ゲームやアニメに興味がある人は「キャラクターデザイナー」という職業を聞いたことがあるのではないでしょうか。
しかし、キャラクターデザイナーの仕事内容について詳しく具体的に知っている人は、実は多くありません。
ゲーム・アニメ業界で活躍するキャラクターデザイナーとは、一体どのような職業なのでしょうか?そして、キャラクターデザイナーになるにはどうすればよいのでしょうか?
この記事を読めば、キャラクターデザイナーの仕事内容や年収、身につけるべき知識とスキルが網羅的に学べます。キャラクターデザイナーを目指している方は、ぜひご一読ください。
キャラクターデザイナーとは
キャラクターデザイナーは、ゲームやアニメなどのキャラクターをデザインする仕事です。
単に絵を描くということだけではなく、まったくゼロの状態からキャラクターそのものを作り出す場合もあるので、豊かな想像力が求められます。
主にゲーム会社などに勤務して、ゲームの設定に応じてシーンや物語にマッチするキャラクターを作ります。
基本的には大まかな設定があり、その中でキャラクターを作っていくことになるでしょう。
フリーで働く有名なキャラクターデザイナーになると、自分が作ったキャラクターを元に、ストーリーや設定を作っていくというような高度な仕事が舞い込むこともあります。
世界中で愛される魅力的なキャラクターを生み出す仕事
ゲームやアニメ業界において、キャラクターはメインの要素であり、その作品のいわば顔です。いかにキャラクターが魅力的かで、作品自体の評価も変わっていくことでしょう。
日本のみならず、世界中で愛されるキャラクターを生み出せることも、キャラクターデザイナーの大きなやりがいの一つです。
イラストレーターとの共通点・違い
イラストレーターは、あらかじめキャラクターやストーリーの設定があり、その中でイラストを描くことが仕事です。
想像力の求められる仕事ではありますが、あくまで「絵を描く」ということが主になります。
一方でキャラクターデザイナーは、何もない状態からキャラクター自体を生み出すことが多い仕事です。キャラクターを人間にするか、動物にするか、架空のものにするかなど、それぞれのアイデアに従ってキャラクターを作っていくので、柔軟な想像力が求められます。
いずれにしても細部にまでこだわって絵を描いていくという技術が求められますので、高度なスキルが必要となります。
どちらも人気の高い仕事ですので、たくさんの人たちが技術を学び、新しいものを作り出そうとしのぎを削っています。実務経験とセンスが求められますので、スキルの習得のために日々の大きな努力が必要です。
また、有名なイラストレーターの中には、ゲームやアニメキャラクターの原案を手がける人もいます。この点もキャラクターデザイナーとイラストレーターの共通点と言えるでしょう。
キャラクターデザイナーの仕事内容や仕事の流れ
キャラクターデザイナーの概要をなんとなく理解したところで、具体的な仕事内容や仕事フローについても見ていきましょう。
仕事の流れを理解することで、必要なスキルや、なるためのキャリアパスが具体的にイメージしやすくなるはずです。
仕事内容
先述の通り、キャラクターデザイナーは、設定されたイメージからキャラクターを生み出すことがメインの仕事です。対象の背景や生まれ育った環境、性格や雰囲気の設定などから、多くの人に愛されるキャラクターをビジュアル化していきます。
手書きのラフデザインから、パソコンを使用したデジタル化、ときには3Dツールも駆使してキャラクターを完成させていきます。
仕事の流れ
キャラクターデザイナーの仕事は、まず作品の世界観の共有から始まります。
全体的な仕事の流れは以下のとおりです。
1.ヒアリング
2.デザイン案作成
3.下絵の完成
4.色付け
5.最終チェック
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ヒアリング
クライアントやディレクターから制作するキャラクターについてヒアリングし、どのようなキャラクターに仕上げていくかの指針を決めていきます。
キャラクターの設定があらかじめ決まっていることもあれば、いちから考えていくケースもあります。
デザイン案作成
ヒアリングをもとにラフデザインを描いていきます。いくつかの案を作成することが多く、アートディレクターやクライアントと相談・確認しながら修正を重ねます。
また、想定される様々な場面のデザイン案もこのフェーズで手がけていきます。
下絵の完成
ラフデザインからイメージ通りのキャラクターができたら、次は下絵に移ります。ここでもアートディレクターやクライアントとの相談・確認作業は欠かせません。
