通訳は、異なる言語を使用する人同士のコミュニケーションを手助けするための仕事です。例えば、外国語から日本語、日本語から外国語へと翻訳することで、両者の円滑なコミュニケーションをサポートします。
グローバル化が進む現代においては、通訳が必要となる場面が増えています。言語が異なる人々をつなぐ通訳の仕事に、憧れる人も多いのではないでしょうか。
通訳にはどのような仕事があるのか、通訳の具体的な仕事内容について興味がある人もいるのではないでしょうか。
ここでは、通訳の仕事の役割や通訳形態の種類の紹介をはじめ、通訳の仕事の種類や具体的な仕事内容・業務の流れ、気になる通訳の年収について解説します。
1 通訳の仕事・役割とは?
通訳といえば日本語を英語に翻訳するイメージが強いですが、中国語や韓国語のほか、ベトナム語やタイ語などへ翻訳する仕事もあります。さまざまな言語が存在するからこそ、通訳は各国の架け橋となる存在なのです。
通訳は、ただ言葉を翻訳することだけが仕事ではありません。目的は円滑なコミュニケーションをサポートすることです。同じ単語を使っていても、言葉にこめられたニュアンスや微妙な感情、意味合いは異なることがあります。言葉をそのまま直訳してしまうと、国によっては違った意味に捉えられてしまうこともあるかもしれません。
機械的に言語を翻訳するのではなく、文化的な背景や言葉に含まれる感情や意味合いをしっかり理解し、正確な意思疎通を目指すことが通訳の重要な役割です。そのため、通訳は両国の言葉だけでなく文化などについても精通している必要があります。
2 3つの通訳手法
通訳には、主に、逐次(ちくじ)通訳、同時通訳、ウィスパリングという3つの手法があります。それぞれの通訳形態・形式の特徴について詳しく解説します。
2.1 逐次(ちくじ)通訳
逐次通訳は、話し手が話したことを、話し手の発言するタイミングを見計らいながら、都度通訳する手法です。1文や2文など、きりのいいところまで話の内容を把握しておき、まとめて通訳します。
通訳までに少し時間がかかりますが、その分、より正確な通訳が可能です。主に、講演会やインタビューなどで用いられることが多くなっています。
2.2 同時通訳
同時通訳は、話し手の言葉を聞きながら同時に通訳していく手法です。大規模な国際会議、シンポジウムといった重要な会議などで用いられることが多く、通訳ブース内で通訳することが特徴です。通訳された内容は、ヘッドホンやイヤホンを通じて聞き手に伝わります。話し手の言葉を聞き取り、瞬時に理解して通訳することになるため、同時通訳には高い技術力が求められます。
また、高い集中力が必要となるため、長時間の稼働はせず、短時間で交代しての働き方が一般的です。重要な会議などでは、約15分ごとに交代するなどして通訳をします。同時通訳においては、集中力を持続させて正確な通訳をすることが求められます。
2.3 ウィスパリング
話し手の言葉を、聞き手の隣で同時に通訳するのがウィスパリングです。話し手の言葉を同時に聞き手に伝えることになるため、基本的には同時通訳と同じ仕事内容といえるでしょう。
ただし、同時通訳はブース内で通訳するのに対し、ウィスパリングは聞き手の隣に立ち会うという違いがあります。逐次通訳とは違い、聞き手のみに聞こえるような囁き声で通訳することから、ウィスパリングと呼ばれます。主に、商談などのビジネスシーンなどで多用される手法です。
3 通訳の仕事の種類
通訳の仕事にはさまざまな種類があります。それぞれの仕事で求められるスキルが違うので、通訳を目指すのならばぜひ覚えておきましょう。
ここでは、通訳の仕事の種類を大きく4つに分けて解説します。
3.1 ビジネス通訳
主にビジネスシーンで活躍するのが、ビジネス通訳です。国際的なビジネスをする機会が多くなってきた時代だからこそ、ビジネス通訳の需要は増えている傾向にあります。
ビジネス通訳には、主に「会議通訳」「ビジネス通訳」「放送通訳」の3つがあります。
3.1.1 会議通訳
会議通訳は、国際会議で用いられる通訳の種類です。重要な決定に影響する可能性も高い国際会議では、通訳はとても重要な役割を果たします。
正確な意思疎通を図ることができなければ、ビジネスに影響を与えることも懸念されるため、スピーディーで正確な通訳が必要です。そのため、実力があり経験豊富な通訳者が求められます。重要な役割を担い高い技術力が求められることから、通訳の仕事のなかでは最上位に位置付けられています。
3.1.2 ビジネス通訳
ビジネス通訳は、商談や会議で必要となる仕事です。外国人との商談や会議では、いかに円滑なコミュニケーションを取れるかがビジネスの行く末を左右する場合があります。専門知識が必要な場合もあるため、事前に準備しておくことが欠かせません。
ビジネス通訳は、IT業界においても通訳者のニーズが多くなっています。インターネット広告やインターネットメディアなどのWeb業界をはじめ、ゲーム業界や映像業界などといったIT関連のクリエイティブを担う業種でも求められています。
3.1.3 放送通訳
放送通訳は、海外メディアの速報やニュースを通訳する仕事です。海外で放送された内容を聞いて、国内向けに放送できる内容へと通訳します。海外からの中継の場合は、特に高度な技術が必要とされる仕事です。
