私たちの生活においてスマートフォンは欠かせない存在になっており、その機能を効率的に活かすうえで活用されているのがアプリケーションです。「アプリ」を一切使わず生活している現代人は、極めて少ないでしょう。
それほど私たちにとってアプリの存在は大きくなっています。開発側として考えると、アプリ市場には大きな魅力があると言っていいでしょう。まずはアプリ市場について現状や今後の動向をご紹介します。
アプリ開発収益の現状
「個人で開発したアプリが大ヒットして大儲けした。」このようなニュースを目にしてアプリ開発に興味を持つ人も多いと思います。しかし、そんなチャンスをつかむことは本当に可能なのでしょうか。
現在では、個人のアプリ開発で一獲千金を実現する可能性は残念ながら極めて低いです。
初めて日本でスマートフォンが発売されたのは2008年。iOS用のアプリストア「App Store」やAndroid用のアプリストア「Google Play」などの販売プラットフォームの登場により、ユーザーは簡単にアプリを購入・ダウンロードできるようになりました。
しっかりとした開発環境が用意されたことで、開発者も次々とアプリをリリース。その結果、アプリストアで取り扱われるアプリの数は爆発的に増え、今もその勢いは衰えません。
アプリの数が増えすぎて競争が激しくなっているため、よほどの話題性や大企業並みにお金をかけてプロモーションをしない限りは、ユーザーの目に触れることなく埋もれてしまうことがほとんどです。“アプリで一獲千金”はまず不可能ですが、個人がアプリを開発するメリットはあります。
アプリ市場は2023年には2674億ドル規模の予想
出典:総務省「令和3年版情報通信白書」図表0-2-2-4 世界のモバイル向けアプリ市場規模の推移及び予測
総務省の「令和3年 情報通信白書」によると、スマートフォン・タブレット向けのアプリケーション市場は、消費者向けのゲームが市場の拡大を引っ張ってきました。(図表0-2-2-4)
また、今後もアプリケーション市場は大きく拡大すると見込まれており、ゲームだけではなく学習や翻訳、健康管理、SNSなどのアプリケーションも成長が見込まれます。
2023年には世界で2647億ドル(1ドル150円換算で39超7,050億円)、日本で365億ドル(同様のレート換算で5兆4,750億円)の市場規模までの成長が見込まれています。
今後は決済に利用できるFintech(フィンテック)アプリも勢いを増す可能性があります。Fintechは金融の「finance」と、技術を意味する「technology」を組み合わせた造語です。
Fintechアプリでは、アプリを通じて口座情報を集約し、決済や投資などまで幅広いサービスが利用できます。たとえば、Apple Pay(Apple社が提供)では、iMessagesやSiriなどが個人間送金を可能にします。
また、日常生活の買いものなどに便利なオンラインショッピングのアプリの利用もますます拡大するでしょう。デリバリーサービスのアプリなども含めて、パソコンからでは利用しにくいサービスをアプリ経由で使うユーザーの増加が考えられます。
アプリ開発におけるOSやプログラミング言語の基本
アプリケーションの種類
アプリ開発を始める前に、アプリには「Webアプリ」「スマホアプリ」「ハイブリッドアプリ」の3種類あるということを知っておく必要があります。
Webアプリは、ブラウザ上で動作するアプリです。一般のユーザーにとってはWebサイトのように見えます。インターネット環境があればOSやデバイスを問わず使用できるのが特徴です。多くのプログラミング言語で開発されますが、習得難易度からプログラミング初心者はJavaScript、Rubyなどから始めるとよいでしょう。
スマホアプリは、スマートフォンにダウンロードして使うアプリです。iOSとAndroid向けの2種類のアプリがあり、それぞれ使用される言語が異なります。iOSでの開発には、Apple社が開発したプログラミング言語のSwiftが使われることが多く、Androidでは、JavaやKotlinが人気が高いです。
ハイブリッドアプリは、あまり聴き馴染みの無い言葉かもしれません。ブラウザ上でもスマホアプリでも動作するアプリで、YouTubeやAmazon、Facebookのような有名サービスでも利用されている技術です。ハイブリッドアプリの開発には複数の言語が使用されるため、アプリ開発に慣れてきてから行いましょう。
スマホアプリの開発はiPhoneとAndroidのどちらがおすすめ?
