今回は、2022年6月10日にオンラインで開催した“もっと仕事を楽しみたいデザイナー必見! デザイナー7年目と4年目の私たちが過去の自分に伝えたい、“サードプレイス”という手段と活用方法”のイベントレポートをお届けします!
この記事で得られる学び
- デザイナー目線で、サードプレイスの効果的な活用方法がわかる
- スキルアップに繋がる人との付き合い方がわかる
- 若手デザイナーがキャリア構築のために取り組むべきタスクがわかる
- デザイナー7年目と4年目の私たちが過去の自分に伝えたい、“サードプレイス”という手段と活用方法
- 登壇者紹介
- 前田デザイン室は「クリエイターストレス発散」の場
- 会社ではできないことに挑戦。自分を知ることができた
- 自分が一人ではできない体験やSNSでの発信ができる
- 質問コーナー
- まとめ
1.デザイナー7年目と4年目の私たちが過去の自分に伝えたい、“サードプレイス”という手段と活用方法
「サードプレイス」とは、自宅や学校、職場とは別の居心地の良い場所のこと。最近はこのサードプレイスが新しいアイデアや交流を生み出す場として注目をされていて、オンラインサロンやオンラインコミュニティなどが盛り上がりを見せています。
今回はクリエイティブ集団「前田デザイン室」室長の前田高志さんと、そのメンバーである2人のデザイナーが登壇。その体験談とサードプレイスの活用方法についてお話しいただきました。
2.登壇者紹介
前田 高志(まえだたかし)氏
株式会社NASU 代表取締役。前田デザイン室 室長。2018年にオンラインコミュニティ「前田デザイン室」を開始。同年、NASUを法人化。2021年に著書「勝てるデザイン」を幻冬舎から、「鬼フィードバック デザインのチカラは“ダメ出し”で育つ」をMdNから出版するなど、著作業にも取り組んでいる。
久本 晴佳(ひさもとはるか)氏
株式会社NASU デザイナー 25歳
中川 誠也(なかがわせいや)氏
株式会社NASU Webデザイナー 28歳
3.前田デザイン室は「クリエイターストレス発散」の場
前田 「前田デザイン室」は、2018年に私が開始したオンラインコミュニティです。ここでは主に、「仕事では味わえないクリエイティブ」を行っています。20代のクリエイターの方は、仕事に対し悶々としているケースもあると思います。そんなクリエイターストレスを発散するための場が、前田デザイン室です。
では、そんな前田デザイン室での活動を、デザイナーのお二人に話してもらいましょう!
4.会社ではできないことに挑戦。自分を知ることができた
久本 株式会社NASUデザイナーの久本です!デザイン経験年数は今年で4年。私は大学卒業後、最初は社員5名ほどの小さなデザイン制作会社に就職しました。
そんな私が前田デザイン室に入ったきかっけは、新卒一年目がちょうどコロナ禍だったこと。そして在宅ワークで時間ができ、仕事に余裕があったことにあります。
「今の会社に勤め続けていいのか」「このままでいいのか」と、ずっとモヤモヤしていた時、前田デザイン室が発信しているnoteの記事を見たんです。「躊躇しないことで人生を楽しむ」という言葉が胸に響き、それで“躊躇せず”コミュニティに参加しました。
主宰者の前田さんから学ぶだけでなく、参加しているメンバーの熱量にも刺激を受け、それからは自分のブレーキをぶっ壊してものづくりに熱中しました。24時間マエダテレビという24時間連続でウェビナー配信するプロジェクトにスタッフとして参加したり、番組の小道具を作ったり、また別の雑誌を作るプロジェクトでは、デザインとイラストで参加したり……。
モノづくり以外だと「仕事の辞め方を教えてください」というイベントを開催しました(笑) また、自主制作として「1日1絵投稿」にもチャレンジ。
オンラインコミュニティで会社ではできないようなことをたくさん挑戦してきました。その結果、「自分のことを知ることができた」のではないか、と思います。
たとえば私は「勝てるデザイン道場」というイベントに携わったのですが、ここで「人に教えるのは苦手だな……」と気付きました。普通の会社には「失敗は許されない」という空気がありますが、サードプレイスは「失敗してもいい」場所なんです。失敗から気付きを得、自分について理解を深めれば、これからのスキルにも活きていくでしょう。こうした経験ができるのも、サードプレイスの特徴だと思います。
5.自分が一人ではできない体験やSNSでの発信ができる
中川 NASUでWebデザイナーをしている、デザイナー歴7年目の中川です。2020年からフリーランスとして活動していたのですが、同年前田デザイン室に参加。2021年にNASUに入社しました。
これまで、前田さんの著書「勝てるデザイン」の公式Webサイトやフォントのダウンロードフォームを作るなどしてきました。フォントをダウンロードした喜びをツイートできるようダウンロードフォームにシェア機能を付けたりもしましたね。あと、群馬県で開催された国際現代芸術祭「中之条ビエンナーレ2021」のオンラインサイトも制作しました。これはサードプレイス内の活動を見ていた方の紹介で制作に繋がりました。
これまで、結構“自由”な働き方をしてきたな、と自分でも思います。私にとって、オンラインコミュニティはフリーランスの自分が一人ではできない体験やSNSでの発信ができる場所なんですよ。
自由な活動ができる場で、自分なりに意識したこともあります。私の場合は、「とにかく動いてプロジェクトに参加する」ようにしました。たとえば、いろいろな人の強みを活かしながら、6ヶ月で5つのサイトを作ったことなんかもそうですね。
先ほどの中之条ビエンナーレもそうですが、サードプレイスに限らず、動いている人って注目されるんです。それを見てくれる人が声をかけてくれ、仕事になるケースも少なくありません。私の場合も、SNSでの発信に「いいね!」をもらったことがきっかけで、仕事に繋がったこともあるんですよ。
6.質問コーナー
セミナーでは、参加者から事前に寄せられた質問にも答えていただきました。
Q.仕事とプライベートとサロンの両立はできましたか?