修正箇所があれば修正し、下絵を完成させます。
色付け
下絵が完成しチェックもOKがでたら、いよいよ色を付けていきます。
色付けも、キャラクターのイメージを印象づける大事な作業です。
最終チェック
下絵と色付けができたら、アートディレクターやクライアントに最終チェックしてもらいます。OKがでれば作業は完了です。
キャラクターデザイナーの平均年収
雇用形態によっても異なりますが、300万円~600万円が相場です。(クリーク・アンド・リバー社調べ)
最初はボーナスなども含めて300万円程度の年収からスタートし、実務経験と実績を積み上げていくにしたがって、徐々に年収も上がっていきます。
また、厚生労働省の調べによると、キャラクターデザイナーの平均年収は38.1歳で479万円ほどとなっており、他の多くの職種と同程度と言えます。
参考:政府統計の総合窓口(e-Stat)
ちなみに、キャラクターデザイナーとして高い年収を得るには、ソーシャルゲーム業界が狙い目です。
人気ゲームを手掛けている会社であれば、1,000万円クラスの高い年収が設定されていることも珍しくありません。さらにメタバース事業へ大手企業も続々と参入し始め、ゲーム業界全体の盛り上がりはしばらく続くことが予想されるでしょう。
参考:メタバースの概要と動向(株式会社日本総合研究所先端技術ラボ)
キャラクターデザイナーになるには
キャラクターデザイナーになるために必要なスキルや、おすすめの資格などを紹介していきます。また、どのような学校にいくべきなのか、気になる進路も解説します。
キャラクターデザイナーに必要なスキル
キャラクターデザイナーになるには、やはりレベルの高い描画力が求められます。
携わるゲームやアニメのタイプによっても異なりますが、人物・動物・植物・建物など、さまざまなモノをモチーフにキャラクターを作ることになります。
そのため、どんなタイプのイラストも基本的に上手に描けなければいけません。
また、近年ソーシャルゲーム開発において活発な状況が続いています。
そのため絵が描けるだけでなく、3DCGのキャラクターモデルを作成できる“モデラー”として、キャラクターデザインに関わる仕事も数多くあります。
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「必要なスキル」と一口に言っても、技術面、マネジメント面とシーンや能力によって求められるスキルは異なります。
ここでは、それぞれの項目に必要なスキルを見ていきましょう。
技術面で必要なスキル
キャラクターデザイナーに最低限必要なスキルとされているものを以下で紹介します。
- 3Dツールの使用経験(Maya/softimage/ZBrush)
- キャラクターモデル制作経験
- キャラクターイラストの制作実務経験
- グラフィックツールでのイラスト制作経験
- 一つのテイストに縛られず描き分けができる
3DCGツールを使ったことのない人でも、採用後に研修をしながら経験させてくれる企業もあります。また、発想力や創造力を必要とするキャラクターデザイナーは、スキルとともに感性も磨くことが大事です。
マネジメント面で必要なスキル
一つの作品に多くの人たちが関わるため、周りとのコミュニケーションやスケジュール管理も重要です。管理や統括を意味する「マネジメント」ですが、マネジメント面でキャラクターデザイナーに求められるものは、以下のとおりです。
- クオリティー管理
- 社外調整、折衝経験
- マネジメント経験
- 後輩の指導や育成に興味がある
【未経験者向け】歓迎されやすいスキル
未経験でもアルバイトや就職することは可能です。ですが人気の職業であるため、ライバルと差をつけるためにも、歓迎されやすいスキルを身につけておくとよいですね。
- 3Dソフトの修得者(専門学校等にて)
- アニメーションや動画制作を1年以上学んだ経験がある
- 人物デッサンやデザインワークが得意、人体解剖学に興味がある
- ゲームやアニメ、映画などへの興味・関心が強い
- 成長意欲が高い
キャラクターデザイナーに向いている人
ゲームやアニメがとにかく好きな人、そんな人はキャラクターデザイナーに向いています。また描写力やグラフィックツールスキルがある人にも向いています。ですがそれ以上に、情熱をもってキャラクターに力を注げる人材は最も向いている人材と言え、企業も大切にしてくれるでしょう。
また、チームのみんなと一緒に作業をすることに喜びを感じられる人や、協調性を大事にする人も向いています。妄想からオリジナルのキャラクターをデザインすること、ゼロから作り上げることが好きな人も適職でしょう。
