑)出社していると仕事の調子が雰囲気でわかるんで。

杉本 うん。なんか今日辛そうだなーとか、この作業手間取ってるなーとかわかる。

私はリモートワークで通勤の1時間が浮いたら「その時間でさらに仕事ができる!」って思っちゃうタイプなので。私はリモート向いているんだと思う。

あとリモートだと仕事が多少夜遅くになっても気にならないというか、出社していると「もうそろそろ帰らないと!」って雰囲気になるけど、家だと「もうちょいできる!」みたいに余裕もって仕事ができる。
杉本さんのコメント
あとプロジェクトを何個も掛け持ちしていると、チャットとかラインがずっとうるさいんですよ(笑)つねに何か(スマホやPC)がガチャガチャ鳴ってるみたいな。常に話しかけられるし、メールも殺到するから。時間を有効につかいたい気持ちがつよいというか。

割と時間を自由に使えた方が私はやりやすいですね。

――ということは、ワークライフバランス型の人よりもワークアズライフ型みたいな、仕事とプライベートがごちゃ混ぜぐらいの人の方がリモートワークに向いているかもしれないんですね。

杉本 うんうん、そうだと思う。

寺地 ちなみに全員がリモートワークになると、タスク漏れのチェックする人がいるだけで、神扱いされるんですよ、僕がそうなんですけど(笑)

――(笑)Webディレクターはたくさんの人とプロジェクトを管理しますもんね。

寺地 そうですね。リモートだと、管理できる人が評価されやすい気がします。だから、もし全員出社になったら、僕は嫌だなって(笑)

――フルリモートの方がWebディレクターの価値がより増すからですね(笑)

寺地 そうですね。

在宅ワークとリモートワークは別モノなのか?

――私はコロナ前からリモートワークをしていたのですが、いまのリモートワークって、『どこでも働ける』ではなく『家で働け』なので、テレワークの魅力である“自由”とは真逆なんですよね。だから正直、現状の働き方をリモートワークのポテンシャルだと思われたらちょっと不本意なんです(笑)

寺地 たしかにわかります!僕も(出身地の)鹿児島に戻って仕事したいって気持ちはあるんですよね。

杉本 ああ、たしかに!

寺地 だって今みたいにどこにいたって仕事が出来るんだったら実家の近くで仕事をしたい。だって鹿児島の家賃って、5万円ぐらいですよ。
意気投合する2人。
杉本 「実家に帰って仕事したい!」って思いますよね。それこそ最近、私も引っ越しを決めたんですけど、リモートワークって、狭い部屋だとキツイんですよ。だからちょっと広めの部屋にして、生活のメリハリがつけれるような空間にしようと思った。一人暮らしの1Kとかだと、1日中ずっと同じ場所にいるのは大変だと思う。

松尾 そうですよねー。わたしは仕事用のデスクですら買いたくなかったですもん…(笑)

杉本 うん。だから多分、家の中でもオンとオフのメリハリがつけれる状況の人は在宅の方が楽なんだけど、そうじゃない人は出社した方が楽なんだと思う。

――ここにいる4人は少数派なんです。

杉本 たしかに!私の友達(大手の商社勤務)もほぼ出社しているし、大阪支社の商社のひとも「集まらなあきまへん!」みたいな感じになっていて。リモートを提案しても断られて、顔合わせてナンボみたいなのがあるから。特に大きい会社ほどそういうのがあるだろうし。

リモートで崩壊しないマネジメントのコツは?

――Webディレクターって関わる人がめちゃくちゃ多い職業ですが、フルリモートでチームビルディングやマネジメントしていくのって、何かコツってあったりするんですか?

寺地 僕の場合は、ひたすらリマインドをするっていう。(工程が)1つズレると後の全部がズレちゃうので。だったら一回、聞いて「あ、ここ遅れるんだね。じゃあいつまでにやろうか」って決めて、「ここが遅れそうなので、じゃあこうしましょう」とか。ひたすら調整しますね。
寺地さんのコメント
――なるほど。オフラインの時よりも連絡を密にとって、案件が炎上する3歩手前ぐらいで手を打っておく感覚ですね。

寺地 そうですね。料理と一緒です!これを仕込んでいる間にこっちの材料を準備しておくとか。そんな感覚です。

――ああ、ニンジンは火が通りづらいから先に根回ししておくとか。

寺地 そうですそうです。

――リモート下でのWebディレクターはより一層、頻繁に連絡をとって全体を調整していくことが必要だとわかりました。一方、オフィスでの雑談がその役割を担っていたとも言われています。失われた”雑談”の時間は取り戻すべきなのでしょうか?

松尾 私は気軽に喋りやすい関係値を築いた方が、いいアイデアが出やすいって思います!

