リモートワークが一般的になり、通勤が難しい遠隔地からリモートワークで社員として働いたり、案件に参画したりするクリエイターも増えています。

このシリーズでは、そんな働き方を選んでいるクリエイターのお話や、企業のリモートワークへの取り組み状況をお届けしてきました。第4回は、リモートワークのクリエイター採用に積極的な企業へのインタビューです。

ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社の西野さんに、リモートワーククリエイターを採用しての、業務の工夫や今後の展望について伺いました。

昨年2月からリモートを導入。基本フルリモートで仕事をしています。

──まず、御社の事業内容について教えてください。

当社は、インターネットサービスプロバイダ事業、光回線事業、モバイル事業の他、法人向けのICTサービスなど、幅広い事業を展開しています。

──西野さんのチームは、法人向けサービスの部署ですね。

法人向けにICTソリューションサービスを展開しています。ソニーグループのICT技術を活かしたAIによる分析ができるCRMサービスなど、AIを中心とした様々なサービスを用意しています。多くのお客様に予測分析、ディープラーニング、画像判別AIなどのサービスをご活用いただいています。

またお客様の課題に合わせた大規模ICT開発も25年以上の実績があり、ネットワーク構築からコンテンツ開発、サービス運用まで、クリエイティブとシステム領域をワンストップでの提供が可能です。お客様の経営課題に寄り沿い、伴走型でサポートすることを特長としています。

──そうした業務で、クリエイターを必要としているのですね。

はい。私のチームではマーケティングを中心にしたソリューションサービスを展開しており、各サービス、各種施策のほとんどのクリエイティブを制作チームで管理しています。

セールスツールの制作、デジタルを中心とした広告施策の企画・実行に加えて、マーケティングプラットフォーム運営、ウェビナー、展示会などのイベント開催・運営、コンテンツマーケティング企画など、幅広く施策を行っています。

──リモートワークの導入状況はどのようになっていますか。

コロナ禍に伴って2020年2月ごろからリモートワークが開始され、現在は基本的にフルリモートで仕事をしています。ウェビナーの開催など、出勤がどうしても必要な場合を除いては、リモートワークです。
当社では以前からVPN環境が整っており、在宅勤務への移行もスムーズでした。

対面コミュニケーションがとれないからこそ生まれたメリットもあった。

──その中で、現在はリモートを前提としてクリエイターの採用をされているのですね。はじめは不安なこともあったのでは?

そうですね。対面でのコミュニケーションがまったく取れない中では、デザインのニュアンスを伝えるのが難しいこともあるのではないかと懸念していました。それに、作業環境の初期設定にも不安がありました。

──実際リモートで依頼をしてみて、どのくらい課題感がありましたか。

初期設定については、やはり少してこずりましたね。隣の席にいれば、ちょっとPCをお借りしてサポートすることができますが、リモート環境では、マニュアルを共有したり画面を共有しながらの操作となり、時間がかかりました。

一方制作物のコミュニケーションについては、心配していたほど大きな課題にはなりませんでした。デザイン指示も参考イメージをつけたり、ラフデザインを共有したりしながらすり合わせをすることで、認識齟齬を減らすことができました。

──はじめから認識齟齬がないように意識したことがよかったのでしょうか。

そうですね。あとはイメージの共有とともに、直接話すことも大切にしています。どんなに細かく指示書を作成しても、読み込んでいくうちに解釈の違いが起きることがあります。
そのため新規の案件をお任せする際は、電話やリモート会議などで必ず直接お話しして説明するようにしています。

──リモートでも、直接の会話が大切になりますか。

もちろん、直接会話ができればなんでもよいわけではありません。

たとえば対面での業務では、いつでも話ができるためにふらっと声をかけての説明だけで進めてしまい、指示内容が曖昧になることもあります。
リモートの場合はそれができない分、話すにしても、指示書を作るにしても、明確に伝えることを意識するようになりました。

フルリモートでの進め方に慣れるうちに、だんだんと依頼内容が精査され、依頼する方も、制作する方も効率よく作業にとりかかれていると思います。

また関わるメンバーが閲覧可能な場所で依頼内容や途中経過などのやり取りを行うことで、進捗共有の手間を省くことにもなっています。これはリモートだからこそのよさでもあります。

──リモートワークをきっかけに、業務全体の効率も上がっているのですね。ツールはどんなものを使っているのでしょうか。

進捗管理は基本Backlogですね。
リモートワークのクリエイターに依頼を出す時は、まず課題(※Backlog上のタスクのこと)を立てて、個別チャットでもご連絡します。その後電話・リモート会議などで、制作意図や指示書に書いてあることの補足を伝えるやり方が多いです。

オンラインでもブレストができる!広がるリモートワークの可能性

──クリエイティブの制作においては、必要なことを間違いなく伝えるだけでなく、意見交換やチームの一体感も必要になると思います。何か工夫はされているのでしょうか。

雑談する機会を大切にしています。
隣に座っていればできていた「ちょっとしたことを聞く」ということがリモートでは難しくなりましたが、これは仕事をする上でとても大切なポイントだと思っています。チームメンバー同士の壁を取り除くためにも、なんてことない話をする場を設けています。

──具体的には、どのような形で実現しているのですか。

週に3回ほど、朝会を行っています。連絡事項・共有事項などを確認する場なのですが、業務とは関係ない雑談をする時間もとっています。

他にも、勤怠連絡や当日の業務内容などを簡単にチャットに投稿するルールがあり、投稿時に何か一言追加するようにしています。たとえば「こんな美術展が気になってます」「昨日これを食べました。おいしかったです」など、各々の人となりがわかる投稿があって、何気ない会話が増えました。雑談は、気軽に話ができる関係づくりに役立っていると思います。

また制作の仕事では、ブレストしていくうちに悩んでいた部分が解消されることも多いですね。ですから、オンラインの付箋ツールを使ったり、ホワイトボード替わりにメモを画面共有しながら話し合いをするなど、リモートでのブレストも行っています。

──今後も、リモートで案件に参画するクリエイティブ人材の採用を続けていきますか。

はい。これまでも通勤が不可能な場所にお住まいの方を採用してきていますが、ご担当いただく業務内容とリモートでお話しした印象、これまでのご経験やスキルセットなどのマッチ度を優先し、成功しています。
リモートワークによる業務コラボレーションが可能になったことによって、関東圏に限らず、日本全国の方とつながることができています。採用の幅が広がり、素晴らしいスキルを持った方々とお仕事ができる可能性が高まっていることは大きなメリットです。
これからも、豊富な知見やノウハウを持った方とお仕事できることを楽しみにしています!

──ありがとうございます。

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