「年収1,000万円」これは日本で働くうえで、収入の1つの大台と言えます。職種によって実現のしやすさは変わりますが、果たしてプログラマーでも年収1,000万円に到達することはできるのでしょうか?
今回はプログラマーが年収1,000万円を目指すうえでどんなことを意識すべきなのか、稼げるプログラミング言語はあるのか、キャリアプランはどう描くべきなのかなど、高収入プログラマーを目指すうえで必要なポイントを解説します。
システムエンジニア(SE)とプログラマーの違い
SEとプログラマーの年収の差を見ていく前に、まずはそれぞれの仕事内容の違いから確認することが重要です。それぞれの仕事内容によって年収にも少なからず差が出る傾向にあります。
システムエンジニア(SE)の仕事内容
例えば、新しいソフトウェアを開発するとしましょう。これを完成させるには、SEとプログラマー双方の力が必要ですが、まず動き出すのはSEです。SEは、依頼者の「こうしてほしい」「こんなものが作りたい」というプログラムの要望を正確に把握し、必要なプログラムの基本設計をします。さらに、完成までに要する期間や開発費用などの交渉も並行して進めます。決定した基本設計をプログラミングで実現できるレベルまで落とし込んでいくことも、SEの仕事です。
SEとは、依頼者と直接コミュニケーションをとりながら、プログラムの全体像を形作る、ソフトウェア開発のディレクターというべき存在でしょう。このようなSEの仕事は、ソフトウェア開発において「上流工程」といわれています。
プログラマーの仕事内容
プログラマーは、プログラム言語を使って、物流や金融システム、コンピュータープログラム、Webサイトやアプリケーションなどのさまざまソフトウェアを作っています。SEが考えた設計案をもとに、プログラマーがプログラムを構築していくのです。SEが作成した設計書を、自分なりに読み解いてうまくプログラムに変換していくのが最も難しいところで、プログラマーとしての実力がはっきり出る部分でもあります。
コツコツ仕上げたシステムだからこそ、完成したときの達成感はプログラマーにはとても大きいでしょう。今やコンピュータープログラムは、私たちの日常生活に欠かせない電子機器や家電製品にも適用されており、プログラマーの仕事の幅は確実に広がっています。
現役エンジニアの平均年収は400万円以上が約3割
株式会社SAMURAIは、クラウドソーシングサイトのクラウドワークスに登録する現役エンジニア100名を対象に実施した「エンジニアの年収実態調査」の結果を発表しました。平均年収の最多は29%の400万円以上で、500万円以上と答えたエンジニアは約30%に留まりました。また、200万円以上300万円以下は全体の40%となり、給与面においては少なくない格差が生じていることが分かります。
システムエンジニアはIT業界を中心に慢性的な人手不足状態で人材需要は高く、業界全体の将来性も決して低くありません。テレワークによる対応もしやすい業種であることから、コロナ禍でも採用ニーズは大幅に下がることはありませんでした。
とは言え、技術進歩のスピードが速く、トレンドも変わりやすい業界です。給与アップを望むのであれば、既存スキルや知識に固執するのではなく、常に勉強する姿勢、新しいことを取り入れる柔軟性が大切です。
また、システムエンジニアは人手不足と需要の高さが相まって、業界的に残業時間が多い傾向にあります。年収の多いエンジニアほど残業が多く、手当が増えることで給与額が上がっているという背景もあります。そのため、転職をする際には年収アップだけではなく、「どのくらいの時間働きたいか」といった視点も持ち合わせることが必要となりそうです。
整理しておきたいプログラミング言語一覧・特徴
人気プログラミング言語TOP10の言語一覧と特徴
プログラミング言語の人気はその時々のトレンドや技術進歩などにより変動します。とは言え、汎用性が高く実用的でプログラマーにとって使いやすい言語というものはだいたい決まっています。ここではアメリカの電気工学・電子工学技術の学会である「IEEE」の「Top Programming Languages 2021」から人気言語TOP10をご紹介します。
1位:Python | Webやアプリ開発に用いられる言語で「人工知能」「深層学習」といったトレンド分野での需要により人気が高まっています。 |