――みんながリモートの状態で、昔のようにナチュラルな雑談をするのって、どんな方法があると思いますか?
座談会の風景
寺地 僕が1つ心掛けているのが、毎週チームで朝会を30分だけやっていて。そこで今週の共有事項について確認する際、僕は絶対に何かを話すようにしていて、さらには何かしらの冗談を織り交ぜるようにしています。

たとえばですがサザエさんの次回予告のノリで「今週のタスクは○○と○○と○○の3本です!」みたい流れを作って、それをチームに振っていくみたいな。

だから直接的な雑談ではないけど、「この人には何でも言ってOKそうだな!」みたいな状態にしておくことが大事かなと。仕事も、せっかくなら楽しい雰囲気でやりたいので。

杉本 私は何かあればすぐに電話しますね。

寺地 それわかります!

杉本 うん。たしかに仕事の要件伝えるだけならチャットでもいいんだけど、他にも気になることあったら電話して、雑談がてら情報をシェアするとか。それが雰囲気づくりに役に立ってると思いますね。

寺地 現状ありがたいことに(すぐに電話かけるタイプの人が少ないので)電話が混在しないんですよね。みんな電話は空いてるんです。

勤務時間8時間のうち、働いてるのは…?

――これからの時代のWebディレクターにとって、オンラインでの雰囲気づくりも必須スキルになっていくんでしょうか?

杉本 やっぱり要件があって電話するんだけど、プラスアルファで信頼度を高めていかないと、コミュニケーションって深まらないから、そのプラスアルファをどう作るかって意識しないといけないかも。
どこかでも雑談に繋げられます。
――なんかそれって高等技術な気がします。特殊能力な気がするのですが、意識してできるようなものでもないというか。オンライン業務中に雑談を組み込むのって、それこそ仕事と趣味をハッキリ別けているスタンスの方ほど難しそうですが如何でしょうか?

杉本 たぶん慣れだと思います。たとえば電話していて後ろに何か音が聞こえていたらなんとなく状況がわかるじゃないですか、お子さんが泣いてるとか。そしたら「いま子供泣いてるけど大丈夫?」みたいな(笑)状況が読めるようになれば、他愛ない会話ができるようになるというか、視覚でできないぶん、耳からの情報で入れればできるようになるかなと

寺地 あとは僕、みんな真面目過ぎるんじゃないかなって思うんですよね。

杉本 ああー!それありそう。

寺地 勤務時間8時間中、ずっと根詰めてアウトプットし続けられると思っているのか?と(笑)

杉本 絶対、無理。(笑)そんなひといない(笑)

寺地 そうなんですよ!ネットで情報収集している時間だって必要じゃないですか、自分への蓄積として。それって趣味みたいな感覚でやるのが丁度良いんですよね。

杉本 たしかに。

松尾 出社すると「あれ、まだやるべき仕事残ってるかな?」ってダラダラ仕事しちゃったりもあったと思うんです。

寺地 あとオフィスにいると周りの目を気にしちゃうんですよね。すると業務以外のインプットが少なくなっちゃう。仕事以外のインプットも重要なんです。

オフィスでも突然大声で「芸能人の○○さんが結婚したってよ!」って話す人、たまにいませんでした?でもそういう人に「いつネットニュースみたんだ!」って怒る人はいなかったですよね(笑)
一同爆笑
だから自宅でリモートワークするときにClubhouseとか聴きながら仕事してもいいと思うんです。リモート下で、8時間かつかつで仕事してキャパオーバーになる人がいたら、それは仕事を振った側が悪いと思います。

杉本 うんうん。

――なるほど。だんだん巷で話題の“リモート疲れ”の正体がわかってきました。あの原因ってみなさん真面目すぎるってことなのかもしれませんね。

杉本 そうだと思う!特に若い子は頑張りすぎて鬱っぽくなっちゃうって聞きますね。仕事していない時間をどう過ごしたら良いかわからないんだと思います。

最近はエクセルのマクロの作り方とかYouTubeに動画がたくさん載っているので、合間にそういうのを楽しく観たり、そんなカチンコチンに「仕事やらなきゃ!」ってならなくてもいいと思うんですよね。

寺地 最初はインプットがうまくできなくても、アウトプットだけでも良い。「わたしこれ疑問に思いました!」という無垢な質問をチーム内に共有するだけでも十分です。

杉本 本当にそう。でもさ、それが言えないんじゃない?それ言える子なかなかいないんだよ。そういう子って、すごく優秀だと思う。

――なるほど、インプットする時間も立派な仕事だし、ちょっとした疑問をアウトプットするのも立派な仕事だということですね。

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インタビュー・テキスト:小川 翔太/企画・編集:澤田 萌里(CREATIVE VILLAGE編集部)