3.2 エンターテインメント通訳(エスコート通訳)
エンターテインメント通訳はエスコート通訳とも呼ばれ、海外から来日した著名人に同行して通訳する仕事です。主に、テレビへの出演時やイベント時において通訳するエンターテインメント通訳では、話し手と何かしらの接点がある通訳者が起用されることが多くなっています。
例えば、話し手が出演している映画の字幕を担当している通訳者などが、優先的に任される仕事です。
3.3 コミュニティ通訳
コミュニティ通訳は、在日外国人で日本語を話すことができない人を支援するための仕事です。主に、「学校通訳」「医療通訳」「行政通訳」「司法通訳」の4つがあります。
3.3.1 学校通訳
学校通訳は、外国人の子供や保護者が学校関係者と円滑なコミュニケーションを取るための通訳です。特に、通訳がいないと難しい各種手続きや面談時の意思疎通で活躍します。
3.3.2 医療通訳
医療通訳は、病院や薬局などにおいて外国人患者と医療関係者のコミュニケーションをサポートします。一番の特徴は、医療の専門知識が必要となることです。また手術に立ち会う場合があることも、ほかの通訳と異なります。
3.3.3 行政通訳
行政通訳は、市役所や施設などでの手続きをサポートする仕事です。日本人でもときどき迷うことがある各手続きは、外国人にとって簡単なことではありません。そこまで高い通訳技術は求められない仕事ですが、手続きに関する知識が求められることがあります。
3.3.4 司法通訳
司法通訳は司法に関連する通訳で、警察通訳と法廷通訳の2種類があります。警察署での取り調べや事件の裁判での通訳となり、より正確な通訳が求められることが特徴です。言い回しや言葉の選び方、含まれる意味合いも正確に通訳する必要があるため、高度な技術が必要とされます。
3.4 通訳ガイド
通訳ガイドは、外国人環境客に対して通訳をしながらガイドをする仕事です。通訳の技術はもちろん求められますが、ガイドをするスキルも求められます。
4 通訳の仕事内容・プロジェクトの流れ
通訳の基本的な仕事内容や流れを知っておくことで実際の通訳の仕事がイメージしやすくなります。
フリーランス通訳や社内通訳など、働き方などによって仕事内容やプロジェクトの流れが違うこともありますが、ここでは基本的な通訳の仕事内容とプロジェクトの流れについてご紹介します。
4.1 通訳に必要となる事前準備・下調べをする
通訳の仕事が決定したら、まずは通訳に必要となる情報や知識を収集します。専門知識が必要なプロジェクトならば、その分野についての知識も補う必要があります。
言葉だけを知っていても、その意味や内容を知らなければ正確な通訳はできません。事前に下調べをして準備することで、より正確な通訳が可能となります。
4.2 関係者との事前打ち合わせを行う
実際の通訳までには、関係者と打ち合わせを行うのが一般的です。打ち合わせでは、プロジェクトの内容や、どのような話し合いが行われるのか、どのようなコミュニケーションを取っていくのかなどについて話します。
プロジェクトの意味や、知識のすり合わせを行うことで、より内容の濃い通訳を行うことが可能です。
4.3 実際に現場で通訳業務を行う
打ち合わせが終了したら、あとは実際に通訳業務を行うのみです。話し手の意図が正確に伝わるように工夫をして、業務にあたります。重要なのは、臨機応変に対応することと柔軟に対応することです。
5 通訳者の給料・年収はどれくらい?
通訳者の給料や年収は、能力や業種、働き方によって大きく異なります。ここでは、正社員となる社内通訳と、フリーランス通訳者に分けて給与・年収についてご紹介します。
5.1 企業の社員として働いている場合の給与・年収
社員として働く場合の平均年収は、約300万円~1,200万円とされています。年収に大きな開きがありますが、これは能力や業務に対する知識によって変動することが多いです。
通訳スキルが高く専門的な業務知識があり重要な会議を任されるなどになると、年収が高くなるとされています。
5.2 派遣として働いている場合の給与・月収
派遣で働く場合の平均月収は、約18万円~50万円とされています。社員として働く時と同様に、実績やスキルが給与・年収に大きく影響します。
またフリーランス通訳者は、仕事量によって年収も変わってくることが特徴です。
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6 まとめ
通訳の仕事は、さまざまな分野で活躍の場があります。スキルがアップして実績を積めば、より幅広く活躍できるようになるでしょう。働き方も、正社員や派遣社員、フリーランスなどとさまざまなので、自分に合ったものを選ぶことができます。
通訳者を目指すために大切なコト
- 通訳専門の勉強をして来なかったけど目指す場合、アシスタントから入る
- 通訳専門の勉強をしてきた場合、自分のスキルに合う&興味のある領域を選ぶ
通訳の仕事に就きたいのならば、自分が活躍したい通訳のフィールドを見極め、需要を知ることが大切です。自分のスキルに合うものを探し、スキルアップに繋がるものを選んでいきましょう。
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(CREATIVE VILLAGE編集部)