DTPとはDesktop publishing(デスクトップパブリッシング)の略称で、日本語では卓上出版を意味します。Webとは異なり、実際に印刷して出版するものを指します。 では、DTPオペレーターはどういった形でDTPに関わる仕事なのでしょうか?
この記事では、DTPオペレーターの仕事内容・年収からDTPデザイナーとの違い、DTPオペレーターになるために必要な資格やスキルまで紹介しています。
DTPオペレーターについて理解を深めることができるので、ぜひご一読ください。
- 1.DTPオペレーターとは
- 1-1.仕事内容
- 1-2.年収
- 1-3.DTPオペレーターとDTPデザイナーの違い
- 2.未経験からDTPオペレーターになるには
- 2-1.向いてる人
- 2-2.必要なスキル
- 2-3.学べる学校
- 2-4.必要な資格
- 3.DTPオペレーターの将来性
- 4.まとめ
1.DTPオペレーターとは
仕事内容
DTPオペレーターとは、デザイナーがデザインした原案を、指示に従いながら実際の印刷物として出力できるようにパソコン上でデータを作成するのが仕事です。
「DTP特有のルール」を把握し、それに則って作業をします。文字詰め禁則処理、フォントに対する知識などさまざまなDTP独自のルールを覚え、そのルールからはみ出さないレイアウトを作成する事が求められます。
使用ソフト
DTPは専用のソフトを使ってデータを作成しますが、雑誌・チラシ・新聞・ポスターなど、印刷物によって使用するソフトも変わります。
たとえば、チラシなどの一枚ものはAdobeのIllustrator(イラストレーター)を使用します。書籍などのページものの場合は、同じくAdobeのInDesign(インデザイン)などの組版*専用のDTPソフトを利用する事が多いです。
昔はQuark社のQuarkXPressと言う一般の人にはあまり聞き覚えのないソフトが主流でした。
印刷物には写真やイラスト等の画像データを扱うことがほとんどのため、それらのデータを加工するためには、AdobeのPhotoshop(フォトショップ)を使用します。
組版(くみはん)とは、印刷の一工程であって、文字や図版などの要素を配置し、紙面を構成すること。 組み付けともいう。 本来は活版印刷の用語であり、文字どおり版を物理的に組むこと、活字を並べて結束糸で縛ったものを「組み版」と呼んだことに由来する。
出典:Wikipedia
作業フロー
実際のDTPオペレーターの業務は、『ひな形作成→データ入力(原稿データの流し込み)→レイアウト調整と修正→校正→修正→納品』といった工程になる場合が多いです。
校正作業では、一度目の校正を自分で行った後、校正担当者に確認をしてもらい、何度か修正と確認作業を繰り返します。 もちろん、校正担当者の校正で問題が無ければすぐに納品作業に移ります。
ひな形がしっかり出来ていないと一からやり直しになってしまうため、細かなズレや間違いを見落とす事なくレイアウトを組まなくてはなりません。DTPオペレーターはそういった仕事を、出来るだけ短い時間で効率よく行い、数をこなしていかなくてはなりません。
年収
DODAがまとめた職種別の平均年収ランキングでは、DTP関連職の平均年収は320万円です。クリエイティブ業界全体の平均年収が372万円ですので、DTPオペレーターの年収は少し低いと言えます。しかし、クリエイティブ業界全体の平均年収がやや減少している中で、昨年から9万円の増加を見せており今後の動向に期待が持てる職種でもあります。
Illustrator・Photoshopが使えれば未経験でも採用してもらえるなど、比較的門戸の広い職種です。クリエイティブ業界での入門職としての立ち位置になるため、年収も少し低い状態でスタートしますが、デザインを学んでグラフィックデザイナーやWebデザイナーへ転職することも可能です。
DTPオペレーターとDTPデザイナーの違い
DTPオペレーターはDTPルールに則り、文字詰めやレイアウト調整を行って印刷物を出力できる形に仕上げるのが仕事です。
DTPデザイナーは、チラシ・POP・広告などのデザイン作業をするのが仕事です。デザイン作業としてはグラフィックデザイナーと似通った内容も多いですが、印刷物に特化したデザインを担当する場合は区別するためにDTPデザイナーと呼ぶケースが多いです。
両職種の大きな違いは、デザイン作業をするかどうかという点にあります。
DTPデザイナーは自身がデザインを制作しますが、DTPオペレーターはデザイナーがデザインした原案をもとに作業するため、基本的にデザイン作業は行いません。
ただし、仕事内容は所属する企業によって変わります。
DTPオペレーターの求人案件だとしても、デザイン作業を求められる場合もあります。両職種の境があいまいな場合も多いため、求人情報はしっかりと確認して応募してください。
未経験からDTPオペレーターになるには
向いてる人
コツコツとした作業ができる人が向いています。
DTPオペレーターの仕事は、デザインを印刷物として出力できるようにデータ調整やレイアウトを行うことがメイン業務です。
文字の流し込みや写真のゴミ取り修正、時にはミリ単位の細かい調整など、黙々と作業をこなすことが求められます。
そのため、単純作業の繰り返しが発生してもミスなくコツコツ進められる人が向いています。