キャラクターデザインが学べる学校や進路
キャラクターデザイナーを目指す人の多くは、ゲームやアニメ関連の専門学校に通います。こうした専門学校では、実践的な内容の講義や実習をおこなっていますので、すぐ仕事で役立つでしょう。
ゲーム会社などでも、実績がある専門学校の卒業者を優先して採用する傾向がありますので、就職に関して有利にはたらくというメリットもあります。
また、キャラクターデザイナーの就職先としては、ゲーム会社やアニメ制作会社がほとんどで、こうした会社では実務経験をもっている人、必要なスキルを習得するための教育を受けている人を優先して採用します。そのため、アニメやイラスト、ゲームデザインなどのカリキュラムをもつ専門学校への進学がおすすめです。
キャラクターデザイナーにおすすめの資格
キャラクターデザイナーになるために必要な資格はありませんが、PhotoshopやIllustratorなどのソフトを使うことが多いため、これらに関連する資格をもっていると有利でしょう。
そこで、キャラクターデザイナーを目指す方におすすめの資格をここでいくつか紹介します。
Photoshop®クリエイター能力認定試験
株式会社サーティファイが実施している資格試験です。
難易度によってスタンダードとエキスパートのニつがあり、スタンダードでは「指示通りの作業を正確かつ合理的におこなう」こと、エキスパートでは「クライアントのニーズに対応した創造性の高いコンテンツ制作ができる」ことが要求されます。
学習時間の目安は、おおむねスタンダードで20時間、エキスパートで18時間となっています。
スタンダード | エキスパート | |
受験資格 | なし | |
受験料 | 7,600円 | 8,600円 |
出題形式 | 実技・実践試験 | 知識・実技・実践試験 |
合格基準 | 知識・実技問題65%以上かつ実践問題得点率70%以上 | |
合格率 | 74.1%(2021年度平均合格率) | |
難易度 | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ |
(2022年10月現在)
参考:Photoshop®クリエイター能力認定試験概要
Illustrator®クリエイター能力認定試験
こちらも株式会社サーティファイが実施している資格試験です。
求められるスキルは、Photoshop®クリエイター能力認定試験と同じく、スタンダードでは「指示通りの作業を正確かつ合理的におこなう」こと、エキスパートでは「クライアントのニーズに対応した創造性の高いコンテンツ制作ができる」ことです。
学習時間の目安は、おおむねスタンダードで18時間、エキスパートで19時間となっています。
スタンダード | エキスパート | |
受験資格 | なし | |
受験料 | 7,600円 | 8,600円 |
出題形式 | 実技・実践試験 | 知識・実技・実践試験 |
合格基準 | 知識・実技問題65%以上かつ実践問題得点率70%以上 | |
合格率 | 73.2%(2021年度平均合格率) | |
難易度 | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ |
(2022年10月現在)
参考:Illustrator®クリエイター能力認定試験概要
キャラクターデザイナーの将来性
ゲームやアニメ業界が盛り上がりを見せる中、最近ではVtuberやキャラクターが対応してくれるコンビニというような、新たなアイデアも生まれ、キャラクターデザイナーの需要は年々増加傾向にあります。
株式会社矢野経済研究所が調査した「キャラクタービジネスに関する調査を実施」というデータを見ても、キャラクターデザイナーの将来性があることは確かです。
また、SNSの普及に伴い、2次元の中に自分を投影するキャラクターの需要が高まっています。ソーシャルゲーム、メタバース、日本全体のエンタメ業界への需要増とともに、キャラクターデザイナーの将来にも期待が高まります。
まとめ
誰でもなれるというわけではありませんが、キャラクターデザイナーという仕事は、とても魅力的で将来性があります。人気が高い職業ですので、専門学校などでスキルを磨くとともに、就職に有利な実務経験を積むようにしましょう。ハイレベルな想像力が必要となりますので、日頃から観察力と想像力を鍛える訓練をおこない、自らのスキルを高めていくことが肝心です。
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