シリーズ累計260万部超えの赤川次郎のメガヒット原作、監督:相米慎二、主演:薬師丸ひろ子の座組みで映画化され、1982年に一大ブームを巻き起こして邦画興収第1位(47億円)を記録した角川映画の代表作、『セーラー服と機関銃』。この誰もが知る邦画史上に輝く名作が2016年、角川映画40周年を記念する作品として、そしてシリーズの最新作として大復活を果たす。主人公の星泉(ほしいずみ)役に「1000年に一人の逸材」「天使すぎる!」と巷で話題の橋本環奈を映画初主演として迎えた、映画『セーラー服と機関銃 -卒業-』だ。
■美容師から映画監督へ。バイト先のTSUTAYAでの山田広野との出会いが転機に
わけもわからず参加したわけですが、僕にはその一連の感じが、すごくスリリングで面白かったんです。映画も面白かった。その時、映画って簡単なんだなって、勘違いも生まれて(笑)。いい経験をしました。もともと映画が好きだったので、脚本とは? みたいに調べている時期に、山田さんの繋がりで今回の映画にも出てくれている宇野祥平さんと飲み会で出会いました。彼も役者目指して東京に出たての頃で、話していて同い年ということもあって気が合いました。そこで盛り上がって、当時何もしてなかった僕に「今度、俺主演で映画を撮ってや」みたいな事を言われて、自主制作で映画を撮る事になりました。それが映画を撮り始めたきっかけです。当時は1~2万円くらいで短編を撮っていました。
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■ 脚本家・高田亮との共同作業 「いい脚本家とコンビを組むことも大事」
いざ撮り始めると、楽しくなっちゃって、色んな事を試したくなりました。欲が出てきて、撮影という行為は遊びの延長ではありましたけど、だんだんと撮った映画をちゃんと劇場公開したいという欲も生まれてきました。ある時、仙台の映画祭で僕の監督作品の特集を組んでいただけることになって、そこで『古奈子は男選びが悪い』(06)という短編を観たプロデューサーの根岸さんにお声をかけてもらいました。それが『婚前特急』という映画で劇場長編映画デビューになったきっかけです。

脚本家の高田さんとは長いんですけど、いい脚本家とコンビを組むことも大事だと思います。もともと高田さんは自主映画の監督で、賞こそは獲っていないですが、彼の監督作品がめちゃくちゃ面白かったんですよ。僕には書けない抜群なセンスがあって。僕自身、自分が書いた脚本に飽きて限界を感じてきた時期でもあって、高田さんの力を借りたくて誘いました。彼に最初にお願いした作品が、『古奈子は男選びが悪い』(06)という自主映画です。それが『婚前特急』(11)につながっていったんです。初めて一緒に脚本を進めた時は、お互いケンカの毎日でした。電話も出なくなったり(笑)。そういうことがありつつ、信頼関係も強まりました。今回の『セーラー服と機関銃 -卒業-』もそうで、それこそもうケンカはなかったですが(笑)、いい意味での緊張感が生まれて、とてもいい共同作業でした。
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■ 機関銃を撃つにしたって、どこに向かって撃つかが重要 今と昔では意味が違う

もちろん相米監督の『セーラー服と機関銃』は大好きですが、今回新しく作り上げるうえで、今の時代に打ち出すためにはどうしたらいいか。機関銃をどこに向かって撃つべきかを真剣に考えました。今のモヤモヤとした世の中に向けて、社会派という訳ではありませんが、娯楽映画の中でスカッとなるような作品を目指しました。それと角川映画って、子どもの頃の僕にとっては異様な存在だったんです。観てみると、たいがい思っていた映画と全然違って、とんでもない映画を見せられた感覚になりました。異様な大人の世界を無理矢理見せられたような。だから、僕があの時受けたサプライズを今度は僕が返そうという気持ちもありました。角川サプライズです(笑)。
今回の『セーラー服と機関銃-卒業-』のお話をいただいた時に、最初に高田さんの顔がパッと浮かんだんです(笑)。高田さんは女子高生の話をたくさん書いていた時があって、一方で中国マフィアとヤクザの抗争劇も書いていた。これは絶対に映像化が不可能な内容で、3時間くらいあるお話を誰にも頼まれてないのに黙々と書いていたんです(笑)。それでヤクザと女子高生なら、高田さんしかいないだろうと思って打診しました。
■ 衝動的でもいいので、「やってから学びませんか?」
■作品情報
『セーラー服と機関銃 -卒業-』
3月5日(土)より全国ロードショー

橋本環奈 長谷川博己
安藤政信 大野拓朗 宇野祥平 古舘寛治 鶴見辰吾
榎木孝明 伊武雅刀 武田鉄矢
監督:前田弘二
脚本:高田亮
原作:赤川次郎「セーラー服と機関銃・その後-卒業-」(角川文庫刊)
主題歌:橋本環奈「セーラー服と機関銃」(YM3D/YOSHIMOTO R and C)
配給:KADOKAWA