近年は小学校でもプログラミング教育が必修化されるなど、プログラミング言語の重要性は高まってきています。デジタル化が進む現代において、プログラミングスキルは就職にも関わってくることだけに、プログラミング言語を習得したいと考えている人も増えてきています。
しかしプログラミング言語はPythonやPHPなど数多く存在し、「どれから学べばいいか分からない」という人がほとんどなのではないでしょうか。
そこで今回は、初心者のプログラミング言語学習に向いているとされるRubyについて紹介します。初心者の方が学ぶ意義やメリット、将来性や需要についても解説していきます。
エンジニア界隈でのRubyの人気は他の後塵を拝す
Rubyとは
Rubyは1995年にMatzこと、まつもとゆきひろ氏が開発したオブジェクト指向のスクリプト言語です。国産のプログラミング言語としては初めて国際電気標準会議(IEC)に認証されました。
「Rubyの言語仕様策定においてもっとも重視しているのはストレスなくプログラミングを楽しむことである」まつもと氏がこう明言するように、文法がシンプルで、短いコードで効率の良い開発ができるといった特徴を持ちます。
また、Pythonを意識して開発された言語であり「MatzがPython に満足していればRubyは生まれなかったであろう」と公式用語集でも記載されています。
Rubyはあまり人気がない?
プログラミングスクール「SAMURAI ENGINEER」を運営する株式会社SAMURAIの「プログラミング言語に関するアンケート」によれば、さまざまな調査サマリーで「Python」が人気となっていました。たとえば、「未経験者におすすめのプログラミング言語」でもさまざまな人気言語を抑えてPythonが1位を獲得しています。
出典/引用元:株式会社SAMURAI 現役エンジニア100名を対象に実施した「プログラミング言語に関するアンケート」
一方でRubyは、同アンケート内で上位に入っていませんでした。プログラミング界隈ではPythonを始め、Rubyより人気のあるプログラミング言語が多数存在していることを理解しておきましょう。
押さえておきたいRubyの特徴・学ぶメリット
Rubyの特徴
Rubyは前述の通り、国産のプログラミング言語でPythonを意識して開発されました。オブジェクト指向であることが特徴で、プログラミング言語の中でもソースコードがシンプルな部類に入ります。コードを書いた人以外でも感覚的に読み取りやすい言語です。
Rubyのメリット
上記のような特徴から、Rubyにはさまざまなメリットがあります。
汎用性が高い
RubyはWebアプリケーション開発で使われるケースが多いためか、Web開発専用の言語と勘違いされている方も少なくありません。しかし、実際には汎用性が高く、さまざまな開発に使用できる言語です。
たとえば、スマホアプリやゲーム、機械学習などにも利用できます。さらにMac、Windows、Linuxなどさまざまな環境で動作するため、その汎用性はプログラミング言語の中でもトップクラスです。
シンプルで工数を削減できる
Rubyは文法や書式がかなりシンプルです。たとえばJavaのようにクラスやメソッドを定義する必要はなく、短いコードで動作します。シンプルであればコード記述量が減り、読みやすいためミスの発見や修正も容易に行えます。つまり、もろもろの工数が少なくなりスピード感ある開発を行えるわけです。
オブジェクト指向を学べる
Ruby最大の特徴はオブジェクト指向であることです。オブジェクト指向とは、プログラムを「手順」ではなく「モノ=オブジェクト」として捉える考え方です。たとえば、RPGのキャラクター作成画面で、目の色や形、服装や髪型などをあらかじめ設定しておくといったもので、感覚的にプログラム開発ができ、修正も容易に行えるメリットがあります。
オブジェクト指向のプログラミング言語はRuby以外にも多く存在しています。そのため、比較的学習しやすいRubyを最初に学ぶことは、他のプログラミング言語を学ぶことにも役立つことでしょう。
学習しやすい
前述の通り、Rubyは国産のプログラミング言語です。そのため、日本語情報もとても豊富で、分からないことがあればすぐに学べるという特徴があります。また、そもそもの文法や書式がシンプルであり、実際に学んでみると理解しやすい言語でもあります。もちろん高度な開発になればなるほど、じっくり学び奥深く理解する必要はでてくるものの、最初のハードルはそこまで高くなく、学習しやすい言語であると言えます。
優秀なフレームワークがある