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2位:Java | C言語を基にした構文で汎用性の高いオブジェクト指向の言語ということもあり、常に人気上位にあるプログラミング言語です。 |
3位:C | 歴史のある言語で、やや複雑ではあるものの処理速度がトップクラスに速いという特長を持ちます。 |
4位:C++ | C言語の拡張言語であり、オブジェクト指向の要素が加わったプログラミング言語です。処理速度の速さを継承しつつ、開発の効率化などを実現しています。 |
5位:JavaScript | Webやアプリ開発に用いられ、ほとんどのプログラマーが使用経験のある言語です。手軽に開発を行えるため人気があります。 |
6位:C# | Microsoft社が開発した言語でC、C++、Javaなどの利点を取り入れたオブジェクト指向のプログラミング言語です。 |
7位:R | 統計解析専用のプログラミング言語です。習得ハードルはやや高いものの、統計解析処理をシンプルに記述できます。 |
8位:Go | Google社が開発したプログラミング言語です。多人数・大規模開発の効率性向上が目的とされ、シンプルな構文かつさまざまな開発性の高い機能が実装されていることが特長です。 |
9位:HTML | Webページ制作に使われ、厳密にはプログラミング言語ではありません。しかしWebエンジニアを目指すならば習得必須な言語となります。 |
10位:Swift | Apple社が開発したプログラミング言語です。Apple製品の開発に特化し、2015年12月からオープンソース化されました。 |
プログラミング言語「Go」やツール特化型もおすすめ
稼げるプログラミング言語「Go」とは
「Go」はGoogleが開発したプログラミング言語で、シンプルなコードで初心者にも使いやすく処理速度が速いという特長を持ちます。また、ポインタ演算がなくメモリの安全性が高いことや、並列処理が可能であるため効率的に作業を進められるなどの特長もあります。
世界最大の検索エンジンGoogleを母体とすることもあり、需要は確実に拡大中です。複数OS(Windows・Android・iOS)にも対応可能であるなど、汎用性の高さからも注目されている、稼げるプログラミング言語です。
Salesforceなどツール特化の技術を磨くのも手
Salesforceは顧客情報を管理するアプリケーションで、独自アプリの開発などさまざまな機能を有しているため、導入企業も数多くあります。ただし多機能がゆえに直感的操作を行いにくく、知識・経験がないと使いにくさもあるツールです。
Salesforceのように、ツール自体の需要はあるものの、使いこなせる人材が少ないものは少なくありません。需要あるツールに特化して技術・知識を磨き、頼られる人材となることも収入アップにつながることでしょう。
雇用条件の良い海外の企業から仕事を受ける
年収アップを目的とするならば、海外企業のオファーを受けるのも良いでしょう。たとえばアメリカの場合、プログラマーの平均年収は800万円以上あります。フリーランスで定期的に仕事を受けている人材ならば年収1,000万円も決して夢ではありません。
もちろん、海外からのオファーを受けるにはコネクションやプログラマーとしてのスキル・実績も必要です。将来の年収アップを目指し、海外を意識して技術・スキルを磨いていくのも良いのではないでしょうか。
プログラマーは選択次第で年収1,000万円も狙える
【プログラマー 年収1,000万円のまとめ】
- エンジニアの給与は人によってばらつきがある傾向
- 適した言語を知ることで収入アップにつながる可能性も
- 専門分野に特化したプログラマーも収入アップが見込める
プログラマーは下流工程のエンジニアということもあって、高収入を諦めている方も少なくはないでしょう。しかし記事でもご紹介したように、プログラマーという職種そのものは需要が高く、将来性も決して低くはありません。企業が求めている言語、稼ぎやすい言語を見極めて学んでいけば、年収アップにつながっていくことでしょう。
また、競争相手が少ないニッチな専門分野に特化することも年収アップのきっかけとなります。仕事への向き合い方、企業との付き合い方、そして常に学ぶ姿勢を忘れなければ年収1,000万円の大台到達は決して夢ではありません。今回の記事を参考に、ぜひ頑張ってみてください。