2001年、才能ある人材に映画初監督のチャンスを与えるためにマイケル・ベイと共にプラチナム・デューンズを創設。ハリウッド・レポーター誌が主催する2014年の「プロデューサー・オブ・ザ・イヤー」を受賞したブラッド・フラーさん&アンドリュー・フォームさん。その最新作『ミュータント・タートルズ』は、世界42ヵ国でNo.1ヒットを記録しているアクション・アドベンチャーです。日本での公開に際し、お2人の映画作りについて、お話を伺いました。
<アンドリュー・フォームさん>
■ ハリウッドでの、ジェリー・ブラッカイマー(映画プロデューサー)との出会い
ニューヨークで過ごしていた子どもの頃から映画が大好きでしたが、エンターテインメント業界のことは全く知りませんでした。
映画の仕事に携わることになったきっかけは、大学の時にハリウッドに行ったことです。
エンターテインメントの世界に憧れて、ハリウッドに出て行ったら、ラッキーなことに『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなど大ヒット作を手がける映画プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーとの出会いがありました。ジェリー・ブラッカイマーが私の中に何かを見つけてくれて、助手として雇ってくれたのです。大学を卒業して最初の仕事が彼のアシスタントで、以後何年にもわたり、彼の側で多くを学びました。
そうして映画の仕事を続けていく中で、マイケル・ベイと、本作で共に製作を手掛けるブラッド・フラーとは、長く交友がありました。2001年にマイケル・ベイが『パール・ハーバー』を監督してから、彼がもっと映画を作りたいと考え、もともと友人だった僕らに声をかけてくれて製作会社プラチナム・デューンズを創設することになりました。
それ以来、13本の映画を製作してきて、それはとても素晴らしい経験となっています。2001年にマイケル・ベイのアイディアで会社の創設に声をかけてもらったことは、大きな転機になりましたね。
■ タートルズそれぞれのキャラクターを大切に描く
最先端のVFXテクノロジーを取り入れて、長く愛され続けているタートルズをスクリーンに蘇らせるにあたり、一番大切にしたものは、タートルズそれぞれのパーソナリティ、キャラクターです。
タートルズは、1984年にケヴィン・イーストマンとピーター・レアードによるコミックブックとして誕生して以来、アニメのTVシリーズや映画など、様々な形で親しまれてきたものです。その30年の歴史の全てを引用して、新しい映画を製作しているつもりなのですが、ファンの中にはコミックだけを見て育った人も、映画だけを見て育った人もいます。
コミックがタートルズの全て、という人は映画からの引用を「違う」と感じますし、逆に映画だけを見ていた人はコミックの引用に違和感を覚えるので、全員を満足させるのはとても難しいです。
そのことを分かった上で、大切にしていたのは「キャラクターが見える瞬間を描く」ということです。
どんなに大きなアクションシーンでも、キャラクターが見えてこないと、つまらないものになると思います。例えば、私たちが”雪の追跡シーン”と呼んでいる場面で言うと、ドナテロが背中の甲羅で滑っている中、車がひっくり返る瞬間に笑顔が見えます。ちょっと鼻を鳴らしたりする遊び心も見えます。それこそが、まさにタートルズだと思うんです。あんな大変な最中でも”楽しむことを忘れない”のが彼らのキャラクターで、それが見えることが大事だと思っています。
■ 扱っているテーマ、素材を愛していることが一番大切
映画の製作にあたり、ファンの方たちの存在は強く感じていました。例えばニューヨークで撮影していると、通りがかりの人が写真を撮ってすぐにネットにアップして、そうするとファンの人がすぐに反応して…撮影している20分後にはリアクションがあるので、彼らの反応は意識させられました(笑)
そうして、前からのタートルズのファンが喜ぶことなどを意識しながらも、やはり製作していく上では、扱っているテーマ、素材を愛していることが一番大切です。映画製作には大変なことも多いので、自分が大好きなものでないと辛くなってくると思います。ただ、本当にその扱っているものを愛していれば、乗り越えて良い作品を完成させることができるはずです。
<ブラッド・フラーさん>
■ 製作会社プラチナム・デューンズの活動に込められた想い
僕もアンドリューと同じように子供の頃から映画が大好きで、自分にとっての情熱でした。映画業界でずっと働いてきて、下積みからここまで来られたのは映画が大好きという気持ちがあったからだと思います。
2001年にマイケル・ベイに声をかけられて創設したプラチナム・デューンズの活動には、才能ある人材に映画初監督のチャンスを与えたい、という想いが込められています。マイケル・ベイは自分が若い時にジェリー・ブラッカイマーやドン・シンプソンに長編映画を作るチャンスをもらったことに、とても感謝しているそうです。
そのため、今度は自分が若い人に1作目の長編を制作する環境を提供したいと思ったようで、僕たちはそれを手伝う役目をしています。
■ 「No」と言われても諦めない気持ち
製作会社プラチナム・デューンズの活動は様々に広がっていて、2014年は『ミュータント・タートルズ』に加え、ユニバーサル・ピクチャーズ用に製作した『The Purge: Anarchy』、人気ボードゲームに基づくホラー映画『Ouija』の計3作品を公開しました。
そして、ハリウッド・レポーター誌が主催する「プロデューサー・オブ・ザ・イヤー」賞にも選出され、とても嬉しく、改めてやりがいを感じる1年となりました。ただ、2015年はまた新たに始めなければ、という想いです。
『ミュータント・タートルズ』は既に続編の製作が決定していますし、今後の製作を視野に、良い原作や素材がないかも探している状況です。日本のホラーも好きで、気になっていますね。
これから映像製作などに携わりたい、という方には「No」と言われても諦めるな、ということを伝えたいです。僕たちが作っているどの映画でも最初は「No」と言われていました。それにくじけないで、何度も何度も挑戦して、諦めなかったからこそ、映画を完成させることができたのだと思います。
■作品情報
『ミュータント・タートルズ』
2月7日(土)全国ロードショー
製作:マイケル・ベイ(『トランスフォーマー』シリーズ)、ブラッド・フラー&アンドリュー・フォーム
監督:ジョナサン・リーベスマン(『タイタンの逆襲』、『世界侵略:ロサンゼルス決戦』)
出演:ミーガン・フォックス、ウィル・アーネット、ウィリアム・フィクトナー、ウーピー・ゴールドバーグ ほか
日本語吹替え版:ベッキー<エイプリル役>、泉ピン子<トンプソン役>、カンニング竹山<スプリンター役>