Rubyには「Ruby on Rails」という専用のフレームワークがあります。フレームワークとは、開発に必要なさまざまな機能が詰め込まれた枠組みのようなものです。学び始めの初心者であっても、Ruby on Railsを活用すれば一定の質を保ちつつ時間を短縮して、効率よくスピーディーに開発を進められます。他にも、Rubyは「Padrino」や「SINATRA」「Hanami」といった、開発を効率よく進めるための優秀なフレームが多数あります。
Rubyエンジニアとしての需要はかなり大きい
Rubyよりも人気のあるプログラミング言語は多数あります。しかし人気があるということは「誰もが知っている・使える」ものであり、実は競争力も高いと考えられます。逆に人気が高いとは言えないRubyは有名サービスで利用されているケースも多数あり、スタートアップ企業などでも採用されやすい言語です。
Rubyは有名サービスでも利用されている
前述のように、Rubyは人気のあるプログラミング言語とは言えません。しかし、需要は十分にあり、さまざまな企業のWebサービスでもRubyは利用されています。
たとえば以下のようなサービスで利用されています。
【Rubyを採用している有名サービス】
- 食べログ
- クックパッド
- グノシー
- Airbnb
汎用性が高く優秀なフレームワークにより、スピード感ある開発を行えるため、このように有名サービスでもRubyは使用されるプログラミング言語なのです。過去にはTwitterの開発にRubyが使われていたこともあり、国産でありながら世界的にも認められている点からも、根強い需要があると判断できるのではないでしょうか。
ベンチャー企業やスタートアップ企業で採用されやすい
Rubyは優秀なフレームワークがあり、初心者でもある程度のクオリティを保ったまま開発を進められます。また、少ない工数でスピード感ある開発を行えることから、コストも適度に抑えることが可能です。
そのような理由からベンチャー企業やスタートアップ企業でRubyが活用されるケースも少なくありません。また、日本で開発されたプログラミング言語であり、多くの日本人が学びやすいという特徴があるため、海外のエンジニアを雇わなくても国内で人材を確保しやすい点もRubyならではのメリットです。
ベンチャー企業やスタートアップ企業が、Rubyで開発したサービスが将来的に成長すれば、保守・運用案件も増加する可能性もあります。そういった意味で、Rubyは需要・将来性の高いプログラミング言語と言えるのではないでしょうか。
Rubyのみに依存するのではなく、将来的な拡充・補強も視野に入れる
もちろん、プログラマーとして今後活躍することを希望するならば、Rubyのみに依存したスキルセットはリスクが高いと言えるでしょう。実際に、現役プログラマーの人気はPythonを始めとした他のプログラミング言語に集まっています。IT社会が進化し続けていくことを考えれば、さまざまなプログラミング言語を身につけることが必要になるはずです。
まずは国産で日本語情報が多く、コストが低いため日本人が学習しやすいRubyを学び、その後PythonやPHPなど人気のある言語も習得し、さらにニーズに合わせて学んでいくという流れがベターとなるのではないでしょうか。経験を積みつつスキルセットを拡充・補強し、キャリアアップしていく最初の一歩として、ぜひRubyを学んでみましょう。
Rubyの市場価値を把握したうえでの習得計画を
【初心者向け ruby入門のまとめ】
- Rubyは人気上位のプログラミング言語ではない
- Rubyを学ぶ前にその特徴や習得のメリットを把握
- Rubyの将来性・需要は決して低くない
Rubyは国産でシンプルかつ、直感的に分かりやすい文法が特徴的なプログラミング言語です。最新技術に関わる言語が注目されがちで、現役プログラマーからはあまり人気がないのは事実です。しかし汎用性が高くさまざまな開発を行えるため、Rubyは有名なWebサービスで利用されています。
また、日本語情報が多く学びやすいため、初心者が初めて触れるプログラミング言語としてはとても優秀です。オブジェクト指向を学べますし、優秀なフレームワークの存在により、経験が浅くても一定のレベルを保ったままで開発を行えるためです。ベンチャー企業などでは特に開発期間やコストを抑えられるRubyは好まれており需要は決して低くありません。また、そうした企業のWebサービスが成長すれば、将来的な需要も見込めることでしょう。
「ストレスなくプログラミングを楽しむ」という基本コンセプト通り、Rubyは楽しみながらプログラムの世界に触れていけるため、初心者にはうってつけのプログラム言語です。学びの第一歩としてぜひ学習してみてください。