こんにちは!エージェントの仲本です。 Webディレクターのキャリアについて語るウェビナー「Director’s Beer Bash」の企画・運営を担当しています。
2021年2月の第一回開催以来、ありがたいことに大好評をいただき、リピート参加してくださる方も増えてきた「Director’s Beer Bash」。 今回は2021年7月8日に開催されました第五弾「コロナ時代におけるディレクター&PMの働き方を考える@名古屋編」のイベントレポートをお届けします!
- 1 今回のテーマ:「コロナ時代におけるディレクター&PMの働き方を考える@名古屋編」
- 2 登壇者紹介
- 3 カンパイ!
- 4 「名古屋のWeb制作事情」~差は埋まってきているが、地域特性はあり~
- 5 「コロナ前後で変わったこと/変わらなかったこと」~クライアントとのコミュニケーションがオンラインにアップデート。ツールも多様化~
- 6「コロナ時代の採用・人材育成」~名古屋での採用活動にとっては追い風、育成時には接点づくりを意識~
- 7 まとめ
今回のテーマ:「コロナ時代におけるディレクター&PMの働き方を考える@名古屋編」
これまでのDirector’s Beer Bashでは、広く「Webディレクター」という職種全般についてお届けしてきました。
ただ、どうしても『東京一極集中』のイメージが強いWeb業界。 視聴者からも「東京のWebディレクターは情報交換の機会が多くてうらやましい」「地方のWebディレクターは孤独」というような感想をいただいておりました。
一方で、「リモートワークができるようになったので、東京を離れて別の地域で暮らしたい」「ゆくゆくは地元に帰って働きたい」というように、Uターン・Iターンを具体的に検討する方も増えてきています。
そこで、実際に東京以外の都市でWebディレクターとして活躍されている方々をお招きして各地域に特化したお話をしていただくことにしました! 今回は日本三大都市のひとつ「名古屋」にフォーカスを当てていきます!
登壇者紹介
当日は、第四弾にもご登壇いただいた、名古屋出身のちゃんれみさんこと水野怜美さんをファシリテーターに迎え、名古屋のWeb制作会社でご活躍されている3名を登壇者としてお迎えしました。
株式会社アンティー・ファクトリー 名古屋オフィス代表
飯田 淳介氏
株式会社ワンダーズ 代表取締役
岩田 玲氏
株式会社アクアリング 取締役副社長
藤井 英一氏
※今回のファシリテーター
水野 怜美(みずの れみ)氏
フリーランス
カンパイ!
今回のウェビナー開催前から、もともと一緒に仕事をしたりお酒を飲んだりしたことのある仲だった登壇者の皆さま。 とても和やかな雰囲気の中、恒例のカンパイをしていよいよスタート!
「名古屋のWeb制作事情」~差は埋まってきているが、地域特性はあり~
最初のテーマは「名古屋のWeb制作事情について」。 東京と名古屋、双方での勤務経験がある飯田さんから経験談を語っていただきました。
「名古屋は地域特性上、車メーカーさんをはじめとする世界に誇る技術を持つ会社も多く、中小企業も元気。そうした企業からは、昔はシステム開発や単純なWebサイト制作の依頼が多かったんです。でも最近では、MaaSやSaaSサービスの開発、UXやDXといった、上流の課題設定からどうやって体験をデザインしていくか、というような案件が多くなってきましたね。
僕は12年前に東京から名古屋に戻ってきたんですけど、当時よりも今のほうが、東京との差はなくなってきていると感じます。」
名古屋ローカルな企業からのご依頼を多く対応しているという岩田さん。 「お客さんの気質というか、『名古屋気質』というのはあるかもしれません。『お互いの距離感を大事にする文化』と言いますか…。会いに行ったり、細かくコミュニケーションを取ったり、関係値を築くことを意識していますね」
全体の7割が名古屋内での案件という藤井さん。 「個人的には、細かい制作の依頼よりも、要件定義の上流からまるっと全て依頼したい、というニーズが多いような気がしていますね。弊社がそれに対応できるという強みもあるかもしれませんが。」
「コロナ前後で変わったこと/変わらなかったこと」~クライアントとのコミュニケーションがオンラインにアップデート。ツールも多様化~
続いて話題は「コロナ前後での違い」について。クライアントとのコミュニケーションが大きく変わったと、藤井さんは語ります。
「お客さん側がオンライン会議に慣れてくれたのが一番大きいですね。例えば僕たちが東京のお客さんと打合せをする時、今までだったら新幹線での移動に数時間消費されていたのが、オンラインになったことでその時間を制作や生産性の高い業務などに充てられるようになった。効率は上がりましたね。
ただ、移動が必要ない分、切れ目なく打合せが詰まってしまうことも多くなりました…これはちょっと大変(笑)」
ちゃんれみさんもこのお話には同意。
「確かに、オンラインミーティングが増えて、それまでだと会議室のキャパや移動工数を考慮して参加者が限られていたのが、『ちょっと30分だけ耳だけ参加してもらおう』という感じで、デザイナーやエンジニアにも気軽に参加してもらえるようになって、情報共有の効率化に繋がったなぁと思います。」
飯田さんからは、プロジェクトメンバーの育成やモチベーション維持の観点でも、オンラインミーティングに対して好意的な意見が。
