ゲームが好きで異業種からゲーム業界に転身したエンさん。中国でゲーム制作の進行管理業務を経験後、クリーク・アンド・リバー社(以下C&R社)に入社しました。
進行管理という仕事へのこだわりや楽しさ、日本の働く環境について、お話しいただきました。
制作進行管理/エン(Yan)
中国・天津出身。ゲームが好きで日本に興味を持ち、大学で日本語を専攻した。中国でゲーム制作に携わった後、2019年3月C&R社に入社、進行管理業務に携わる。
「一度は好きなことを仕事にしたい」とゲーム業界に飛び込む
──C&R社入社前の経歴を教えてください。
大学卒業後、日本語講師や物流会社の仕事を経験しました。
人生で一度は、大好きなゲームの仕事をしたいと思い、2016年、中国でゲーム制作を請け負う会社に転職し、進行管理を担当しました。
──C&R社入社のきっかけは?
ゲームに関わるのは楽しかったのですが、ゲーム開発にもっと近いところで働きたいと考えるようになりました。有名なゲーム会社が多い日本で働くため行動を開始した頃、C&R社の社員と名刺交換をする機会がありました。
エージェント業務も行っていると聞いて連絡をとったところ、C&R社内でも求人があると紹介されたことがきっかけです。
スムーズな進行には、余裕のあるスケジュールが重要
──現在のお仕事内容を教えてください。
ゲーム制作の進行管理として、スケジュール管理、チームメンバーのアサイン、トラブル対応などを行っています。
1本のゲーム全体ではなく、たとえば、イラスト制作、モデリングやモーションをつける工程など、制作工程の一部分について、受注し納品するまでを管理します。
──チーム体制はどのようになっていますか。
案件によっても異なりますが、社内で3〜4名、外注する協力企業が4社程度です。
社内のメンバーはディレクション業務が多く、実際の制作業務は外注先のイラストレーターさんやデザイナーさんにお願いすることが多くなります。
──お仕事で工夫されていることはどんなことでしょうか。
制作過程ではいろいろなことが起きるので、必ず余裕のあるスケジュールを組むようにしています。
経験が浅い時には、外注先から伝えられた通りのスケジュールを組んで、実現できないこともありました。
ですが、経験を積んでいくうちに体感で「無理そうだ」とわかり、あらかじめ調整できるようになりました。
クライアントから言われたスケジュールについても、変更が必要と判断すれば交渉します。
クライアントには一歩進んだ提案、メンバーにはモチベーション向上の配慮
──クライアントに対して、要望通りにできないと言うのは勇気の要ることではありませんか。
もちろん、ただ「できない」と言うのではいけません。できない理由を説明し納得していただいた上で、スケジュール変更や制作上の方法変更など、一歩進んだ提案をします。
日頃からクライアントへの連絡を密にして信頼関係を築くことが必要です。
クライアントによい提案をするには、チームメンバーとよく話し、どんなことができるのか把握することも大切だと思います。
チームメンバーに対しては、どんなジャンルのものを手がけたいのか、普段の雑談などで聞き取り、なるべく希望の仕事にアサインしてモチベーションを上げることに気を遣っています。好きなことには自然に意欲が湧くものですから。
ただし、私ひとりの判断では、よい選択になるとは限らないので、月に2〜3回、アサインのミーティングを開いて、全員の意見を聞きながら決定しています。
──そうした配慮は、チームの人たちも嬉しいでしょうね。
皆さんからお礼のメッセージをもらえることもあり、私の意欲の源です。私自身は、デザインやイラストなどの作品を生み出すことはできませんが、作品をつくる人をサポートできることは大きなやりがいであり、とても楽しい仕事です。
納品が完了したときの達成感は特別です。メンバーが作品制作に集中できるように、クライアントとのやりとりや事務作業は私が全て担う環境づくりを心がけています。
皆をサポートして喜んでもらえることが、私の喜びです。
『逆転裁判』をクリアするために必死で辞書を引いた
──中国と日本で仕事の進め方に違いはありますか。
特に違いは感じません。ゲーム業界は市場がグローバルで、仕事の進め方には世界共通のものがあると思います。戸惑うことなく仕事ができるのは、C&R社の環境も影響しています。
わからないことがあったときに、迷うことなく質問できて、上司のサポートもしっかりしています。外国籍のメンバーは他にもいて、会社全体で国籍をあまり意識しない雰囲気があると思います。
──生活面ではいかがですか。
同じ東アジアの国で、食事では困ることはありません。自然環境がよく、日帰りや一泊で、山や湖など美しい自然に触れられるところが気に入っています。
──ゲームはどんなものがお好きなのでしょうか。
ジャンルでは、RPGや乙女ゲーム、推理系のゲームが好きです。学生時代、『逆転裁判』が好きでしたが、文字が多いゲームで、新作が発売されてもローカライズがなかなかされず、一刻も早くやりたくて、日本語版をぶ厚い辞書を引きながら必死でプレイしました。
ゲームがしたくて日本語を勉強していたようなものですが、結果、こうして日本でゲームの仕事ができているのですから、本当に正しい選択をしたと思っています。
──今後の目標を聞かせてください。
当面は、今の仕事で経験を積んで力をつけていきたいです。
社内には経験豊かな人が揃っているので、いろいろな事例を聞いて、業務に活かしたいと考えています。
業界の人間として、好きなゲームだけでなく幅広くゲームの知識を持つことも必要だと感じます。ビジネスの日本語ももっと磨きたいですね。
そして将来的には、ゲーム制作全体をマネジメントすることが目標です。どのように企画が立ち上がり、ストーリーが決まるまでにどんなやりとりがあるのか、制作現場を広く深く知りたいと思います。
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取材・ライティング:あんどうちよ/撮影:SYN.PRODUCT/編集:田中祥子(CREATIVE VILLAGE編集部)