クリエイターのキャリア支援をする株式会社ピースオブケイクと株式会社クリーク・アンド・リバー社が1月22日に【思わず仕事を発注したくなるポートフォリオとは?】をテーマにイベントを開催しました。
今回はイベントに登壇した、当社求人制作ユニットの湯村(写真左)・ライターのエージェントを担当している和田(写真右)にインタビュー。
「求人広告ライターに必要なスキル」「ポートフォリオのつくりかた」について聞いてみました!
今後、ライターとして活動されたい方や、当社の求人に興味のある方はぜひ参考にしてくださいね。
クリーク・アンド・リバー社の「求人制作ユニット」とは?
―まず、お二人のプロフィールをお伺いしてもよろしいでしょうか?
湯村(以下:湯):私は新卒向け求人サイトのディレクターを約5年勤めた後、2016年7月に求人制作ユニットのディレクターとして中途で入社しました。現在では、多くの求人媒体を制作している「求人広告ユニット」のリーダーとして活動しています。
和田(以下:和): 2017年の4月にエージェントとして新卒で入社しました。半年間、クリエイターの一次窓口として求職者対応や面談、案件紹介等をした後、Webメディアを運営している企業様を担当し、企業様のニーズに合わせたクリエイターの紹介をしています。
2019年の3月からは、制作に近いチームでクリエイターと共に仕事がしたいと思い、湯村さんをはじめ社内のディレクターと、複数の「求人広告プロジェクト」に関わることになりました。
―お二人の協力体制について詳しくお伺いしてもよろしいでしょうか?
和: 大きな役割でお話しすると、僕が営業・湯村さんが制作のメイン担当です。また、湯村さんはユニットのリーダーでもあるのでお金の話やユニットの体制に関しても一緒に考えていただいています。
プロジェクトによって繁忙・閑散があるため、状況に合わせてライターやディレクターのアサインや稼働を調整しています。
湯:クライアントへのご提案や月次ミーティングの参加、各種資料の作成などが多いですね。また、求人ユニットメンバーの仕事の按分調整なども並行しています。
――複数のプロジェクトにかかわっていらっしゃるとのことですが、1日の業務について教えてください
湯:毎日ライターさんから納品された原稿を4~5本程度チェックしてクライアントへ納品しています。また、イチから原稿を制作することもありますよ。
一方で、原稿制作だけに限らず、ディビジョン内の多岐にわたる活動に関わっています。今回のnote活用講座などのトークイベントをはじめ、これまでにもコピーライターデビュー講座(KATSUO)も二期開催しました。
「かんたん、つかえる、おもしろい。(KATSUO)」をコンセプトにしたコピーライターデビュー講座。完全無料で約2か月間コピーの基礎を学ぶ。株式会社クリーク・アンド・リバー社にて開催された。
参考ページ:https://www.creativevillage.ne.jp/71183
――毎日4~5本の原稿納品とは、すごいボリュームですね!
湯:現在、私が関わっているプロジェクトだけでも、年間で約3000~4000本は納品しています。安定した品質で原稿を納品することを第一に業務を進めています。
おかげさまで、これまで外注で記事制作を行っていなかったような、様々なクライアントからお声がけをいただいています。制作物のレベルを上げ、さらに高いクオリティを担保する必要があります。これが、ライターさんの見極めが必要になった経緯ですね。
求人ライターの働き方とは?業務内容も紹介
――現在活動されているライターさんってどのような特性があるのでしょうか?
湯:大きく分けて二つあります。一つは「取材OK」でどこへでも行っていただける方。もう一つは訪問取材には対応しない「完全在宅型」です。私が多く関わっているのは後者の「完全在宅型」ですね。
――どのようなキャリアを積んでいる方がお仕事をされているのでしょうか?
湯:現在お仕事をお願いしている在宅ライターさんは以前、企業の取材ライティングをバリバリされていたライターさんが多いですね。ご結婚や子育てなどでなかなか取材の調整ができない方がご活躍されています。
――今のお話しを伺うと女性が多そうですが男女比はどれくらいなのでしょうか?