iPhoneとAndroidのアプリは、開発言語や開発環境などさまざまな面で異なります。また、それぞれでユーザーの特徴が異なるため、ターゲットにあわせてiPhoneもしくはAndroidのアプリ開発に取り組む必要があります。
なお、iPhoneユーザーは課金してダウンロードすることが多く、Androidユーザーは無料ダウンロードを好む傾向にあります。ダウンロード課金を狙うならばiPhoneアプリが良いでしょう。また開発面からみると、多くの機種がリリースされているAndroidでは端末ごとに動作対応する必要がありますが、iOSはiPhoneがメインです。iOSの開発ツールも直感的な操作で敷居が低く、初心者向けと言えるでしょう。
アプリケーション開発に最適な言語とは
アプリケーション開発の際は、さまざまな開発言語を使います。Webアプリならば、JavaScript、Java、Ruby、Python、PHPなどが使われます。また、スマホアプリでは、iPhone(iOS)ならSwift、AndroidではJavaやKotlinなどが採用されています。
ハイブリッドアプリでは、HTML5やCSS3、JavaScriptといったWebサイトの開発に用いられる言語を使用します。どのアプリケーション開発においても、向いている開発や特徴があるため、プロジェクトごとに最適な言語を選びます。
アプリ開発の手順やおすすめのツールを紹介
スマホアプリ開発でプログラミング不要のツールとは
アプリの開発に必要なものはわかった。学ぶための動画やセミナーもある。でもやっぱりプログラミングを学ぶのはハードルが高い…。そんな人のために、プログラミングができなくてもアプリ開発ができるツールをご紹介します。まずはアプリ開発の感触をつかんでみることを目標にしてみてはいかがでしょうか。
JointApps
JointAppsは、プログラムが組み込まれたブロックをつなげるだけでアプリ作りが体験できるサービスです。 作成したアプリをApp StoreやGoogle Playで公開することはできませんが、専用アプリを使えば自分の作ったアプリを実機で試すことができます。
Monaca
Monacaは、iPhone/Androidどちらにも対応したハイブリッドアプリを開発できるツールです。クラウド上で開発ができるため、開発環境のセットアップが必要ないなどのメリットがあります。アプリのテンプレートが用意されているので、アレンジしながら自分だけのオリジナルアプリを作ることも可能です。
Yappli(ヤプリ)
Yappliは、プログラミング不要で自社アプリの開発・運用ができるサービスです。400以上の導入実績があり、高品質なネイティブアプリをスピーディに導入可能。40種類以上の豊富な機能で、あらゆるビジネスシーンに対応します。
アプリ開発でツールを使用することのメリット・デメリット
アプリ開発のツールには、一定の開発機能が備わっているため、開発にかかる時間が大幅に短縮できます。また、できるだけ予算を抑えた開発も可能です。プログラミングに関する知識に自信がない場合であっても開発に着手できる点も特徴となります。
一方でツールは基本的に小規模な開発に適しているため、大規模な開発には向いていません。幅広くツールが展開されているため、ツールの選定に時間がかかることも予想されます。導入後は操作方法などを覚える必要があるため、その時間を考慮して選ぶ必要があります。
需要が高まり続けるアプリ市場には大きなチャンスが
【アプリ開発 初心者 OSのまとめ】
- アプリ市場は世界で40兆円までの成長が見込まれる
- OSの違いによる習得すべきプログラミング言語も異なる
- まずは自分のできるところからアプリ開発を
今後のアプリ市場は世界で40兆円までの成長が見込まれています。これまではゲームアプリが市場をけん引していましたが、今後はより日常生活に密接な関係がある分野のアプリが成長する可能性があります。
そのアプリ開発ではOSによって習得すべきプログラミング言語が異なります。どのようなアプリを開発したいのかを明確にして、必要な言語の知識を身につけてください。
近年ではアプリ開発ツールが多種多様に提供されているため、活用してもいいでしょう。まずは自分のできるところからアプリ開発に取り組んでみてはいかがでしょうか。