久本 私の場合、NASUでデザイナーをしながら、プライベートでは映画を見たり、サロンでは、「マエボン3(※)」内のイラストに参加したりしています。でも、必ずしも仕事・プライベート・サロンを「両立しなきゃいけない」わけではないと思うんです。サロンって、仕事とは違って「いるだけ」でも全然OKなんですよ。
中川 私はオンラインサロンでの活動が楽しかったので、フリーのころは仕事よりオンラインサロンを優先していました(笑)。オンラインサロンで作るものは決まりがないんです。私はクリエイティブ寄りのものを作りたかったので、自然とサロン優先になりましたね。
Q.転職したばかりの会社に自分しかデザイナーがおらず、何から手を付けて良いかわかりません。何か知恵を貸してください。
前田 まずは、「不安に感じている」という事実は素晴らしいことだと言えます。不安になったり、悲観的に考えたりするのは大事なんです。というのも、不安だからこそ、対策・相談ができるからです。なので、今の状態は何も感じないよりずっと良いと思います。
もし身近に相談できる人がいれば頼ってみてください。不安を感じている人は真剣さが顔に出ているので、相手も親身に相談に乗ってくれるかもしれません。または、ネットや本、オンラインサロンがあるのでメンターのような人に話を聞きにいくのはどうでしょう?
Q.会社にフィードバックの機会がなく、自分のデザインに自信がありません。その中で、個人・チームのレベルアップをするには、どうしたら良いでしょう?
前田 まず、一度は会社の人に声をかけてみましょう。それが難しいならLINEで上司に相談してもOK。年上の人は、後輩から聞かれるのを待っていることも多いので、フィードバックしてくれる可能性は高いです。
久本 私が前田デザイン室に入った時は、少し年上のデザイナーさんがいて質問などがしやすかったです。
前田 フィードバックがほしいならオンラインサロンを活用するのも良いかもしれませんね。参加者の中に新人がいると、「自分が知っていることをアウトプットしよう」という流れでフィードバックをくれる先輩もいるので、やってみては。
Q.クライアントとデザイナー間で、完成イメージの齟齬をできる限りなくすために意識していることは何ですか?
中川 ヒアリングに力を入れること(笑)!
久本 完成度が低くても良いので、ラフでなんとか形にして、ビジュアルで共有するようにしています。
前田 私の場合、しゃべるのが苦手なので「デザインで語る」いや、「デザインでぶん殴る」くらいのものを作るようにしています。良いデザインを見せられれば、うまく伝えられなくても相手に届きますから、何も言われなくなりますよ(笑)
Q.スキルアップに悩むデザイナーに伝えたいことは何ですか?
久本 スキルアップしようとすると、周りと自分を比べてしまうこともあると思うんです。私も「デザイン向いてないな~」と思ったことがありましたが、不安や焦りは成長のための通過点。いつかは「ああいう時期もあったな」と思える日が来るので、皆さんもがんばって、と言いたいです。
中川 デザイナーは、気持ちにしてもスキルにしても、山あり、谷ありの仕事です。私も今ちょうど谷にいて、一生懸命這い上がろうとしているところです。でも、成長できるのって落ちた所から、這い上がった時だと思うんですよね。見事這い上がれたら、そこから偉そうにしていきたいと思います(笑)
前田 絶対スキルアップをする方法をお伝えします。それは、「良いデザイナーと付き合う」こと!友達、同年代で「この人すごいな」という人とオンラインなどで知り合い、付き合えば“引っ張られ”ますし、自分の成長にも繋がりますよ!
まとめ
会社ではできない活動ができ、自身の気付きや成長にも繋がる「サードプレイス」。今回登壇された室長の前田さんはもちろん、久本さん、中川さんも、前田デザイン室で多くの経験を積み、キャリアアップしてきたことがわかります。デザイナーとしての進路に悩んでいる、もっと成長したいという場合、サードプレイスに参加して自由な経験を積むのも良いかもしれません。