湯:ざっくりとですが、9:1の割合で女性が多いですね。
――取材ライティングの経験はどれくらいの年数が必要なのでしょうか?
湯:やはり1年以上の取材経験は強みになりますね。実際に、活躍されているライターさんは30代~40代の女性が多いですね。たとえば、新卒で求人媒体を運営している会社に入って、取材案件を7~8年行って結婚して10年目で復帰みたいな。
――ワークライフバランスを意識したいライターさんに向いているお仕事なのですね。
求人広告ライターに必要なポートフォリオとは?
――先日noteさんのイベントで「個性を打ち出したポートフォリオ」「項目で箇条書きにしたポートフォリオ」が例で出てきましたが、当社からご紹介するお仕事ではどちらがよいのでしょうか?
湯・和:後者の方がよいですね。先方に納品する原稿のクオリティを判断するためには、領域と経験がはっきりわかるポートフォリオだと嬉しいですね。媒体名が出せない場合でも伏せたまま担当業務を記載いただくだけでも大丈夫です。
――ポートフォリオを見るタイミングはどの段階なのでしょうか?
和:大きく二つあります。ひとつ目は企業様のニーズに合わせたクリエイターの人選。ふたつ目は社内のプロジェクトのディレクターにお繋ぎする前の段階ですね。いずれも、契約形態やキャリアプランをはじめとした希望やこれまでの経歴をヒアリングします。その際にポートフォリオも確認します。
――noteを活用してポートフォリオを作成し、求人広告ライティングのお仕事に応募する場合、どのような点に注意するとよいでしょうか?
湯:ニッチなところをnoteの「ブログ機能」に記載いただいてポートフォリオは「お仕事」のところで記載いただければ大丈夫かなと思います。記事の性質によって記載する場所を分けてもらう感じですね。
和:ポートフォリオ内にWordデータでWeb記事を転載いただくパターンもあるのですが、その記事を制作する中で、どこまでご自身で担当されていたのか分からないものもあります。
そのため、「取材」「原稿ライティング」「編集」「撮影」など担当業務を細かく記載していただけるとスムーズに確認することができます。実際、推薦時に企業様の担当者から質問をいただくことも多いです。
- ライターのポートフォリオに必要な項目
- ・担当記事のタイトル
- ・取材・ライティング・撮影などの担当業務(詳細に)
求人広告ライターに必要なスキルとは?
――お二人が担当する案件でライターさんに最も必要なスキルは何でしょうか?
湯:人柄はもちろんですが、やはりコピーライティングのノウハウは大きな武器になると思いますね。いわゆる「ライター」と「コピーライター」ではメインとなる執筆領域が異なります。
もし広告に関する知識がないライターさんが、いきなり求人広告などのライティングはなかなか難しいのではないでしょうか。
広告である以上、読んでもらって終わりではなく、「効果」が求められます。そのためにも、コンセプト設定や企画立案の部分まで考える、コピーライティングのスキルはこれから必須になっていくと思います。
和:確かに、その視点は重要ですね。
湯:ただしコピーライティングのスキルは基礎文章力(てにをは・一文一義・リズム)のプラスアルファのスキルだと考えています。
半年集中講座をやったとしても、読みやすい構成・文章になるかどうかは、その人が読んできた文章や学んできたものによると思います。
コピーライティングの知識と基礎文章力はどちらが欠けても、活躍できるライターさんになるために必要かな、と。そのような意味では、ずっと活躍できるライターさんになるのは楽ではないと思いますね。
- 求人広告ライターに必要なスキル
- ・コピーライティングの知識(コンセプト設計・企画立案)
- ・基礎文章力(てにをは・一文一義・リズム)
伴走するだけでなく、さらに信頼できるディレクター・エージェントへ~
――イベントを終えて対ライターさん業務で変えていきたい点があれば教えてください。
湯:「報酬面のヒアリング」ですね。イベントでお伺いしたところ、報酬の金額を外に出していないライターさんがほとんどでした。これは、ネット上のクラウド案件などが増え、制作単価が下がっていることも影響していると思います。
