注目企業の中の人によるコラム
今回は、ヤフー株式会社さまにYahoo! JAPANのデザインの考え方、「ヤフーらしく」あるためのルールについて解説いただきます。
「Yahoo! JAPANデザイン原則」について、デザイナー組織「クリエイティブボード」のキャプテンを務める長谷川真也さんのコラムです。

こんにちは。Yahoo! JAPANの長谷川 真也(はせがわ しんや)です。私は、Yahoo! JAPAN全体のデザイン方針やルールを策定する「クリエイティブボード」というデザイナーを代表する組織のキャプテンを担当しています。

このコラムでは、Yahoo! JAPANのデザインの考え方や、私たちのサービスが「ヤフーらしく」あるためのルールやその浸透についてお話しします。

なぜいまデザイン原則が必要なのか

画面に直接触れるスマートデバイスの時代、デザインはまさにユーザーとサービスとのタッチポイントであり、日々の使い勝手を左右するものです。そして当然デザイナーの役割はこれまで以上に重要です。

私たちYahoo! JAPANはYahoo!ニュースやYahoo!検索、Yahoo!ショッピングをはじめ、100種類以上の多くのサービスを提供しており、サービスを跨いだ横断的な体験や「ヤフーらしさ」をより自然なかたちでユーザーに提供できるようにすることが事業の成功に直結していると考えています。

とはいえ、何も無い状態では「ヤフーらしさ」を提供することは出来ません。
ヤフーには全社員に向けたサービス提供に関わる方針はありますが、デザインの理念を言語化したものは存在しませんでした。そこでクリエイター、特にデザイナー向けに、デザインにおける「ヤフーらしさ」を明文化した「Yahoo! JAPANデザイン原則」を新たに策定していくことにしました。

デザイン原則に込めた想い


「Yahoo! JAPANデザイン原則」をつくることには、どのような意味があるでしょうか?
Yahoo! JAPANが一番大切にしていることは、提供する様々なサービスを通じてユーザーや社会の課題を解決することです。そして私たちデザイナーはこれを常に念頭に置いて「ヤフーブランド」を体現していく必要があるので、ひとつはデザインの理念を明文化することによってヤフーらしさを再認識できるようにするということです。

もうひとつは、これらの多様なデザイナー全員に口伝ではなく、一貫して伝えるという意味もあります。
PC主流の時代はデザイナーの人数も少なく、サービス公開のフローとして厳密な品質チェックのプロセスがあったり、チームに入ったら先輩に教えてもらったりして、あえて明文化しなくても人を介して自然と伝わっていく環境がありました。しかし、スマートフォンが主流となりサービスのスピード感や挑戦的な市場環境に対応するため、社員数が大きく増え、私たちのデザイン組織も300人を超えてデザイナーを取り巻く環境やバックグラウンドが非常に多様化しています。
ですので、この「ヤフーらしさ」を社員が再認識するということ、そして「一貫して伝える」という2つの役割を「Yahoo! JAPANデザイン原則」に込めてつくっていきました。

ひとりの天才に頼らない

はじめに代表取締役社長・CEOの宮坂から、Yahoo! JAPANのクリエイティブを統括する各事業組織のクリエイティブ・ディレクター(以下、CD)向けにヤフーの経営戦略や、CEOとしてのデザインに対する想いについて説明がありました。宮坂とCDで議論を重ねるなかで、「ひとりの天才がデザインを決めて、みんながそれに従う」というスタイルはやめよう、という話になりました。
そこでCDだけで「Yahoo! JAPANデザイン原則」を考えるのではなく、300名強のデザイナーを集めYDM(ヤフー・デザインミーティング)を開催し、「ヤフーらしさ」とは何か?ということをあらためてデザイナー全員で議論しました。


ここで出た意見をもとに、社内のデザイナー以外の役員、有識者、エンジニアにも意見をもらい、さらには勤続10年以上の社員の方々で集まるディスカッションの場を設けて磨きこんでいきました。

「Yahoo! JAPANデザイン原則」はヤフーデザインの根っこ

最終的に、Yahoo! JAPANのデザイナーの考える「ヤフーらしさ」と経営戦略やデザイナー以外の社員の意見が掛け合わされ、「Yahoo! JAPANデザイン原則」の5つのキーワードである、「シンプル」「ユニバーサル」「軽快さ」「美しさ」「!(びっくり)」が生まれました。

「Yahoo! JAPANデザイン原則」に則りつくられるサービスは、サービスの力を最大限に引き出し、ユーザーがYahoo! JAPANの体験を最大限享受できるようにという理念でつくられています。まさにヤフーデザインの根っこと言えます。

一見すると「Yahoo! JAPANデザイン原則」は当たり前のことが書いてあるように感じられると思います。というのも、Yahoo! JAPANの多岐に渡るサービスは、ユーザーの日常にある水や空気のように当たり前に、そしてなくなっては困る存在であること目指しているからです。共通の思想として「シンプル」「ユニバーサル」「軽快さ」というキーワードが入っているのはそのためです。一方で、それだけではユーザーに新たな価値を提供していくには足りません。そこで、より魅力的なデザインを目指すために「美しさ」や「!(びっくり)」という「攻め」のキーワードが加えられました。

もうひとつ「Yahoo! JAPANデザイン原則」を明示したことの副次的な効果として、デザイナー以外の社員に「ヤフーデザインには理念がある」という理解が浸透してきたことが挙げられます。

全てはユーザーのために

「全てのデザインはユーザーのために存在し、デザイナーがユーザーを代弁した存在であり続けること」
この理想が「Yahoo! JAPANデザイン原則」を用いてもっとも体現したいことです。

当然ながら、理念である「Yahoo! JAPANデザイン原則」は抽象度が高いものです。これらのキーワードを全てのデザイナーが咀嚼し自身のサービスで体現する必要があります。
そこで、「Yahoo! JAPANデザイン原則」を組織に根差すために、もう少し具体化したデザインの基準もあわせてつくりました。

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