Webディレクターは制作者の中でも直接手を動かすことが少ない職種です。自ら手を動かす代わりに、チームメンバーを動かして制作進行するのが仕事の大半となります。
そのためWebディレクターにとって「リソースマネジメント」はかなり重要な業務と言えます。リソースマネジメントは、プロジェクトに必要な資源を割り振ること。このリソースマネジメントによってプロジェクトの成否が決まると言っても過言ではありません。
キャリアが4年以上あるWebサイト制作において経験豊富なWebディレクターであったとしても、リソースマネジメントは常に頭を悩ます部分でもあります。
リソースマネジメントをしやすくするには制作メンバーとのコミュニケーションが不可欠です。Webディレクターに求められる「コミュニケーション能力」について考えていきましょう。
ディレクターの最重要の役割がリソースマネジメント
Webディレクターは制作進行が業務の根幹となるだけに、リソースマネジメントの出来不出来が制作の明暗を分けることがあります。リソースマネジメントとは、プロジェクトに必要なリソースを的確に割り当てることです。
Web制作では時間(タイム)、予算(コスト)、範囲(スコープ)の3つの観点で考える「プロジェクト管理のトライアングル」を意識することが基本です。
一口にリソースと言っても、メンバーそれぞれにかかる時間や予算、役割(業務範囲)が異なります。それらを的確に管理し、方向性を示してチームを1つにすることはWebディレクターの大きな役割の1つです。
しかしそこには特有の難しさがあり、舵取りを見誤るとプロジェクトの進行が停滞したり失敗したりします。だからこそ、リソースマネジメントを軽視せずに、リソース確保に努めることが求められます。
Webディレクターにとって重要となる制作チームの編成
リソースマネジメントでは社内外問わず、メンバーの正しい配置が求められます。制作チームを編成してくのがWebディレクターとしての最初の仕事です。
プロジェクトごとに初期のアサインやリソース把握など、とにかく情報収集が重要になります。プロジェクトに関わるメンバーはそれぞれで経験やスキルが異なるため、適材適所を見極めましょう。
またスキルや経験だけではなくメンバーの感情的な要素を考慮しなければなりません。モチベーションなどによって生産性が大きく変わるからです。時には経験やスキルが乏しくてもモチベーションが高く、プロジェクトのなかで学びながら成長することがあります。
それぞれのメンバーの特性を正しく見極めるうえでも、Webディレクターには高いコミュニケーション能力が求められます。
トラブルの大半はコミュニケーションエラーが原因
Webディレクターは、いわば制作チームの司令塔だけに、各メンバーやステークホルダーとの連携が不可欠です。それゆえにコミュニケーション能力が命だと言えます。
仮にWebディレクターのコミュニケーション能力が低く、密な連携が取れずにいるとトラブルに発展する危険性が高まります。コミュニケーションエラーはすべてのトラブルの入り口と言っても過言ではありません。
Webディレクターは多様な知識とスキルが求められる職種なので、自身がデザインをかじっていたり、コーディングの知識があったり、文章編集がそれなりにできたりするケースも珍しくありません。
ただ、そうした器用なWebディレクターは自分で何でもやりがちです。メンバーに仕事を振るのが上手くない場合もあるでしょう。そうした器用貧乏な一面があるならばなおさら、「自分ができることは限られているからこそ、進捗状況を誰よりも把握している」という心構えが重要です。
コミュニケーションの基本は「報告・共有・提案」
Webディレクターはメンバーとの円滑なコミュニケーションができるよう、常に先頭に立つ行動が重要です。ディレクター自ら挨拶し、雑談し、意見交換し、検討し、常に議論することを心がけてメンバーや顧客とのコミュニケーションを図りましょう。
Webディレクターのコミュニケーションの基本は「報告・共有・提案」です。よく上司への「報告・連絡・相談」のホウレンソウが大事と言われますが、特に顧客に対してはもう少し高いレベルでのコミュニケーションが求められます。何かあった際の報告は当然とし、通常の連絡でも重要な情報を共有して「安心できる」と思われることが大切です。そして、「報告・共有・提案」の中でもっとも重要なのが提案になります。
Webディレクターとしての肝になるのが「提案」
制作に対する期待を持っている顧客は多いだけに、何かをオーダーしてからでないとアクションできない、リアクションに終始するWebディレクターは信用されにくい傾向にあります。
顧客に「できるWebディレクター」と思わせるうえで重要なコミュニケーションが提案です。「ここはこうしましょうか?」「こう進めていきたいですがいかがでしょうか?」と常に自ら提案することでクライアントとの信頼関係が築きやすくなり、顧客ニーズを汲んだ制作がしやすくなるはずです。
また、提案力を高めるには次のことを意識しましょう。
【Webディレクターが提案するうえで心がけること4選】
- その1:仮説を立てたヒアリングをする
- その2:ゴールから提案を逆算する
- その3:建設的な意見と感情を使い分ける
- その4:状況に応じて提案内容を変える
その1:仮説を立てたヒアリングをする
顧客からヒアリングする際は仮説を立てて質問することがポイントです。仮説を立てることでより具体性が高まり深い内容の回答を聞き出せます。会話のなかで「それはこういうことかな?」と想像を働かせてみましょう。
その2:ゴールから提案を逆算する
提案をする際はゴールを明確にして逆算してください。最終的に顧客が得ることから逆算すると必要な施策が考えやすく、視点がブレにくくなるでしょう。提案する際は筋道を立てた理論で具体性を出すとクライアントが理解しやすくなります。
その3:建設的な意見と感情を使い分ける
一方ロジックによって提案を固めるだけではなく、顧客の感情に働きかけることも必要です。提案に対する決断に迷っているときは熱意を込めて後押しすることも実践しましょう。ただし、感情の要素が大きくなると提案やヒアリングが正確にできないことも多いので、使い分けが重要です。
その4:状況に応じて提案内容を変える
顧客ニーズを細かくキャッチして臨機応変な提案ができるディレクターは信頼を得やすいです。信頼を得られれば仕事が進めやすくなるので、ぜひ意識してみてください。
リソース管理や提案にはコミュニケーションは不可欠
【リソースマネジメント 提案のまとめ】
- プロジェクト管理のトライアングル(時間、予算、範囲)でリソースを管理
- Webディレクターはコミュニケーションエラーを減らす努力を
- 顧客とのコミュニケーションでは提案が信頼性を高める
Webディレクターのリソースマネジメントは、非常に煩雑で難しい業務です。リソースは常に限られているので、確実に確保するためにまめにコミュニケーションを取りましょう。Webディレクターはすべてを掌握してなければならない存在ですが、突き詰めればすべてを把握・管理できていれば仕事を回せます。そのために社内外問わず常にコミュニケーションを取ることが重要になります。
コミュニケーションエラーは常にトラブルのもととなります。問題に発展するのを未然に防ぐためにも、顧客に対しては常に先回りをした提案をすることが大切です。提案力を磨くにはヒアリングや提案のやり方の工夫がキーになります。具体性と論理性を駆使し、最後は感情にも訴えかけることを意識して顧客への提案をしてみてください。