ですから、弊社ではライターさんを募集する際、案件に応募する前の段階で、報酬面のすり合わせを行っています。報酬面を見える化して、納得の行くお仕事をお任せしたい。ライターさんの価値を向上するための案件を提供し、信頼していただくことで、よりよい関係を築いていきたいです。
和: 現在は求人領域のプロジェクトが多いですが、求人広告担当のライターさんの中には、グルメや旅行など他の領域にも挑戦していきたいといったご相談をいただくこともあります。そのため、営業の立場としては、他ジャンルのプロジェクトも受注し、ライターさんの活躍の場を広げたいな、と考えています。
――ライターさんのスキルアップ支援、ということですね。
和:ライターさんはフリーランスで活躍している方も多く、一つの領域でライティングをすることに危機感を覚える方もいらっしゃいます。
その際に、当社から他ジャンルも紹介できればライターさんのスキルアップにつながりますので、注力していきたいです。
また、当社の強みは湯村をはじめとしたディレクターが、各プロジェクトでフィードバックや相談を受け、ライターさんと伴走していることだと思っています。ライターさんからもこの「フィードバック」「伴走」に関して嬉しいお言葉をいただくことがあるので、引き続き行っていけるよう進めていければと思います。
湯:ピースオブケイクさんは自社で発信プラットフォーム(note/cakes) を運営しています。なので、クリエイターが自分のやりたいことを収益化できることが強みだとおもっています。
弊社の場合は自己表現の場を提供しているわけではありませんが、プロのライターとしての仕事紹介をリピートして行わせていただいております。
一度培った信頼関係を大事にしている点が弊社の強みだと考えています。
クリエイターの生涯価値向上とは「信頼関係」を築き続ける、こと
――「信頼関係」の具体例があれば教えてください。
湯:まず、私が入社した後に案件をお任せするライターさんの大幅な増員を行いました。その際にポートフォリオをかなり見たんです。ただし、スキルだけでは判断せず、意欲・やる気重視でしたね。
とにかく実際にライティングをお願いして、私たちが大きく工数をかけて原稿のチェック・修正を行いました。
その結果、クライアントへ高い品質の原稿を納品できたと思っています。そうすると、クライアントは信頼してくれ、再び案件を発注してくれます。そうしたときにスキルのあるライターさんや、実際のライティングを通してスキルが上がったライターさんに多く残っていただくことが出来ました。
――そして、そのライターさんに求めてきたスキルが、先ほど仰っていた「コピーライティングの基礎知識」と「文章力」なのですね。
湯:そうですね。あとは求人広告業界ならではのルールや用語がわかっていると、実際に制作に入ったときにスムーズに案件を進めることができます。
和:クリークは人材会社としても制作会社としても機能しています。そのため、ライターさんの人生のターニングポイントに合わせて様々なサポートができるな、と考えています。例えば、今まで週5フルタイムでお仕事をされていた方が、ご家庭の事情で育児や引越があった場合、働き方を変える必要がありますよね。そこで、クリークなら「在宅ライター」のお仕事も紹介できます。
――なるほどですね。
和:あとは「収入のベースをつくりたい」という方。フリーランスの場合は月に請けられる本数が不安定といったケースが多いので、週3日派遣で就業しながら、並行してフリーランスの案件をご紹介している方もいます。
――ライフスタイルに合わせての仕事紹介、そしてスキルアップが叶うのですね。
湯:そうですね。弊社の強みは、原稿自体への赤入れだけではなく、他の機会を設けてライターさん自身のスキルアップのためのフィードバックを積極的に行っていることなんです。
――なぜそのようなことを行うようになったのでしょうか?
湯:やはり原稿への赤入れだけですと、ライターさんは校了して納品してしまえば、その際に指摘したことを忘れてしまうのではないか、という考えに至ったんです。赤入れとフィードバックは、両方行うようになりました。発注者側もよりよい「原稿制作」のために、ライターと並走できるクリエイターであることは本当に強みだと思いますね。
―「発注者自身もクリエイターである」ということは、ライターさんにとって確かに心強いと感じます!本日はありがとうございました。
取材・ライティング:大沢 愛(CREATIVE VILLAGE編集部)