人工知能(AI)やビッグデータの分野で、さらにInstagramやDropboxの開発で使用されているプログラミング言語「Python(パイソン)」。Python=“ニシキヘビ”というオドロオドロシイ言葉に魅せられて、世界中でPerlやRubyを凌駕したと言われるPythonの勉強会に行ってきました。

Pythonって本当に人気があるの?

Pepperも関係しているPython勉強会

会場は超満員。熱気で冷房がフル稼働

日本では認知度も利用するプログラマーもまだそれほどでも、という先入観を持ちながら3月8日(火)、「みんなのPython勉強会 祝10回記念講演『心の鍵を開く感情技術』&2015年度総集編」の会場に。開始10分前だと言うのに、会場には100名以上がぎっしりです。

これほどまでにこの勉強会が人気なのは、感度のいいプログラマーが昨年5月から密かにここに集まり始めたかららしい。話を聞くと、海外ではJava、C言語に次ぐ人気で、自動運転などのAIやビッグデータ解析の分野では欠かせなくなっているそう。

Rubyの思想とは逆で、コーディングの自由度を少なくしているから、初心者もエキスパートも無く、誰が書いても同じようなコードになる上、使えるライブラリが充実していることが魅力となっているとか。作業効率が格段に上がるので、時間も開発費用も削減できるといういいことずくめ。なるほど。

いよいよ勉強会。先生方に圧倒される

この方がPepperの頭脳を作った光吉俊二先生。極真空手五段の威圧感
この方がPepperの頭脳を作った光吉俊二先生。極真空手五段の威圧感

会がスタートして、まず驚きました。協賛しているリーディング・エッジ社や、クリーク・アンド・リバー社の代表取締役が挨拶する力の入れよう!それだけ社会のニーズが高いってこと?とうなずきつつ聞き進みます。

Pythonの入門書「Pythonスタートブック」を書かれた東京大学の辻真吾特任助教が、データサイエンスにおけるPythonの存在感」というテーマで、プログラマーだけでなく一般企業でもどんどん認知度が上がっていることを説明してくれました。

そして、ヒューマノイドロボットPepper頭脳のもと「感情モデル」を構築した、東京大学の光吉俊二特任講師の記念講演がスタート。このお方、美術大学を卒業して彫刻家になった後、感情の研究をするために大学院に入り直して博士号を取得。今は東京大学の医学系の特任講師という、常人では考えられない経歴の持ち主。

タンクトップにスキンヘッドの外見と、笑いを交えた軽快でパワフルな語り口で、専門的なことを初心者にも分かりやすく説明してくれます。10年以上も医学的な研究調査を続け、感情反応と脳の関係から情動や行動のメカニズムを再現して、人の感情を色彩で単純化したダイアグラムに昇華。プログラマーがプログラミングできる形まで導いたという研究は、今では音声から健康状態を測るヘルスケア部門にも活用の場を広げています。

Pepper登場!このロボットもPythonから出来ていた

大浦さんがPepperの刻々変わるPepperの感情をダイアグラムとタイムラインで説明
大浦さんがPepperの刻々変わるPepperの感情をダイアグラムとタイムラインで説明

その後登場した「cocoro SB株式会社」の大浦清取締役が、Pepperのリアルタイムの感情のダイアグラムを表示して、その人工知能(6歳児位だそうです)の動きを説明してくれました。Pepperの音声などの認識・行動機能開発にはPythonが活用されているそうです。なにより開発時間が短くて済むため、せっかちなあの“大物経営者”の要望にはぴったりだったとか。

この日のPepperはパニック気味。それでも、ティッシュ配りのパフォーマンスや、会場の皆さんからの「どんな夢を見ますか?」や「右の人と、左の人とどちらの方がいい?」などのフリー質問に対して、屈託なく答えていました。Pepperが答えると、会場は爆笑。まさに人とロボットの垣根を超える、コミュニケ―ションロボットの本領発揮で、この日の勉強会は終了しました。

安全のために握力は70g。ティッシュ配りが精いっぱい。でも受け取る人はみんな笑顔です
安全のために握力は70g。ティッシュ配りが精いっぱい。でも受け取る人はみんな笑顔です

型があるのに、自由でオープンなこと。だから誰でも始めやすい!

勉強会後は、ピザやドリンクをとりながらの懇親会。ここでも希望者が次々とPythonの使い方についてプレゼンするライトニングトークが行われ、この日集まったプログラマーの方や研究者、Pythonに興味のある企業の方々が、拍手を送っていました。Pythonを使って、何かをし始めた人を皆が尊重する空気が流れています。

そうそう、勉強会のはじめに阿久津剛史代表がおっしゃってました。オープンソースカルチャーのPythonは、いろいろな人たちと話し合って情報交換して、モチベーションが上がるものだ、と。 Pythonは、みんなで作り上げるというオープンソースの思想だからこそ、世界的に広がっている。初体験の私が、勉強会と懇親会を通じて実感した夜なのでした。

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(CREATIVE VILLAGE編集部【取材:Progre_t】)