「今まではWebディレクターだけがクライアントとの打合せに参加して、制作メンバーに内容を共有していたんです。でも、特に若手メンバーには、直接クライアントの声を聴いてもらうことがすごく勉強になるというか。お客さんの想いを直接実感することで自分たちが作るものの目的とかゴールを強く意識できて、仕事に対する熱量を高められる機会が増やせたのはとてもよかったな、と。」
ミーティングだけでなく、プロジェクトの進行全体についてもオンラインツールの導入が加速している、と岩田さん。
「僕たちWeb業界の人間はそれまでもSlackとかオンラインツールを割とよく使っていて慣れていたけれど、コロナでリモート勤務が増えて、お客さん側のオンラインツール導入に対するハードルが下がったというのはかなり大きいですね。」
一方、飯田さんはオンラインツール導入に対して便利な側面を感じつつも、Webディレクターの役割の変化を感じていると言います。
「僕の場合、これまではBacklogやSlackなどはお客さんともよく使っていたのですが、今はJiraやConfluence、あとはMiroみたいな、より目的にあった高機能なツールを使うようになりました。そうすると、お客さんが立てたタスクを、エンジニアやデザイナーが直接見ることができるので、今までよりプロジェクトがさらにアジャイル的に進むようになるんです。
一方で、それまでWebディレクターやPMの業務だった進行管理やタスク管理といった役割を全てツールが担ってくれるようになったので、『Webディレクターの役割ってどうなるの?』というのはすごく感じますね。Webディレクターに期待される価値が変わってきているというか、今までとは違う価値を提供していかなきゃいけないな、と。」
「コロナ時代の採用・人材育成」~名古屋での採用活動にとっては追い風、育成時には接点づくりを意識~
続いて話題は「コロナ時代における名古屋での人材採用・育成について」へと展開。 日頃から採用にも関わっている藤井さんは、名古屋での採用活動には追い風だ、と話します。
「全国各地から応募してくれる人が増えましたね。オンライン面接が一般化して、応募のハードルが下がったんじゃないかな。今まではどうしても東海地方に住んでいる人や、名古屋への転居を考えているような限られた人にしかアプローチできていなかったので、全国の人と接点が持ちやすくなったことは、すごくメリットを感じますね」
飯田さんも応募者の拡大は実感している一方、対面でのコミュニケーションが制限される難しさも実感されているよう。
「僕たちのオフィスにはダイニングキッチンがあって、昔は定期的にメンバーで集まって食事をしていたんです。そこに選考中の方にも来てもらって、社内の雰囲気とかを感じてもらって、マッチするかどうか判断してもらったりもしていました。今はそういうことはできないので、少し残念ですね。
あとは、入社後の育成についても、リモートワークしているメンバーも多かったりするので、ウェビナー開催したり、社内の接点を増やせるように心がけています。」
まとめ
最後に、登壇者の三人から一言ずつ『今後のWebディレクター』についてお考えを述べていただきました。
岩田さん
「僕たち三人は肩書でいうと同じ『Webディレクター』ですが、それぞれの経歴や得意なことはばらばら。そもそもWebって、映像やテキスト、アニメーションなど、いろんなクリエーションが集まるハブのような存在だと思っていて。僕たち『Webディレクター』も、単純にWebを作る人ではないですよね。今日はオンラインツールの話もありましたけど、ただ進行管理したりタスク管理したりするだけではなく、お客様も含めたプロジェクトをどう描くか、というようなところから、取り組んでいかないといけないと思います。」
飯田さん
「当社にも映像やグラフィック、インタラクティブコンテンツなど、いろんな制作チームがあります。僕たちディレクターの役割としてあった『ディレクション業務』は、もはやデザイナーやエンジニアといったあらゆる職種の人たちみんなが意識しながら業務に取り組むべきだと思っています。その中で僕たちディレクターは、お客様の課題やゴールをしっかりつかんだ上で、社内のあらゆる技術・リソースを掛け合わせて、価値を提供していくことが大事です。それに、今はお客さんも良く勉強されていて、新しい技術やトレンドについても知識が豊富。僕たちが期待に応えていくためには、常に勉強することを忘れちゃいけないですね。」
藤井さん
「WebディレクターやPMとしてのスキルアップ・キャリアパスに悩む方も多いと思います。ディレクションは最早Webディレクターだけのスキルではないですし、オンラインツール導入や遠隔のプロジェクトも多いです。だからこそ、如何にプロジェクトを円滑に回すか、ゴールにぶれずに導いていけるかが大事なスキルになっていくと思います。要は、ファシリテーションのスキルが、非常に重要だと思いますね。」
話が盛り上がり、最終的には予定時間を30分以上オーバーする形で終了。 名古屋のWeb業界特性はもちろんのこと、コロナ時代における変化や、Webディレクターのキャリアまで、大いに語っていただきました。
今後も、Director’s Beer Bashでは各地方都市のWeb業界にフォーカスしたウェビナーを開催予定です!ぜひご期待ください!