印刷に関する細かいルールを熟知し、裏方としてデザインをより完璧な形で印刷物に仕上げる。そんな役割に喜びを感じられるような人にはとてもやりがいのある仕事といえるでしょう。
必要なスキル
未経験でDTPオペレーターになるためには、まずはIllustratorとPhotoshopが使えることが最低限必要なスキルです。
さらに言えば、AdobeのInDesignが使えれば、未経験でも採用して貰える可能性がより出てきます。
場合によっては文字詰めや禁則処理などの独特なルールの知識があることが求められる場合もあります。
企業によっては、InDesign以外の業務用組版ソフト(Edian・MC-Smart・QuarkXPressなど)を使用する場合もあるため、新たに知識を付ける場合はやや大変です。
Microsoftのワードやエクセルを利用して画像データやレイアウトを作る場合もあるため、一般的なオフィスソフトも使えるようにしておいた方が有利でしょう。
ちなみに、InDesignの普及により衰退したと言われていたQuarkXPressですが、現在も新バージョンが作られており、今もQuarkXPressを利用している会社もあります。DTPオペレーターはどれだけソフトが使いこなせるかが就職活動では鍵になるので、学べる機会があれば是非学んでおきましょう。
学べる学校
未経験からDTPオペレーターになりたい人は、デザイン系の大学や専門学校を卒業する、もしくはDTPを学べるスクールなどに通い、これらのソフトを使えるようになる事がはじめの一歩です。
DTPについて学べる学校をいくつかピックアップしましたので、参考にしてください。
東京モード学園 グラフィック学科
特徴 | 広告、イラスト、パッケージデザインまで。ファッション感度の高いグラフィックデザイナーを育成します。 |
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卒業後に目指す職種 | グラフィックデザイナー、アートディレクター、クリエイティブディレクター、広告デザイナー、エディトリアルデザイナー、DTPデザイナー、イラストレーター、キャラクターデザイナー、パッケージデザイナー、プロモデラー 他 |
公式サイト | https://www.mode.ac.jp/tokyo/course/graphic |
※特徴、卒業後に目指す進路は公式サイトより引用
Winスクール
特徴 | Winでは「InDesign」の最新機能を用いて、iPad やiPhone、Android端末などで閲覧できる電子書籍の作成方法を学習できます。 |
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公式サイト |
※特徴は公式サイトより引用
必要な資格
DTPオペレーターになる為の資格は、現在は必須のものはありません。むしろAdobeのIllustrator、Photoshop、InDesignが使えることが重要です。
必須ではありませんが、就職や転職のときに有利になり得る資格としては、「DTPエキスパート」「色彩検定」などがあります。
DTPエキスパート
特徴 | メディアの持つ役割とそのもたらす結果に目を向けたメディア設計及び制作を実践するために、「DTP」「色」「印刷技術」「情報システム」「コミュニケーション」関連知識を習得した人材を認証します。 |
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受験者(合格者) | 5万人(2万人) |
公式サイト | https://www.jagat.or.jp/cat5/dtp |
※特徴、受験者数などは公式サイトより引用
色彩検定
特徴 | 色の検定試験であなたの色彩活用能力を証明します。 『色彩検定』とは色に関する幅広い知識や技能を問う検定試験です。 |
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受験者(合格者) | 41,256人(26,618人)2016年度 |
公式サイト |
※特徴、受験者数などは公式サイトより引用
DTPオペレーターの将来性
先述のとおり、DTPオペレーターの仕事はクリエイティブ業界の入門職という考え方が一般的です。DTPオペレーターとしての業務を続けることで、IllustratorやPhotoshopなどデザイン系の職種でよく利用されるソフトウェアを扱うスキル、フォントや色使いに関する知識が身につくほか、そうした知識を前提としたデザイン感覚自体を養うことができます。そのため、オペレーターとしてある程度の経験を積んだのち、デザイン職へ転職したり管理職へステップアップすることが多いようです。結婚や子育てで一度現場を離れても、派遣社員として就業することが可能です。即戦力性を求められる現場では、スキルがあればDTPオペレーターとして長く働くこともできます。
まとめ
DTPオペレーターの仕事というのは、緻密さや技術、知識が重要になる業務です。細かな仕事が得意な職人気質の人向きの仕事とも言えるでしょう。
コツコツと細かな調整が必要な業務ですが、綺麗に刷り上がった商品を見ると、とても達成感がある仕事です。制作物によってはあなたも、そんな「ものづくり」の楽しさをDTPオペレーターになって体感してみてはいかがですか?
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